【追悼特別インタビュー】ジョブズの遺伝子は受け継がれていく~「ワンボタンの声」山村和久さん~(前編)

関西ウォーカー

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Appleの創業者で長くCEOを務めたスティーブ・ジョブズが亡くなり、内外に衝撃が広がった。iMacやiPod、iPhoneなど次々と革新的な製品を送り出してきたAppleのファンは日本国内にも多い。さらに、ジョブズ公認の伝記も発売されて大ヒットとなっていてジョブズ人気はまだまだ続いている。そこで今回は、関西ウォーカー連載「関西ITなう。」でiPhoneのおすすめアプリなどを紹介してくれている山村和久さんに特別インタビュー。長くApple社製品と関わり、Appleファン向けインターネットラジオ「ワンボタンの声」を配信している山村さんに、Appleとの関わりなどについてお話を伺った。今回はその前編です。

―山村さんとAppleの出会いは?

山村「80年代の終わりごろですね。当時はまだコンピュータにそれほどのめり込んではいなかったのですが、職場でMacを販売することになったんです。カタログに「Macintosh」と書いてあって、『何これ?チョコレート?』みたいな印象でした。ただ、Appleがアメリカの会社だと言うことは知っていました。そこで仕事のために一所懸命コンピュータのことを勉強したんです。

当時、個人的にどうすれば人と違う画風ができるか、エアブラシで絵を描いたりして研究していたのですが、コンピュータで絵を描く人はまだそんなに多くないだろう、自分が研究したら第一人者になれるのではないかと考えました。それにはMacが一番いいだろうと考え、日曜や休みの日に、Macを展示している部門に行って使わせてもらって研究していました。

本当は自分のMacがほしくて仕方なかったのですが、そのころのPowerBookは70万円以上もするもので、とうてい手が出ません。たまたま展示などで使ってお客さんに売れなくなった放出品を買えるチャンスがあって、ぼろぼろの中古でしたが、20万円程度で購入することができました」

―そこからAppleに深く関わるようになったのは?

山村「自分のマシンを持つとやはり、いろいろなところで使いたくなります。ちょうど日本橋でユーザーグループのmAcademiaマカデミア)のチラシを見て参加するようになり、そこでいろいろな人と出会いました。お客さんとは違って本音でつきあいができる仲間になり、また、Macの情報も集まるようになってのめり込むようになりましたね」

―そのころのAppleやMacにどんな魅力を感じていたのですか?

山村「可能性です。あるシングルマザーが子どもを抱えて経済的も行き詰まっていたとき、なけなしのお金でMacを買い、DTPを始めて第一人者になった話や、野球記者が夢だったのに新聞社に落ち続けていた人が、自分で記事を書き、Macで新聞を作って発行したところ、地方紙の目に止まって本当の新聞記者になったエピソードなどを本で読んだことがあります。

私自身はCGに傾注しようと考え、情報が乏しかったので、関西でそういう業界の人を見つけては恥も外聞もなくお近づきになって話を聞いたり、イベントに顔を出したりして、情報を収集していました。Macがなかったらそういった人との縁もなかったし、いまもそうした仕事をしいますが、Macはそこへの道を付ける役割を果たしてくれました」

―当時、ジョブズはAppleにいたのですか?

山村「ジョブズはすでに解任されたあとでした。いま、ジョブズが亡くなってAppleの将来を悲観する人がいますが、ジョブズが解任されていたころ、そんなことをいう人はおらず、Appleという文化は変わらないといわれていました。ジョブズ不在の時もファンとしては低迷期という意識はありませんでしたね。ただ、売り上げは低迷していましたが。

1996年、アメリカのMacワールドエキスポを訪れました。当時のCEOのギル・アメリオがApple20周年記念モデルのMacを得意気に発表していたのをいまも覚えています。そのころはうわさもなかったのですが、1年後、ジョブズ復帰のニュースが流れて、MacワールドEXPOには『ことし行けばよかった!』とみんなで後悔した覚えがあります。

でも、実際のところジョブズの復帰には期待よりも不安がありました。当時、ジョブズは自分で作ったNeXTという会社をつぶしています。AppleにNeXTの技術を持ち込んでくると聞き、Appleは本当に終わるんじゃないかという一抹の不安がありました。それが払拭されたのはiMacの登場。ジョブズはAppleを救うために来たのだと思いました」

―ボンダイブルーのディスプレー一体型のiMacですね

山村「最初にあのiMacの写真を見たときは『ああ、終わった』と思ったんですよ。それまで見たことのない丸っこいボディーでジョブズの気まぐれでおもちゃにされている、こんなので遊ばれたらもう終わりだと。でも、そのあと1、2時間インターネットで評判を調べるとアメリカではすでに発売を待ちわびて、プラカードを持ってApple storeに来ている人もいるという状況で、これはちょっと期待できるのではないかと思い始めました。

iMacのあとにはiBookが出るとうわさされていました。私はノートが好きなので、それを待って1年後に、タンジェリンのiBookを購入しました。これは無線LANを積んでいて、ジョブズがプレゼンで、ワイヤレスでインターネットができると強調していたのが印象的でした。その時に限らず、ジョブズのプレゼンは演出が印象的ですね。iPod nanoが出たときには『ジーパンの小さなポケットの使い道をやっと見つけた』と、小さなポケットからiPod nanoを取り出して見せた姿が目に浮かびます」(後半に続く)

※後編はコチラ!URL:http://news.walkerplus.com/2011/1101/22/

【取材・文=鳴川和代】

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