沖縄発!黒糖菓子「むちむち」シリーズ、全国的ヒットまでの軌跡
東京ウォーカー(全国版)
流行発信ショップ「ranKing ranQueen(ランキンランキン)」の菓子の売り上げの中で常に上位にランクインする沖縄発のヒット商品「むちむちシリーズ」。同店の開業10周年記念キャンペーンの一環として店頭、Twitter上で約3500人の投票によって決定した新フレーバー「パイン」が5月より先行販売されるなど今話題を集めている。親しみやすいネーミングと沖縄産の黒糖を使った素朴な味、地方発の菓子が全国的に人気を集めている理由を探った。
■既存のイメージを覆す新たな黒糖菓子「むちむちシリーズ」
「むちむちシリーズ」とは、沖縄県うるま市の海邦商事から発売されている加工黒糖菓子のシリーズ。メイン商品である「むちむちきなこ」はやわらかい食感に仕上げた県産黒糖に水あめをまぜ、香ばしいきなこをまぶしたポケットサイズの黒糖菓子だ。きなこのほかにも、さまざまなフレーバーが商品化されており、「むちむちソルト」「むちむちココア」「むちむち抹茶」「むちむちしょうが」など現在8アイテムがラインアップされている。
そもそも1991年設立の海邦商事は、沖縄の基幹産業であるサトウキビを原料としたお菓子を多数製造・販売する老舗だ。むちむちシリーズの代名詞的存在「むちむちきなこ」が誕生したのは意外にも2006年8月ごろと歴史は新しい。「年配の方だけでなく、若い人にも好んで食べられる味に仕上げたいと思ったのがシリーズ誕生のきっかけです」と話すのは同社の代表取締役・セントローレント真紀さんだ。
■新規開拓を目指すも販売当初は苦戦続き
開発時、むちむちシリーズのターゲットは高校生、OLに設定した。女性がかばんに入れやすい小さくて邪魔にならないサイズ、そしてこれまでの黒糖菓子のイメージを覆すネーミングとポップなパッケージにこだわったという。現在は取締役の真紀さんだが、当時は語学系の仕事から企画・営業職に転職してきたばかりの畑違い、いわば“素人”だった。既存のものとは違う新しい商品を生み出すため、むちむちシリーズは若いスタッフを中心に企画段階から進められたそうだ。
しかし、発売当初はバイヤーの反応も良くなく、売り上げも苦戦する滑り出し。「発売の年は本当に売れなかったんです。正直。見た目が黒糖っぽくないし『売れるはずがない』とバイヤーさんにも言われてしまって…」と振り返る真紀さん。実は、社内でも販売に反対の声があり、発売して1~2年、数字として結果が現れず『ほら、みろ』といった空気もあったそうだ。
だが、真紀さんら若いスタッフの感性で生み出された「むちむちきなこ」は3年目ぐらいから結果を出し始める。面白いことに、沖縄の伝統菓子だが人気の火がついたのは東京から。「ナチュラルローソン」や前出の「ranKing ranQueen」など、いわゆるアンテナショップで取り扱われるようになったことで、消費者はもちろん、バイヤーからも注目を集めた。
その後、2010年には年間42万袋(月3万5000袋)を売り上げるまでになり、現在は同社の売り上げ約3割を占める基幹商品に育っている。シリーズ8アイテムすべての企画、デザインなどを手掛けてきた真紀さんは、改めてその人気の秘密を「お手頃なサイズと価格、若い人が手に取りやすいポップなデザイン、そして若い人でも食べやすい風味」と分析する。
■シリーズ初のコラボ商品誕生、狙うは県内消費
むちむちきなこのヒットを受けて、同社では毎年1、2アイテムの新商品をコンスタントに販売。きなこのほか、「アールグレイ」「抹茶」「ココア」「ソルト」「しょうが」「バニラ」「満合(まんごう)」と現在8アイテムがそろう。そんな中、5月11日(金)から発売される新フレーバー「パイン」は、他社との初のコラボ商品。3か月間先行で「ranKing ranQueen」で先行発売、7、8月に全国発売の予定だ。
アップル、パイン、ストロベリー、3つのフレーバーの候補の中から人気投票で選ばれたのは南国・沖縄らしい「パイン」。パッケージも黄色と緑を中心にさわやかなデザインに仕上げた。むちむちシリーズは8割が県外出荷、県内でも観光客向けのショップが販売の中心ということもあり、真紀さんは「これまで“きなこ”と沖縄は結びつきにくかったのですが、パインは南国沖縄の土産品として扱ってもらえるはず。沖縄らしいフレーバーなので、県内でも売れてほしいですね」と県内消費にも期待を寄せている。
■むちむちシリーズに一旦ピリオドを、新シリーズを計画中
むちむちシリーズ誕生から8年。実は“むちむちパイン”の発売をもって、一度むちむちシリーズに終止符を打つという。黒糖がメインでさまざまなフレーバーを展開するむちむちシリーズとは反対に、素材をメインに据えた黒糖味の新シリーズを今秋完成予定で企画中だ。素材をメインに据える分、むちむちシリーズより価格帯をやや上げ、ターゲットの年齢も上の世代(30代~40代)を狙うという。
県内でのヒットを狙う初のコラボ商品「むちむちパイン」の発売、そしてむちむちシリーズのノウハウを生かした新シリーズの展開。既存の概念を打ち破り、沖縄発の菓子を全国人気へと押し上げた海邦商事の次なる一手に今、大きな注目が集まっている。【東京ウォーカー】
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