掟ポルシェのしゃれとんしゃあ通信 〜Vol.5〜前編
九州ウォーカー
日本のサブカル界で異彩を放ち続ける掟ポルシェの月一連載!ブログやツイッターでは知ることができない、“掟ポルシェの今”を赤裸々に語り尽くす居酒屋フリートーク企画「掟ポルシェのしゃれとんしゃあ通信」。あなたの知らない“もう一つの世界”はこんなにもおもしろい!
イヤらしい目的に使ってるんですよ絶対あれ


——あけましておめでとうございます!今回は新年一発目の収録なのでいつもとは違うお店を用意しました。
掟「やった~!本気で嬉しい!家が(福岡市)西区の辺鄙なところにあるので、こういう福岡中心部の繁華街に来てお酒を嗜むとか、おいしい料理をいただくっていう機会がほとんどないんですよ。で、結局福岡の良いところを知らないまま、福岡の田舎特有の嫌なところだけを知ってしまったので、どうしても俺からは福岡の悪口しか出てこないというね(笑)。だから、こういう福岡のちゃんとした美味しいお店を知ると福岡のこと好きになれます!」
——よかったです(笑)。こういうのも定期的にやりたいですね。
掟「いやもう本当に。これもうほら、足がね、(テーブルの下に)入っちゃいますもん!掘りゴタツですもん!掘りゴタツだけど温かくないっていうね!至れり尽くせりですよ。俺、コタツとか本来嫌いなんですよ。体の一部だけ部分的に温いのって本当に苦手で。気持ち悪いじゃないですか、冬場の電車とか。シートの下に暖房があって。これだけ科学が進化した世の中にですよ、電車の暖房だけケツの下からフルパワーで温めることしかできないって絶対おかしいですよね?」
——ああ、たしかにあれはちょっと熱すぎてつらいときありますね。
掟「なんでケツ暖房方式なのか考えたんですけど、あれ、誰か見てるんじゃないですかね。楽しみにしてる人が。その模様を映像で大邸宅のモニターで猫を抱いてニヤニヤ笑いながら酒の肴にしてるご老人とかがいるとしか思えないですよ!『カイジ』の兵藤的な、“電車シート暖房のご老人”みたいなのが、『ホッホッホ!あいつらぁケツ熱がっとるわい!今日も酒がうまいのォ!』みたいな感じで(笑)。多分そういうことだろうなと。それの類似がいろいろあって、コンビニのトイレを使用するときは店の人に一声かけなきゃいけないっていう羞恥プレイみたいな決まりがあるじゃないですか。あれも多分『便意のご老人』とかがいます絶対。コンビニのカメラが自宅の200畳くらいあるリビングの100面モニターとかに延々映し出されてて、『すいません!ちょっとトイレ貸してください!』って人が恥を忍んでいうところを見て興奮するっていう(笑)。そういうご老人のためにやってるはず!そうじゃなかったらおかしい!」
——あはははは(笑)
掟「電車なんかどうやったって普通に暖房入れられるじゃないですか。なんであんなケツ暖房しなきゃいけないんですかね。もうケツ燃えるかと思う時あるでしょ?明らかに一部大金持ちのための余興としてやってるとしか思えないですよね」
——比較的古い車両に多いんですかね?
掟「いや、最新車両でも多いですよ。なんであれ進化できないんだろうって考えると、やっぱなんか理由があるんですよきっと。イヤらしい目的に使ってるんですよ絶対あれ」
子供からの質問には、ほぼすべて嘘で答えるようにしてます

