映画『11.25自決の日』に出演の満島真之介、故郷沖縄で新たなスタートを切る!
東京ウォーカー(全国版)
6月10日に那覇市・桜坂劇場で公開された『11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち』で、三島と最後まで行動を共にし、自決を果たした森田必勝(まさかつ)を演じ、映画デビューを飾った沖縄出身の俳優・満島真之介。初出演作を携えて故郷に帰ってきた満島が、今回の単独インタビューで、沖縄と作品に対する熱い思いを語ってくれた。
――初出演映画が沖縄で上映された感想は?
すごく不思議な気分です。一概に嬉しいとも言えないし、嬉しい反面、すごく責任も感じてます。もう一度スタートしなきゃいけない時期に来てるな、と。沖縄に帰ってきて、いろんなことを考えるいいきっかけになりました。
――今までの俳優活動から新たなスタートを切るということですか?
俳優と言っても、まだ1年半しかやってないのでなんとも言えないのですが、漠然としていたけど、作品を持って沖縄に帰ってくるというのがひとつの目標でした。そして、自分の精神と体のバランスが一致しつつあるこの時期に目標がひとつ叶った。そうすると、やはり新しいスタートを切る時なんじゃないかと。大げさですけど、自分が沖縄を背負ってるんだと改めて感じるし、森田必勝という男の思いを、僕らのような20代の若者や中高生に、先頭に立って伝えなきゃ、そういう思いで沖縄の空気を吸ってます。
――同世代の方に観てほしいですか?
はい。僕が沖縄出身ということで、お客さんを呼びやすいっていうのもあるんですが(笑)。こういう若者像が求められている時代だと思うし。
――最近は、人間関係をつなぐものがネットやメールだったりと、ワンクッション置くことが多いように感じますが。
そういうのは逃げというか、間接的だし楽ですよね。今って情報がすべて同じになってしまっている。容量が100だとしたら、沖縄の人も北海道の人もアメリカの人も同じ内容の100。本当は、それぞれがいろんな情報を欲しいと思っていても、なかなか選択できずにいる。だからこそ、森田さんのような“自分の信じるもの”のために、シンプルに生きた若者のまっすぐな思いというのが、僕たちの世代に伝わればすごく広がると思う。この映画が、沖縄そばに入れる コーレーグース(島とうがらしを泡盛に漬けこんだ沖縄の辛味調味料)のように、人生のスパイスになればいい。
――そういう思いを感じることで、考え方の幅が広がりますね。
今って世の中が“チャンプルー”されてないと思うんです。もっといろんな物事をチャンプルーするといい。人間関係も入り乱れることなく、電波だけ発して、肉体を通して言葉を発するということがなくなってる。そんな目に見えないものばかり飛ばしている関係に、“心”っていうものを加えるともっと深くなると思うし、沖縄の人はそれに反応する素質を持っていると思う。その時代のことを知らない、平成生まれの僕でも森田さんを演じることができた。それをスクリーンで実際に観て、空気を感じてほしい。
――自転車で日本一周したとお聞きしましたが?
はい。ほとんど衝動的に。実は高校卒業後、アメリカの大学へ入学しようと考えていました。でもある日、友人に「シン、君は天皇のことどう思ってる?」って聞かれたんです。それこそ「今日の夕飯、何?」くらいの軽い感じで。でも僕は何も答えられなかった。それが戦争のことでもきっと答えられなかったと思う。とても恥ずかしくて、このままアメリカに行っても何も得るものはないだろうと思って、まず日本の中心である東京に行ってみようと思った。そして2年ほど東京で暮らして、保育園の先生もして、いろいろな人間関係もできた。でも僕はまだ東京と沖縄しか知らないと思ったら、何かで調べるより先に、本能がそこへ行きたがった。決心して1週間半、自転車を買って旅に出たんです。その間に、東京や沖縄が特別な場所なのもわかったし、何よりこんなに色鮮やかで美しい国に住んでいるってことを改めて強く実感しました。そのときに初めて、自分の中から出てくるものを素直に表現する場がないか、と思うようになったんです。
――自分が欲しているものに正直に従ったという感じ?
観念的な部分を捨て去りたいとは思っています。実は先週が誕生日だったんですが、22歳になるときに若松監督に出会って、22歳の終わりに映画が完成して、そして23歳になって沖縄に帰ってきた。だからここが新しいスタート地点だと思ってるんです。今、自分がすごく高まってる気がするし、目まぐるしく変化しているけど、地に足をつけて自分に正直であろうと。そんな時期に、若松監督をはじめ、新さんやいろいろな大人に出会えたのは本当に幸せなことでした。
――また違う“満島真之介”が生まれるんですね。
こうして僕の思いを聞いてくれる人がいるってことがとても幸せだし、沖縄の若い人たちにも一緒にスタートしようって言いたいです。映画を観てほしいし、実際に劇場に足を運んでこの熱量や空気を感じてほしいです。
――今後、やってみたい役柄はありますか?
僕は、役者という仕事に対して思うことがほとんどないんです。どういう役者になりたいとか、どう活躍したいではなくて、僕が人間としてどう成長したいか、人間としてどう生きたいかということが大事。だからこそ今を大切にしたい。
――「先が見えない」というと言葉は悪いですが、まさにどうなるかわかならいですね
タンポポの綿毛と同じで、どこに飛んで行くかわからないです。今たどり着いたのが役者だったということ。自分を知ること、自分でいることが大切だと思っているので。それを生み出してくれたのは母親であり、父親であるんだと、最近はそういうことばかり考えています。先祖に胸張って会えるかな? なんて、そんなことばかり考えてます。
【東京ウォーカー】
この記事の画像一覧(全2枚)
キーワード
テーマWalker
テーマ別特集をチェック
季節特集
季節を感じる人気のスポットやイベントを紹介
全国約900件の花火大会を掲載。2025年の開催日、中止・延期情報や人気ランキングなどをお届け!
ゴールデンウィーク期間中に開催する全国のイベントを大紹介!エリアや日付、カテゴリ別で探せる!
おでかけ特集
今注目のスポットや話題のアクティビティ情報をお届け
キャンプ場、グランピングからBBQ、アスレチックまで!非日常体験を存分に堪能できるアウトドアスポットを紹介