「MY HOUSE」(5/26公開)で堤 幸彦監督が社会に問いかけるメッセージとは?
関西ウォーカー
これまで数々のエンタテインメント作品を生み出してきた堤 幸彦監督。そんな彼の最新作「MY HOUSE」は、自由な暮らしを楽しむ実在のホームレスをモデルに“幸せの意味”を問いかける社会派ムービーだ。映画ファンにとって意外な作風をいま世に放つ、その意味とは? 堤監督が語ってくれた。
─堤監督といえば映画「20世紀少年」シリーズや、最近だと「SPEC」シリーズなど数々のエンタテインメント作品を生み出してきましたが、今回は真逆の“社会派”です。この映画を作るきっかけは何だったのでしょうか?
「20年以上、監督という仕事をしているんですが、自分の思いを映画に反映させすぎると“娯楽”として成り立たないと思うんです。だけど僕の頭のなかは半分以上が時事ネタ。それに56歳になり、そろそろ死ぬ準備を始めなきゃいけないなと思った時に(笑)、社会と向き合った上で棺桶に持っていける作品を作りたい、自分が気になること、衝撃を受けたものを作品に反映させたいと思ったんです」
─“ホームレス”というと、やはり社会的にはマイナスのイメージで語られがちですが、監督が作品の題材にしたポイントはどこにあるのでしょうか?
「バブル全盛期の1990年代初期に、ニューヨークで日本人がビルを買いまくるような場所があって、そこに1ブロックに3人くらいホームレスがいたんです。あこがれの地でもあるニューヨークでこんなにいることに衝撃を受けて、オノヨーコさんに主演をお願いして『HOMELESS』(’91)という作品を作ったこともありました。今回に関しては雑誌に連載されていた、建築家・坂口恭平さんの記事が原作となっていて、主人公のモデルとなった鈴木さんという方がいるんですが、彼が自分の意思で路上生活を選んでいることに驚いて。非現実的にも思えるけれど、彼みたいな人が自分たちのそばに実在するんだということを映画にして伝えたかったんです」
─主人公のホームレス・鈴本をシンガーソングライターのいとうたかおさんが演じられていますが、演技はほぼ初挑戦。彼をこの役にキャスティングしたのは?
「鈴本という役は優しさと強さを持ち合わせたキャラクターです。いとうさんはすごく地道に活動をされていて、自分の足でしっかりと立っているように僕は感じたんですよね。そこが、自分の意思で路上生活を選び、楽しんでいる鈴本にぴったりだなと思ったんです」
─自由な暮らしを楽しむ主人公に対して、木村多江さん演じる主婦など裕福な暮らしをしていても、どこか虚しさを感じているキャラクターも登場しますね。
「みんな心のどこかで不安を抱えて暮らしていると思うんですよ。たとえいくら立派な家に住んでいても、心に闇を抱えていて決して幸せじゃない人もいるということです」
─今回の作品に驚くファンも多いと思いますが、観客へのメッセージをお願いします。
「モノクロかつ音楽もほとんどない作品で観客の感情を誘導させるような仕掛けは排除しているので、映画を観る人によって違う感想を抱く作品だと思います。だからこそ見飽きることもないだろうし、僕が撮った作品だと先入観を持たずにぜひ観ていただきたいです」
※堤監督のインタビュー全編は、Ustream番組「関西ウォーカーTV」(Ustre.am/m0oG)でチェックしよう。
【取材・文=リワークス、撮影=サンペイ】
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