絶望から再生へ、希望に満ちた作品「一枚のハガキ」 豊川悦司×六平直政 インタビュー

関西ウォーカー

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「生きる希望に満ちた“人間賛歌”の映画です」

日本映画界の最高齢99歳の現役監督・新藤兼人が放つ人間ドラマ「一枚のハガキ」。監督自身の経験をもとに、敗戦後、妻を実父に奪われた上に戦地から生還したことに罪悪感を抱く男と戦死した友人の妻・友子(大竹しのぶ)が絶望から再生していく姿を描く。主人公・啓太を豊川悦司、戦友の定造を六平直政が演じ、監督とは前作「石内尋常高等小学校 花は散れども」(’08)に続くコンビとなる。今回、前作に続き、豊川は亡き戦友たちの魂を背負って生きてきた監督を投影した役を演じた。それだけにプレッシャーはなかったのだろうか? 「前作はものすごく緊張しました。でも、今回は前作を受けて監督が今回も僕に声をかけていただいたこともあり、安心感がありました。新藤監督の現場には映画を撮るチームを“組”と呼ぶような、昔ながらの映画作りが現場に残っているんです」と、リラックスしていた様子。その理由は信頼関係はもちろん、監督のチャーミングな性格にあるとか。

「現場では自ら立って僕らに動きをつけてくれたりと、怖いくらいに圧倒的な存在感なんですが、普段は茶目っ気たっぷりな人。映画を撮るのはすごくエネルギーがいるし、それをあの年齢までずっとやり続けているのはすごいと思いますね」(豊川)、「監督は“人間は仕事をするために生まれてきた”とよくおっしゃっていて、映画作りに関しては自分の信念を曲げない。それにいまも自分好みの女性がそばに来るとドキドキするらしく、すごくパワーにあふれているんです」(六平)。そんな監督のユーモラスな部分は、本作でも表現されている。「監督いわく啓太みたいに出兵中に嫁と義理の父が恋人になっていたりとか、戦時中はよくあったことらしくて。そんなふうに監督は悲劇のなかにも喜劇を見出しているし“一枚のハガキ”のように人生はさっぱりとした、儚いものであんまり重く考えて生きていちゃもったいないってことなんだと思う」(六平)。その言葉どおり、監督は戦争の愚かさだけでなく、それ以上に悲しみに負けずに生きていく主人公たちの姿を描き、観客に希望を見せてくれる。「戦争という重いテーマではあるけれど、人が再生するすばらしさが感じられる“人間賛歌”の映画だと思います」(豊川)、「今回の震災に負けない東北の人の姿にも通ずるものがありますよね。生きてさえいれば、希望があるんです」(六平)。本作に込められた力強いメッセージは、きっと世代を越えて伝わるだろう。

【取材・文=リワークス/撮影=サンペイ】

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