「ゴールデン☆ベスト」をリリースした“つボイノリオ”にロングインタビュー!【1】

関西ウォーカー

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ラジオDJ、ミュージシャン、そして声優として40年ものあいだ最前線で活躍してきたつボイノリオ。彼がDJを務めるCBC(中部日本放送)の朝の帯番組は、今も時間帯聴取率のトップを独走しつづけている。

そんな彼の、シンガー・ソングライターとしての代表曲“金太の大冒険”は、エスプリの効いた歌詞が下品だということで、放送禁止処分をくらった。しかし逆にその「破壊性」ゆえ、今も高い評価を得つづけている。吉田拓郎や泉谷しげる、海援隊を輩出した日本のインディー・レーベルの草分け、エレックから70年代なかばにリリースされたその曲が、90年代なかばに東芝EMIから初CD化されたときは、オリコン総合シングル・チャートの上位にも食いこんだ。そして、彼が00年代なかばにデータ・オンリーで(レコード会社を通さずに)リリースした“インカ帝国の成立”は、当時設立間もなかった日本のiTunes Storeで、チャートのトップを記録してしまった。

60年代末から現在まで、彼の長いキャリアを網羅した決定版コンピレーション『つボイノリオ ゴールデン☆ベスト』が、ポニーキャニオンのディストリビューションでリリースされた。まさにひとつの事件だ。それを記念して、つボイノリオに話を聞いた。

【ものすごい差別的な、社会的地位の低さから】

■60年代には、みんなフォーク・ギターとか弾いてたじゃないですか。つボイさんも、おそらくそんな感じでギターを始められたと思うんですが…。きっかけは何だったんですか?

つボイノリオ(以下T):僕は最初ウクレレをもらったんですよ。で、ウクレレ弾いててすっごい楽しくて、そこで初めて“和音”というか、コードを知ったんです。ウクレレって、例えばCだったら弦を1本押さえるだけでいいわけですよ。

■えっ!? ギターみたいにたくさん押さえなくていいんですか?

T:はい、Cは1つだけで。ギターの4弦だけがあると思っていただいたらいいんですよ。6弦のうちの。それで、すっごい楽しくて。すぐにコードを押さえることができたんで。

■僕は60年代は小さい子供だったんですけど、その頃ウクレレって言ったら牧伸二さんっていう。

T:そうなんですよ、そのイメージなんですよね、みんなが(笑)。どんなにね、すごいコードや何かを入れてても「あ~、あ~あ、やんなっちゃった♪ やってみろ」って言われるわけですよ。そのうちにフォークやら、ロックやらがずーっと出てきて、みんなギターやってるわけですよ。でも僕は相変わらずウクレレですよ。で、見てるとギターやってるやつもそんなにたいしたコード入れてないんですよね。大雑把にやってるだけで「かっこいい~♥」とか言われてるわけですよ。で、俺が「えー、CからC7でFで、Fマイナーで終わって、今度はD7からG7に移って…」とかってやってくんだけど、一向にみんなが感心しないんですよ(笑)、「メジャーセブンスだ!」とか言ってても。で、「あ~、あ~あ、やんなっちゃった♪ やってみろ」って言うんですよ。

■「何でだ!」って感じですよね(笑)。

T:今みたいにねぇ、高木ブーさんでもうまいじゃないですか。

■知り合いにコーネリアスっていうミュージシャンがいるんですけど、彼のお父さんがマヒナスターズの人で、それを知ったとき彼に言ったんだけど…。昔ジャズが流行ったじゃないですか。で、ロックとかも流行ったけど、その間っていうか、ラテンとかハワイアンとかいろんなものが最先端の洋楽、ヒップな洋楽、クールな洋楽っていう時代があって…。ウクレレとかもハワイアンじゃないですか。そうすると、つボイさんがウクレレを始めたのは、そういう時代なのかなあとも思ったりするんですけど。

T:いや、僕がもらった時はもうハワイアンのブームも去ってて…。おじさんの音楽だったね(笑)。ジェイク・シマブクロ? ああいうかっこいい人っていなかったんですよ。牧伸二しかみんな知らない。

■ジェイク・シマブクロさんが有名になったのも最近ですからね(笑)。

T:あんな人がいたら、ねぇ、すっごいかっこいいじゃないですか。でも「ウクレレ」といえば「牧伸二」なんですよ。だからね、何やってもダメでしたね。で、しょうがないんで「ギターやろうかなあ」と思ったけど「ウクレレは5本指で4本弦を征するからできるけど、5本指で6本弦って本当はできないんじゃないだろうか」と。

■1本足りないですね、確かに(笑)。

T:「これは絶対ダメだ」とずーっと思い込んでたけど、あまりにもしょうもないコードでジャンジャンジャン!ってやってるのが多くて。1本指でね、ジャジャジャ~ン、ジャジャジャ~ン♪ってやってて。「おい、違うだろ!」って。それ見てみんなは「すごーい♥」って言ってるわけですよ。

■指1本で、まるでボトルネックのように(笑)。

T:オープン・チューニングでやればいいですよ、でもそうじゃない。普通のチューニングで、指1本でやってるだけで「かっこいい」って言ってるんですよ、みんなが。「音、違うだろ、それ」って。「何でこうなんだ」って。そんなようなことで「絶対ギター弾いてやろう!」と思って、それで弾き始めたんですよ。ウクレレのものすごい差別的な、社会的地位の低さから、そんなのから僕はギターのほうに入っていったということなんですけどね。

【取材&文=伊藤英嗣】

→【2】に続く

http://news.walkerplus.com/2011/0908/18/

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