アーティストや評論家など名だたるメンバーが集結! 「おおさかカンヴァス」見学ツアー&座談会 ⑥

関西ウォーカー

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おおさかカンヴァス座談会⑥

●最後に

「アートの面白さは、広く世間に受け入れられるものではない個人の哲学や美学が裏に見えるのが面白い。面白いアートやアーティストっていうのは、受け手にいろんなことを想像させる、そういう余地を与えることが出来る」と、観覧後に行われたパーティーの席で、ヤノベ氏は語った。

その通り、私はこの日、作品を「鑑賞」するだけに留まらず、影響され、刺激され、そして頭のなかでは始終、勝手な想像や妄想が止めどなく繰り広げられていた。そして早い段階で気付いたのだ。アートは見るものでも、語るものでもない。「感じる」ものだと。

椹木氏は「今回、慌ただしいスケジュールでしたが、実にバラエティに富む作品が見れました。大阪という街の持つ色々な顔が、十人十色のアートを通じて浮かび上がってくる発見に興奮しました。これからもアートをどんどん導入して、街を活性化する企画が楽しみです。」と語った。

この「おおさかカンヴァス」に関して「街とアートの“融合”」という文字をどこかで見かけた記憶がある。

私も今回参加するまで、それ同士の“融合”を見るものなのだと思っていた。だが実際はまるで違った。融合などする筈がないのだ。街という雑多な生活空間と独立文化である芸術の融合などあり得ない。そこが大事なのだった。混ざり合わない者同士が同じ空間に在ることで生じる「浮力」こそが、今回のアートイベントの面白みなのだ。

「なんでこんなところにこんなものが!?」という、私が最も得意とする単純な感嘆が素直に生まれるのは、その「浮力」の成せるワザなのだ。椹木氏が語った通り、こんなにも特異な文化に対して協力的である大阪という街は、何というか、とってもかっこいいじゃないか。

そして今回のツアーが終わる頃には、先に記した私の個人的な「なぜアートが好きなのか」という疑問の答えが、よりはっきりと形を成してきた。私はそこで、それによって、自分の感情に初めての何が起こるのか、それが知りたくて仕方がないのだ。

芸術の世界が常に新しい何かが生まれてくる場所なのだったら、そこへは何も持たず、何も知らないまま飛び込んだほうが楽しめるんじゃないか。理屈のない衝撃を与えてくれて、ひとりひとりを勝手な妄想の世界へと誘ってくれるのは、もうこの世においては芸術しか残っていないのだから。だから何も理解できなくても、語れなくても、私はまた芸術の世界へと足を向ける。やっぱり、アートがものすごく好きだ。大好きだ。

(了)

※①に戻る→

http://news.walkerplus.com/2012/0125/23/

【取材・文=三好千夏】

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