——前回の収録からちょっと空いてしまいましたけど、11月はまず福岡のアンベラシュウでド・ロドロシテルとしてイベントに出演されましたね。
掟「そうですね。元々有名なスタイリストさんが美容スタジオとして作った箱が音楽イベントもできる作りになっているので、たまに出演させてもらいますね」
——僕も行かせていただきましたけど、あの日はご家族もいらっしゃってましたよね。すごくおもしろかったのが、娘さん(6歳)との絡みで。ライブ中にステージの横で娘さんが誰かと携帯で電話してんですよ。その声が会場中に響いてて、それを見逃さなかった掟さんが曲間のMCの最中に「今、誰と電話してたんですか!?」って娘さんにマイクで絡みに行って。お客さんみんなが見てる前で。いつものようにディレイ効かせながら。そしたら娘さんが「誰とも電話していません!」って大声で嘘ついたんですよ。
掟「あはははは!そうでしたっけ?(笑)」
——そうなんですよ。で、掟さんがまた「何で嘘をつくんですか!?」って聞いたら、「嘘はついてません!」ってまたすぐ嘘ついたんですよ。それがめちゃくちゃかわいかったです。
掟「あはははは!親に似て何がしたいのか分からない嘘をつくんですよ。その嘘をつく理由は何?みたいな。どうでもいい嘘がよくあるんですよね」
——いや、それにしてもあれだけの人が見てる前で、6歳の女の子があんなに秀逸な返しができるなんてすごいなと思いましたよ。
掟「娘の保育園の送り迎えの時、自転車で行ってるんですよ。娘を後ろの子供シートに乗っけて運転してる時にどうでもいいことを会話するんですけど、娘からの質問には、ほぼすべて嘘で答えるようにしてます(笑)。日常会話を楽しいものにしたいから、普通の返しをしないようこころがけてまして。道中に家の近所のスーパーの前を通るんですけど、『ここの中で働いてるのはゾンビだ』って言うと、娘が『ここゾンビがおると!?何時から何時まで!?』って(笑)。で、俺が『ゾンビは早番』って。そういうどうでもいい嘘をとりあえず乗っけていくスタイルをとってるんですよ。娘も半信半疑くらいな感じで。おもしろいからとりあえず話を膨らませるかみたいな。一応乗ってくれるんですけど、全面的に信じてるわけでもないという」
——なるほど(笑)
掟「娘は保育園に早く迎えにきて欲しいわけですよね。で、『今日は何時に迎えにくると?』って聞いてきた時に『2時』って答えると『早っ!』って言うから、俺が『夜中のね』って言うと、『遅っ!』って(笑)。そこだけでちょいちょい遊べるじゃないですか。俺ね、相手が自分の子供であろうと面白い人だと思われたいんですよ(笑)。自分自身、実のある話とか正論が苦手だってのもありますけど。で、すべての会話に適当な嘘を織り交ぜていったら、子供が適当な嘘ばっかりつくようになっちゃいまして(笑)」
——(笑)
掟「子供ふたりともそういう教育方針でやってきたんですけど、小学5年になる息子が結構ね、悪い意味で嘘つくこと覚えちゃって困ってます。『宿題やった?』って聞いたら『やった』って言うんですよ。で、夜もう寝る時間になったらなんでか急にあたふたしてて。で、『なんでそんなテンパってんの?』って聞いたら、下向いちゃって『本当は宿題やってない。どうしよう...』って。『おまえ、やったって言ったじゃん!』『本当はやってない...どうしよう』って(笑)。ゲームに夢中になったりしてると途中でやめるのが嫌だから、そんな適当な嘘を付くんですよ。で、結局ヒーヒー言いながら夜遅くに宿題やってて。『嘘はね、人のためについてあげるものなんだよ。絶対についちゃいけないのは、自分の保身のための嘘』だってよく言ってたんですけど、そっちは全然伝わってなかったみたいで。教育方針間違ってたかなと(笑)」
仕事の予定をちょっと変えてでも観たいくらい3776は好きですね

