「ゴールデン☆ベスト」をリリースした“つボイノリオ”にロングインタビュー!【7】

関西ウォーカー

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【みんな汗だくで踊ってたよね、老いも若きも】

■エレックっていうのは当時の最先端だったわけじゃないですか。当時の日本でそういう言われ方をされていたかどうかわからないですけど、少なくともクールなヒップなものだったと思うし。で、ここから『つボイノリオ ゴールデン☆ベスト』のCD2枚目の話を…。そこにも入っている“インカ帝国の成立”が、5年くらい前に、当時まだ日本にできたばかりのiTunes Storeを通してデータ・リリースされ、チャートの1位になったんですよね。

T:ワールドミュージック・チャートのね(笑)。

■フォルクローレの要素を取り入れてるから、ほんとにワールドミュージックですよ!

T:あんな長い曲だけどコード2つしか使ってないから(笑)。

■そういう曲はすごい好きです(笑)。というか、特に洋楽のフォーク系やロックンロールの曲には、昔からそういうの少なくないじゃないですか。それに、iTunes Storeが日本にできる前、普通にiTunesのアプリケーションで吉田拓郎とかのCDをリッピングすると、自動的に出てくるジャンル名がフォークになったりワールドミュージックになったりしてましたから。ああ、欧米のポップス以外はワールドミュージックなのかと(笑)。というか、ここでもデータ販売という最先端を…。

T:レコード会社がね、息詰まってる時代でしたでしょ?

■遊ぶ余裕がないって感じで。今もそんな感じ、しますけど。

T:ないんですよ。全然なくて、在庫抱えちゃうのがリスクなんで、よっぽどのものしか出さない。ほんとに名声とバックアップと宣伝力が、事務所の力とアーティストの力とか、はたまた期待の若手とか絶対に売れる大御所とか、みんなが「これならのれる!」っていうやつしか危なくて出せないっていう、そういう時代だったんで、ほとんど冒険ができない時代だったですよね。で、ちょうどこういうの(iTunes Store)があったら…。ここはリスクがほとんどないでしょ。そこに入れておけばいいわけですからね。

■レコード会社の力とかも関係ない。自主リリースでもOK。そして音楽的にも、昔は自宅録音なんて超しょぼいものしかできなかったけど、今はもうサンプリングはあるわ、コンピューターはあるわ、マルチトラック・デジタル・ハードディスクはあるわ、何でもできちゃうみたいな感じで。

T:そうなんですよ。僕らは昔は、お父さんたちは書斎がほしいと言ってて、僕らはスタジオがほしいと何度思ったことか。ほんと、スタジオがほしいなと何度思ったことか。だけど今はそんなにほしいとは思わないですよ。あんなにお金かけなくても打ち込みで結構いいのがあるし、アコースティック楽器入れるんだったら、それ持ってそのへんの…。

■練習スタジオで録ればいいですよね! そして、“インカ帝国の成立”と同じく、00年代なかばにiTunes Storeを使ってデータ・リリースされた“KINTA Ma-xim MIX”は、とてもモダンな、まさに今のテクノそのものといったアレンジで。

T:(当日、隣にいたCBCの安藤氏を指さしながら)彼が考えてくれたんですよ(彼はCBCラジオ社員でありながら、趣味で自宅録音をおこなっている。“インカ帝国の成立”をはじめ、00年代のつボイ作品は、基本的に彼がバックトラックを作っている。まさに趣味が高じた感じで)。

安藤@CBC(以下A):これは大いなる誤解から生まれたんです。“RADIO ON THE GO! ”っていう名古屋の民放でやってたキャンペーンのCMがあって、局の編成部から頼まれたんですよ、「『スターウォーズ帝国の逆襲』のパロディを作ってほしい」って。それ作らんとネットとか上げらんないって話になって、僕が作ってたんですけど…。で、聴いてたら“金太の大冒険”と同じメロディになってきたから、そのCMにつボイさんも出られてたんで、編成の人に「これ、つボイさんに許可もらってくれる?」って言って渡したんですよ。で、それを面白がってくださったって話を聞いて、トイレに行ったらつボイさんご本人がいたんです(笑)。そこで、その年、愛地球博のサテライト会場のディスコでリスナー集会やるんで、「ダンス・アレンジにしてください」って言われたのを勝手に…。僕が勝手にリミックスを作っちゃったんです。昔の音源からイコライジングして声抜いたりいろいろして。

■それはすごく興味深いんですけど、つボイさんはミュージシャンとして、いわゆるリミックス・カルチーというか、自分のヴォーカルとか昔の曲の断片を素材として使われて1つの作品になってしまった…ったというのは、どういうふうに思われますか?

T:それはもう時代ですし。だって古今亭志ん生とか何かもサンプリングしたりとかね。「こんなものをサンプリングして組み込みながらやってくのか」っていうのがあるから、そんなんだったら当然なるだろうなあと思うし。さっき言ったみたいにディスコでやるんで、ディスコ調で僕の曲全部つなげて、ずーっとちょっとした長いあれにしたら面白いだろうなあっていうなこともあって、作ってもらったんですよ。

■ちょうどその頃…5~6年前って、70年代終わりから80年代のディスコっぽい音楽が一部の若いコたちの間で流行ってたんですよね。いわゆるポスト・パンク再評価的なものから、もっときらびやかなディスコっぽい感じのものまで。

T:あそこ(愛地球博のサテライト会場のディスコ)も、そんなシチュエーションだったよね。

A:70年代終わりから80年代の再現っていうディスコでしたね。

T:そんな感じのディスコだったんで、面白がってそこへ踊りに行ってたんですよ。で、じゃあそこでやろうと。ウチらのリスナーも若いコよりもちょっと年配の人がいるからあそこで、「ああ、懐かしい」っていう人もいるし、「ディスコなんか行ったことない」っていう人もいるし、で、若いコだったら「こんな時代もあったか」って思えるし、「じゃあ、あそこでやろう」ってことで、もう全編、踊りまくってたよね。

A:でしたね。そもそもその時につボイさんが昔リアルに聴かれてたディスコ・ソウルとかそういうものを、10何曲かけてましたよね。

【取材&文=伊藤英嗣】

→【8】に続く

http://news.walkerplus.com/2011/0908/21/

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