京都の老舗酒造「松本酒造」と“北斎漫画の世界一のコレクター”浦上満氏が異色のコラボ!(その2)

関西ウォーカー

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(1の続き)

-すごい!

浦上-その時は7月で夏の盛りでもあったので、おばけとか妖怪などの類いの作品を展示しましてね。その流れで今回の展示はどうしようかということで、もちろん北斎漫画と、もうひとつ…なんと、今回は「春画」も持ってきたんです。

-素敵(大拍手)!

関西ウォーカー編集長-何で拍手…(笑)。

-実は私、20歳くらいの頃に春画の画集を集めていました!

浦上-うっそ!(笑)

-私の場合は入り口が花街とか色街の世界に興味があって(携帯アドレスも吉原花魁)、そこから春画へ辿り着いたという感じなんですが。

浦上-僕は18歳の頃から北斎漫画を集めてきたんですけども、新潮社から有名な先生方と共著で「北斎 漫画と春画」という本を出させていただいたんですけど、その本の表紙で、僕の名前がちょうど「春画」というタイトル文字の下に書かれていましてね(笑)、それで何も知らない方から「春画の浦上先生ですか」なんて言われたこともありまして(笑)、当時は35、36歳くらいだったものですから、「違います!”漫画”の浦上です!だいたい春画なんて大っ嫌いです!」なんて怒ったりしたものなんですが(笑)、それがどうして、50歳あたりで急に春画に目覚めましてね(笑)。

-遅咲きの浦上先生(笑)。

浦上-えらい奥手でありまして(笑)。実は大英博物館で再来年の今頃、大春画展をやる予定で、僕もその企画に協力しているんですよ。

-それはもうぜひ行きたいです!

浦上-大英博物館の後は東京国立博物館という案もあったんですが、内容が内容なだけに、公立の美術館はまだまだちょっと腰が引けちゃうようで(笑)。

-そうですよね…(笑)。北斎の歌麿のとは言っても、描かれているものが本当に生々しくて肉感的なものですしね。そこが好きなんですが。

浦上-これは春画だけではなくすべての美術品に言えることなんですが、良い作品をしっかりと見極めないといけない。一言に春画と言っても、ただのエログロなだけのものもありますしね。同じ春画というジャンルでも、見て感動を覚えるものもやっぱりたくさんあるわけです。陶器でも、例えば唐の時代のもので同じ本物でも、こっちは5万円もしないけどこっちは10億円はするとか、そういう大へんな違いがあるわけなんですよ。まあ値段というのは解りやすいよう着けられた記号みたいなものですが、それぐらい物というのはシビアに分けられているものなんです。何を選ぶかによって、その人の眼力だったり感性だったりが見えるわけですね。

-松本さんは今回の会はこちらの場所を熱望されてのことだったとのことですが、最初にこういう斬新な企画を受けていかがでしたか?

松本-やはりこれは文化ですから、私は文化というものはそもそも人々を楽しませるために存在していると思っていますので、今回はすごく有り難いお話をいただけたと。我々もなぜ酒作りをしているかと言いますと、やはりそれは飲んでいただいたお客様に楽しんでいただくためでして、物は違えど基本理念は同じというか、同じ目標に向かって進んでいると思いましたので。酒蔵を使ったこのような企画が開催されるのも今回が初めてのことですので、我々もここはひとつ目線を変えて、お酒と美術品というふたつの文化を楽しんでみようと。これをきっかけにまた違った角度から日本酒の文化をさらに広く知っていただくきっかけになってもらえたらと思っております。「こんな酒蔵もあるんやで」という気軽さで、興味を持って頂けたら嬉しいですね。

-敷地内にあります迎賓館、「万暁院(まんぎょういん)」の由来というのは?

松本-これは私の祖父が建築したものなんです。大正時代の中頃に伏見の水が良いということで、京都市内からこちらに移ってきたのですが、祖父は材料にこだわりがあったものですから、材料を集めるために30年ほどの年月を要しまして(笑)。材料集めに30年、建築に5年、それで昭和29年にやっと完成したわけなんですが、30年も待ったから約1万日かけた暁に完成した迎賓館、という意味でこの名前になったというわけです。

-人生の大半をこちらの建設に費やしたといっても過言ではないですね。

浦上-ほんとに素晴らしいですよね。見事ですよ。

松本-この空間で飲んだお酒は美味しいなって思っていただくために設えですわ(笑)。日本酒の新しい文化を発信するひとつのきっかけになればと思います。

-ありがとうございました!では今日は浦上先生の大切な古陶磁器に粗相がないことをただただ祈っております(笑)。

※(その1)に戻る!→http://news.walkerplus.com/2011/1011/17/

【対談はこちらの2人!】

●松本保博(まつもとやすひろ)

京都・伏見にある1791年創業の松本酒造の代表。2008年、万暁院と正門が国の登録有形文化財に登録された

●浦上満(うらがみみつる)

幼少期より、古美術に親しみ、古美術界の老舗「繭山龍泉堂」での修業後、浦上蒼穹堂を創立。一方で、40年以上にわたり「北斎漫画」を収集する世界一のコレクターでもある

【取材・文=三好千夏】

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