——イベントの話に戻りますけど、あの日は3776とツーマンだったんですよね。
掟「攻めた音楽をやってる3776なんで、対バン何にしたらいいかの選択肢があんまりないんですよね。福岡だと攻めてる音楽よりも王道の方がウケるし、あったとしてもそれほど集客力がないとか。そういういろいろ事情があって、俺が3776を好きなことを知っている主催者の人が結果的にツーマンにしてくれたっていう」
——3776を観れたのがすごい良かったです。福岡で生で観れることはあんまりないですよね。
掟「福岡の自分の周りにいる人たちね、みんな3776大好きなんですよ。『福岡サブカル30人説』っていう、変わった面白いことをいくらやっても30人しか客が入らないっていうのがあって。ただその30人は異常に熱心で必ず来るという(笑)。その熱心な30人がみんな好きで。で、3776は静岡県富士宮市のご当地アイドルなので、基本はそこでライブやってるんですけど、福岡に住んでいる3776ファンの人がいて、その人は元々東京で勤めていた人なんですけど、転勤で福岡に来ちゃったみたいなんですね。で、隔週火曜日に火曜エクステンデッドっていう3776の配信の放送用ライブがあるんですよ。その人はそれを月に2回福岡から富士宮まで観に行ってるんですよ」
——え!福岡からですか!
掟「で、日曜日にもあるライブもよく行ってて。3776のライブはとりあえず、ほぼほぼ通ってるんですよ。だからその人とは福岡でほぼ会ったことがないのに、富士宮でばっかりで会うんですよ(笑)」
——へぇ!
掟「俺もさすがに仕事の関係でそんなに行けないんですけど、たまに行くとその人とは必ず会っちゃうんですよ(笑)」
——福岡では会わないのに?(笑)
掟「福岡では会わないのに(笑)。ほんと、どうやって仕事してるんだろう、みたいな。アイドルを好きになると、アイドルの予定を決めてから自分の仕事の予定を入れるっていうパターンになってくるんですよね。ぱいぱいでか美さんっているじゃないですか。あの人はハロプロが好きで、ハロプロのライブ予定がまず決まってから、ハロプロのコンサートの予定を優先して仕事を入れるっていうスタイルなんですよね。そうでもないとアイドルを見ながらイベントに出演する側の仕事ってなかなかできないですよね。でもそういう意味では自分の仕事の予定をちょっと変えてでも観たいくらい3776は好きですね」
——でもそれちょっと分かりますね。アイドルというか音楽的にもちょっと特殊ですよね。あの音楽にハマる人の気持ちはなんとなく理解できます。
掟「先日誰かがツイッターで書いてましたけど、『3776って言うのは、アイドルっていうくくりで見ることもできるけど、あれはプロデューサーの石田彰さんとボーカルの井出ちよのさんのニューウェーブユニットだと思えばいい』って。確かに言われてみればそんな感じはありますよね。そういう特殊な音楽をやってるがために、世界各地から観にくる人がいるっていう。この間も富士宮に行った時に中国人のファンの人が来てましたね。彼は大きなライブがあるたびに中国から通ってて。中国はYoutube見れないのにたどり着いたのがすごい。替えが利かない唯一無二の音楽をやってるので、とにかくいろんな国からやってきます。で、話してみたら3776以外で好きな音楽も大体似てますね。彼は上坂すみれさんが好きだと言うので、俺が上坂さんに曲書いてると言ったらびっくりしてました(笑)。世界中どこにいても、3776好きな人とはなんとなくわかりあえる気がします」
(Vol.5中編は2月中旬公開予定)
今回取材に協力してくれたお店


日本全国の新鮮な食材を使った料理を手軽に味わえる居酒屋。バラエティに富んだ鍋料理や海鮮料理が味わえる。焼酎の種類も豊富に取り揃えている。
[けごや 鰓]福岡県福岡市中央区警固1-5-34 / 092-732-7939 / 17:30~3:00(L.O.02:30) / 年中無休
掟ポルシェ(おきて・ぽるしぇ)

1968年生。男気啓蒙ニューウェイヴバンド『ロマンポルシェ。』&ひとり打ち込みデスメタル『ド・ロドロシテル』での音楽活動、ピッチを一切合わせないアイドル曲オンリーDJ、読後一切頭と心に残らない酷いコラム著述業、アイドルイベント司会を手がける他、頼まれれば法に触れない範囲で大体のことはやる。2015年より福岡市西区に在住。
田崎紀之
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