キッザニアで「いなりずし職人」なぜ登場? 打倒・恵方巻「初午いなり」ブームの可能性

2020年2月4日 18:00更新

東京ウォーカー(全国版) 加藤由盛

Twitterで
シェア
Facebookで
シェア
いなりずしは、具材もごはんも”自由”なのが魅力のひとつ

いなりずしは、具材もごはんも”自由”なのが魅力のひとつ

子供の職業・社会体験施設「キッザニア東京」で2月5日(水)~11日(火・祝)の期間限定食育パビリオン「いなりずし屋」がオープンする。子供たちがいなりずし職人となって、いなりずしの歴史を学び、オリジナルいなりずしを作り、成果物としてキッザニア内で試食する体験ができる。キッザニアのパビリオン(アトラクション)には、ゲームクリエイター、警察官や消防官、ファッションモデル、キャビンアテンダントなど、“ザ・子供の夢のお仕事”がひしめく中、一見ニッチとも思える“いなりずし職人”がなぜ登場するに至ったのか。「いなりずし屋」を出展する、長野県の大豆食品メーカー・みすずコーポレーション広報部の遠藤氏に話を聞くと、日本人の食卓に根付いた「いなりずし」の存在感と、時代とともに変わってきた食生活が見えてきた。

打倒恵方巻!? 2月11日は福を招く「初午いなり」を啓蒙

2019年2月、初午いなりPRイベントに登壇したメイプル超合金

2019年2月、初午いなりPRイベントに登壇したメイプル超合金

みすずコーポレーションは、118年の歴史を持つ食品メーカー。大豆を原料とする高野豆腐製造を創業とし、味付け油揚げの製造販売では、国内最大シェアを誇る。「味付けいなりあげ」をはじめとする大豆加工食品のリーディングカンパニーとして、2月11日に記念日登録されている「初午いなりの日」の啓蒙活動を2015年から行っている。2月最初の午(うま)の日を指す“初午”は、運気が高まる日とされ、稲荷神社のお使いであるキツネの好物の油揚げを使った「いなりずし」を食べると福を招くと言われているのだ。その活動の一環で今回は、キッザニアに期間限定パビリオンをオープンすることになったという。2019年は、お笑いコンビ・メイプル超合金が「初午いなり」をPRするイベントを開催(2018年はトレンディエンジェルを起用)。過去には試食用のいなりずしをサンプリングしたり、商業施設で「お稲荷さん」を設けたり、さまざまな取り組みを行っている。

キッザニア東京の「いなりずし職人」パビリオン

キッザニア東京の「いなりずし職人」パビリオン

すべての画像を見る(13件)

そんな中でなぜキッザニアで「いなりずし職人」なのだろうか。遠藤氏は「いなりずしは、実は地域で独自の文化があったり、油揚げの中身を酢飯に限定せずに、好きな具材をご飯に混ぜたり、具材をのせるだけで簡単にバリエーションの広がりが生まれるので、掘り下げるととても面白い料理なんです。地域によって形も味も異なります。例えば、関東では俵型、関西では三角形だったり、同じ俵型でも関東よりもサイズが小さいものも。弊社の商品も、地域によって味付けを変えたりして販売しています。そういったちょっとした“面白さ”を学んでいただきながら、オリジナルのいなりずしを“作る”という体験をしてもらいたかったんです」と思いを明かす。

【写真】関東の人から見ると驚き?関西のいなりずしは三角形

【写真】関東の人から見ると驚き?関西のいなりずしは三角形

この、“作る”という部分を突っ込んで聞いていくと、日本人の食生活の変化が見えてくる。同社が約120年見てきた、日本人の食生活について振り返ってみよう。

明治・昭和から令和までに食生活が劇的に変化、「内食」から「外食」、現在は「中食」の時代に

創業間もない時期。農業のかたわらで行われていた家内工業の中で、凍み豆腐が作られた(写真提供=みすずコーポレーション)

創業間もない時期。農業のかたわらで行われていた家内工業の中で、凍み豆腐が作られた(写真提供=みすずコーポレーション)

みすずコーポレーションの明治時代における創業時のルーツは、長野県の食文化である「凍み豆腐(しみどうふ)」だった。地域によっては高野豆腐とも呼ばれるそれは、もともとは農家が冬場に作るものだったという。昭和になると、同社のほかにも高野豆腐を製造販売する企業が日本各地で登場していた。大豆を使った商品開発の中で各社は、納豆をはじめとした各種大豆商品を展開する。そんな中、同社は第二の事業として、油揚げの製造に着手する。これが現在の「味付けおいなりさん」商品に続いていく。

当時の貴重な写真。昔の凍み豆腐は軒先に吊るして作っていた(写真提供=みすずコーポレーション)

当時の貴重な写真。昔の凍み豆腐は軒先に吊るして作っていた(写真提供=みすずコーポレーション)

「昭和の時代は、今ほど外食文化が発達しておらず、中食文化がない時代。食事は家庭でお母さんが作るものでした。いわゆる『内食』の時代と言われています。弊社のあぶらあげを、各家庭の味付けで煮て、いなりずしを作っていたんです。昭和は、劇的に生活スタイルが変化した時代でした。昭和後期になると、外食文化が発達して、ファストフード、ファミリーレストラン、回転すし、そば…さまざまなジャンルの飲食店が登場します。平成に入ると家庭環境も共働きの家庭が増えて、お母さんも忙しく、ご飯を作る負担が増えたわけですね」

時代が移り食生活が変化していく中で、内食から外食の時代に対応し、「あぶらあげ」にプロの味つけがしてあり、失敗なくおいしいいなりずしが作れる同社の商品がヒットし、事業を拡大していく。

さらにと遠藤氏は語る。「現在はさらに女性の社会進出が進み、まさに“女性の時代”になりました。現在は外食が一般化し、テークアウトや総菜の需要が高まる「中食」の時代と言われています」。遠藤氏の語る通り、ひと昔前は百貨店の食品売り場が「デパ地下」として注目を浴び、現在はどの商業施設にも必ずといっていいほどテークアウトの総菜店が出店している。まさに「内食」の時代といえそうだ。

「おいなりさん」を嫌いな人はいない!? 食文化継承のためにも子供へ“料理を作る”食育を

みすずコーポレーション広報部の遠藤さん

みすずコーポレーション広報部の遠藤さん

「外で食べる」「買って食べる」の時代だからこそ、家庭で“作る”体験が未来に向けた食文化の継承という意味を持つ。いなりずしは、運動会や遠足といった子供の行事には欠かせないメニューだ。派手さはないが、ないと寂しい、出てくると嬉しい、そういう控えめな存在感を放っている。

お弁当、行楽行事に欠かせないいなりずし

お弁当、行楽行事に欠かせないいなりずし

「いなりずしは、先述の地域性も面白いですが、油揚げはポケットのような形状で、中に入れる食材を変えることで、家庭ごとのアレンジも多彩にできますし、“時短”というトレンドにもマッチしていますよね。そして、何より簡単に子供でも作ることができます。外で食べる、買って食べるの時代だからこそ、ご家庭で子供に“作る”体験をしてほしいですね。それに、やっぱり自分が家族のために作ったごはんはおいしいですから」と遠藤氏。

2月11日の「初午いなりの日」にいなりずしを食べる風習がさらに盛り上がっていけば、恵方巻の次は11日の『初午いなり』、そしてバレンタイン、ひな祭りの準備…と、2月は楽しいイベントが盛りだくさんの月になりそうだ。

この記事の画像一覧(全13枚)

大きなサイズで見る

キーワード

ページ上部へ戻る