【編集部の東北体験記/3】秋田竿燈まつりに驚愕!
東京ウォーカー(全国版)
豪華な御輿や山車で魅せるのではなく、竹竿と提灯と差し手の技術で観客を魅了する東北三大まつりのひとつ、秋田竿燈(かんとう)まつり。竿燈に煌びやかな装飾は一切なくシンプルなつくりではあるが、間近で見上げるその大きさと、差し手の妙技に圧倒された。
竿燈とは竹竿にいくつもの提灯をつるしたもの。竿燈全体を稲穂に、連なる提灯を米俵に見立て、差し手と呼ばれる竿燈を持つ男性が、竿燈を額・腰・肩などにのせ、豊作を祈るというのが竿燈まつりである。東北Walker編集時にちょこちょこ目にしていたが、生で見るのはもちろんはじめて。祭について予備知識を持つことなく、7時前のこまちでいざ秋田へ向かった。
秋田に着いてまずは民俗芸能伝承館で竿燈について学ぶ。竿燈を持ち妙技を披露する男性を『差し手』といい、差し手の年齢によって掲げる竿燈の大きさが変わる。大若と呼ばれるものが一番大きく、提灯の数が46個、重さ50kg、長さが12mにもなるという。民俗芸能伝承館では竿燈の体験も出来、この大若ももちろん差す事が可能だ。女性は穢れの対象とされ、本来ならば触ることすら許されなかった竿燈も、ここでは年間通して老若男女問わず体験することができる。ならば私もと試しに小若を持ってみた。小若の対象年齢は小学校高学年くらい。15kgをただ持つのも難しいが、接ぎ木がない状態でも4mほど高さの竿燈のバランスを保つのは至難の業。とてもじゃないけど持てないし倒れてしまう!これを小学生が軽々肩や額に乗せてしまうというのだからなんとも祭を見るのが待ち遠しくなる。
そんな竿燈を持つのが初めての私でも一瞬軽くなる瞬間があった。バランスを保ち、芯を捕らえさえすればさほど重さを感じないとのこと。ただその芯を捕らえるのがなんともむずかしい。話を聞くと、大変なのは腕力を使って竿燈を肩の上まで上げるときだけで、風を捕らえてしならせると実は軽くなるそう。その分バランスを保つのはむずかしくなるが、そこをうまく捕らえて重みを減らす技を披露ということでもあるらしい。なんと奥が深いっ!
民族芸能伝承館をあとにして、両腕のダルさを携えたまま千秋公園へ。ここでは昼間の竿燈まつりでもある、竿燈妙技会が行なわ、差し手の妙技を披露し競い合う。妙技会は個人妙技から、団体妙技、囃子手まで審査の対象とされる。規定で定められた円の中で、時間内に妙技を見せるため、町内ごと技術の違いが一目瞭然で竿燈まつり初心者でも分かりやすい。
上手い差し手になると難易度の高い『腰』で竿燈を持ち、扇子を仰ぎながらや、番傘や提灯を両手に舞いながら技を披露する。もちろん風など天候の運もあり、煽られて倒れてしまったり、中には接ぎ木が折れてしまう竿燈もあるが、観客が感じるほどの強い風の中でバランスを保つ差し手も。竿燈がしなればしなるほど、観客からの『どっこいしょ~!!どっこいしょ~!!』という掛け声も大きくなる。美しく妙技が終われば観客から自然と歓声が上がり、拍手喝采が湧き上がる。これは夜の竿燈も見ごたえがありそうだ!
夜の竿燈は昼間とは全く違い、幻想的でとても美しいもの。風に揺れてしなる光の稲穂が大通りにいくつも連なり、『どっこいしょ~!どっこいしょ~!』の掛け声とお囃子が響く。今年は東北復興の目的もあり、過去最多の250本もの竿燈が掲げられた。
竿燈に使われている提灯の炎はろうそくで、もちろん全部本物。だから下手すると提灯も燃えてしまう。でも万が一倒れたときには火が消えるように、堤燈台の底の両脇には隙間が空いていて、空気が通る仕組みになっている。また観客がいる上にはロープが張られ、竿燈が倒れてもそのロープに引っかかるようになっているから安全面でも安心だ。
夜の本大会も差し手の妙技を見ているとあっという間の2時間が過ぎ、そのあとは「ふれあい竿燈」というイベントがある。観客が気軽に竿燈に触れることができ、持ち上げたりと竿燈体験できる。一般の体格のいい男の人でも大若の竿燈を持ち上げることさえ出来なかったのをみると、『私より細いんじゃないか!?』と思う差し手が軽々持ち上げていたすごさが本当によくわかる。
あの力強い腕!しなやかな動き!ん~~~~っ!!祭男子はやっぱりカッコイイっっ!!!
秋田竿灯まつり。昼間の妙技会で差し手の技を、夜の本祭りで連なる光の稲穂を、来年は是非とも体感して欲しい!(東北Walker編集部・C)
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