影山貴彦のテレビのホンネ。エンターテインメントの価値が問われるときだ
関西ウォーカー
エンターテインメントには人生を変える力さえあると信じている
新型コロナウイルスの影響で、エンターテインメントがピンチだ。私の専門はメディアエンターテインメントだ。エンターテインメントの見地からメディアを研究することを業なりわいとしている。放送局勤めから大学に職を移した際、「なんとかしてエンターテインメントの社会的地位を高めたい」と強く心に決めた。一介の大学教員ができることなどたかがしれているが、それでもそれこそ1ミリづつでも、エンターテインメントの重要性を人々が認識してくれることを願って、教壇に立ち、駄文を書き、マイクの前で語ってきている。
多くの催しが中止や延期に追い込まれ、通常の開催が叶わない状況だ。大相撲春場所やプロ野球オープン戦は無観客開催。春のセンバツ高校野球も苦渋の決断を下した。この時期、関西を中心にお笑いの賞レースが盛り上がる時期だが、中止になったものも多い。
そんな中、テレビの視聴率が上昇しているという。新型コロナウイルスのニュースを伝える報道番組系の視聴率が特に高い数字を示しているそうだが、外出を控え、在宅率の高くなった人々のテレビの前に座る頻度が増したということになる。おそらくそうだろうと予想していたが、北海道地区ではその傾向が特に顕著だという。
類稀なる局面に向き合うこととなり、私たちは皆、少なからず心や体を痛めている。自粛の嵐が吹き荒れ、やり場のない不安や、怒り、悲しみがじわじわと浸食してきている。
こんな時にエンターテインメントでもなかろう、という声もある。私たちを苦しみから解放に導いてくれるのは、ウイルスを撲滅させる以外にない。だが、残念ながらそのためには一定の時間を要する。今こそエンターテインメントの価値が問われる
時だ。エンターテインメントには、人生を変える力さえあると私は信じている。

【著者プロフィール】影山貴彦(かげやまたかひこ)同志社女子大学 メディア創造学科教授。元毎日放送プロデューサー(「MBSヤングタウン」など)。早稲田大学政経学部卒、ABCラジオ番組審議会委員長、上方漫才大賞審査員、GAORA番組審議委員、日本笑い学会理事。著書に「テレビドラマでわかる平成社会風俗史」(実業之日本社)、「テレビのゆくえ」(世界思想社)など。

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