歌舞伎役者・片岡愛之助が映画「小川の辺」で藤沢作品に挑む!

2011年7月22日 2:50更新

関西ウォーカー

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藤沢周平の短編時代劇小説を映画化した「小川の辺」。藩命で妹の夫を討つことになった男が、武士としての儀と肉親の情のはざまで葛藤する姿が描かれる。そんな本作で主人公と刀を交える脱藩武士・佐久間森衛を演じる歌舞伎役者の片岡愛之助が、藤沢作品の魅力や役作り、そして俳優としての活動について語ってくれた。

─本作は藤沢周平さんの短編小説が原作の作品ですが、キャスティングされた時はいかがでしたか?

「僕は昔から藤沢作品のファンなので、うれしかったですね。物の見方が弱者の目線であったり、人の心の描写の美しさやゆっくりと物静かに時が流れていく様子が描かれているところに魅力を感じます」

─今回、片岡さんが演じられた森衛は原作ではあまり深く描かれていませんが、役作りで心がけていたことは?

「映画ではいい具合に、森衛のキャラクターが膨らんでいましたが、森衛は言葉も少なめで、観る人に内面をわかってもらうのがむずかしい役だなと思いました。でも、脱藩してでも自らの意志を貫こうとするまっすぐな人だということが伝わればいいなと思いながら演じました」

─役柄から学んだことはありますか?

「森衛はもちろん、この物語に出てくる人物はみんな“よかれ”と思って行動をしているんですね。僕を始め、自分の考えをはっきりと言えない人は多いですし、守るものがある人だと“仕方がないよな”とあきらめてしまう部分ってあるはずです。でも、森衛を通して僕も自分の意志を貫き通す人間でありたいなと思うようになりましたね」

─劇中、東山紀之さん演じる主人公と刀を交えるシーンが何度かありましたが、殺陣で苦労したことは?

「練習時間があまりなく、稽古場の暑さに負けそうになりつつもがんばりました(笑)。歌舞伎での殺陣は剣先を当てず、様式美を重んじるものなんですが、映画はそうではないので、基本的な立ち振る舞いから学びました。本番では勢いを保つために、一連の流れをいっきに撮影してしまうんですが、本当に“武道”みたいでしたね。なので、撮影をしていたというよりは“真剣勝負”をしていたようでした」

─日本が未曾有の大災害に見舞われ、そんななかでこの作品が公開されます。本作を通して伝えたいことは何ですか?

「毎日仕事をして、ゴハンを食べて…そういう“普通”が人間にとっては、すごく幸せなことのはずなのに、それが当たり前になってしまっていると思うんですね。生きていくことの大変さや命の尊さ、人との絆をこの大震災を通して感じて、改めて“日本人でよかったな”と思いました。そういうものって、昔の“武士道”から遺伝しているんだと思いますし、今回の作品も兄弟や夫婦などさまざまな愛の形が描かれていて、それを観ていただいて、少しでも生きる力になればうれしいです」

─今後も歌舞伎だけでなく、映画やテレビなどの映像作品への出演を積極的に考えていらっしゃいますか?

「これからももちろん、歌舞伎の世界で生きていくのは間違いないですが、やはり映画やテレビといった映像の力は大きいです。歌舞伎はなかなかとっつきにくく、新たに触れるのがむずかしいと思われがちなんですね。でも、実際に観ていただいたら“こんなにわかりやすくておもしろいんだ”って言っていただけることが多くて、歌舞伎を知る“きっかけ”がないんだと思うんです。せっかく日本に生まれ、歌舞伎というすばらしい文化があることをたくさんの方に知っていただきたいので、そのきっかけが映画やテレビ出演にあるんじゃないかなと。それに、歌舞伎とは異なるジャンルの方たちとお仕事できるのは、刺激になって勉強にもなるので、これからも歌舞伎以外も年に1~2作品は出演したいですね」

【取材・文=リワークス】

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