金沢だけじゃない! 加賀百万石の工芸ツウになれる穴場旅
東海ウォーカー
金沢といえば、北陸の一大観光名所。そして、加賀友禅、金沢漆器、金箔細工など、加賀藩の藩政のなかで、独自の優雅な文化が育まれてきた。その文化の影響を受け、今もその名残が色濃く残る町が金沢市の近くにある。金沢市街地から車で40分ほど。南砺市の城端(じょうはな)地区、井波(いなみ)地区だ。
越中の小京都・城端に残る豪華絢爛な祭り
JR城端線の終点、城端駅の近くにある古刹・善徳寺。ここを中心に門前町として発展してきたのが城端地区。江戸時代から絹織物の生産で栄え、越中の小京都とも呼ばれてきた。
ここで見ておきたいのは、300年の伝統を持ち、国の重要無形民俗文化財にも指定されている城端曳山(ひきやま)祭だ。毎年、5月4日と5月5日(4日は宵祭り)に行われ、6台の曳山(=山車)が町内を練り歩く。その様子がよくわかるのが、「城端曳山会館」だ。祭りの映像での解説や、本物の曳山を見ることができる。
注目はやはり曳山。超絶技巧の彫刻や、金箔や漆がふんだんに使われた装飾がすごい! 加賀百万石の金箔と漆塗りの技術が、こんなに豪華で優美な曳山となり、今も息づいているのだ。
■城端曳山会館 / 住所:富山県南砺市城端579-3 / 電話:0763-62-2165 / 時間:9:00~17:00 / 料金:一般520円、高校・大学310円(土蔵群「蔵回廊」と共通)、中学生以下無料
超絶技巧の木彫りストリートを歩く
南砺市城端地区から車で15分。井波交通広場駐車場に車を止めて、八日町通りに向かおう。石畳の風情のある道沿いには、木彫りの工房が並ぶ。ここは、その技術の高さで全国から欄干(らんかん)や衝立などの注文が来るという、木彫りストリートだ。
店先に飾られている彫刻作品は、表はもちろん、裏も精密に彫られている。いったいここはどうやって彫ったの?と思うほど立体的だ。工房の中では職人さんが、何十ものノミに囲まれ集中して作業をしている。近寄りがたい雰囲気と思いきや、「ご自由に見学ください」と看板が。職人さんの作業ぶりを身近に見られるのはなかなかない、ここならではの体験だろう。
八日町通りには、隠れた楽しみ方がある。それは店の看板。さすがにすべてが木彫りで、その出来栄えは、まさに和のアート作品だ。それを見て歩いていると、ところどころに猫の彫刻があるのに気付くかも。じつはこの八日町通りには、いろいろな場所に猫の木彫りが隠れているのだ。その数全部で26個。さまざまな表情の猫たちがこの石畳の道に潜んでいるので、探しながら歩くのも楽しい。
井波の木彫りの技術は、和の室礼に欠かせぬもの。また、城端地区の曳山も井波の技術で支えられているとか。加賀藩の優美な文化の一端をここにも感じることができる。
五箇山合掌集落も加賀藩の名残が
東海エリアから金沢へ向かうなら、五箇山合掌集落は通り道になるはず。江戸期において五箇山は加賀藩だったので、加賀文化を知るにはぜひ立ち寄りたい。見ておきたいのは、国指定重要文化財でもある「村上家」だ。
代表的な合掌造りの家なのだが、入口を入るとすぐに煙硝厩(えんしょうまや)と呼ばれる場所がある。ここは火薬のもととなる土を作る場所。ここでは加賀藩の火薬が作られていたのだ。五箇山は加賀藩の流刑地でもあった陸の孤島ともいう場所。火薬生産の秘伝の漏洩を防ぐという意味でも適していたのだという。
また、家の中では養蚕が行われていた。狭くて急な階段を上ると今は展示室になっているが、かつてはこの場所で蚕が飼われていた。ここで生まれた生糸が城端(じょうはな)で織物になり、金沢で友禅になったのだろうか。この地も加賀百万石の文化の一端を担っていたのかもしれない。
■村上家 / 住所:富山県南砺市上梨742 / 電話:0763-66-2711 / 休み:火曜、水曜 / 時間:8:30~17:00※季節により異なる / 料金:大人300円、小中学生150円、未就学児無料、障害者無料
京都の文化と江戸の気風が交じり合い独特の優美な文化を生んだ加賀藩。その影響を受け、また支えてきたものが金沢市以外にも多く残っている。一足のばせば、ちょっと加賀ツウになれるかも。
谷山奈々美
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