『11.25自決の日』沖縄舞台あいさつで満員の会場に若松監督も感動!
東京ウォーカー(全国版)
三島由紀夫が、1970年11月25日に、防衛庁内で自決するまでの日々を描いた『11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち』が6月10日、那覇市・桜坂劇場で公開され、舞台あいさつに若松孝二監督、井浦新、満島真之介、大西信満が登壇した。まず、森田必勝(まさかつ)を演じた地元沖縄県出身の満島が登場すると、会場からは一際大きな拍手が。続いて三島由紀夫を演じた井浦、倉持清役の大西、若松監督が現れ、歓声の中、温かい拍手で迎えられた4人は嬉しそうな笑顔を見せた。
トップバッターとしてあいさつに立ったのは、満島。少々緊張した面持ちで「こうやって作品を沖縄の人に観てもらうことが、僕のひとつの夢でした。ここからまた沖縄の心を背負って、前を向いて進んでいきたいと思います。これからも応援よろしくお願いします」と力強くあいさつ。続いて井浦が「みなさま、今日は足を運んでいただいてありがとうございます。1年半前に監督から、『三島由紀夫は任せた』と言っていただいて、いよいよ作品が自分の手から離れ飛び立っていったなと感じています。心に残ったものを持って帰っていただけたら嬉しいです」と、穏やかな口調で話した。
若松監督作品常連の大西は、2年前の『キャタピラー』でも桜坂劇場の舞台あいさつに登壇。落ち着いた表情で「雨の中、みなさんありがとうございます。自分の中でこの役柄には強い思い入れがありました。新くんや、満島くんに一番近い人間として、この現場がどうやって成立し、どうやってみんなが取り組んできたのかをお伝えできればと思いやってきました」と続けた。
満員の会場を目にした若松監督は、「こんなにお客さんが入るとは思わなかった。本当に感動しています。初日にこんなに入ったのは新宿くらい。こんなに大勢の方が来てくれるなんてなぁ」と嬉しそうに話すと、大西に視線を向け「尺が長すぎて、15分くらい大西君の出番を切っちゃった。その代わり沖縄連れて行ってやるからな、となだめてね。『沖縄だけは行かせてください』と彼が言うものだから」と、大西との仲の良さをうかがわせるエピソードで、観客たちの笑いを誘っていた。
若松監督の現場は厳しいことで有名だが、映画初出演が若松作品となった満島に「さんざん怒られて、もう俺の顏を見たくないんじゃないかなぁ? 最後の自決のシーンなんて本物の刀だから、切られるんじゃないかと思った。この場を借りて、ごめんな」と茶目っ気たっぷりに目くばせすると、会場に大きな笑い声と拍手が響いた。
続いて恒例の質疑応答が始まり、観客から三島由紀夫を題材にした理由を聞かれた若松監督は「楯の会という、国を憂いて何かを起こしたいと思った若者たちのことが常に頭にあった。でも学校ではこういうことは教えてくれない。50年経ってこのフィルムを見て、こんな若者たちがいたということを残したかった」と、監督らしい骨太なコメント。
森田を演じた感想を聞かれた満島は「今考えると幸せなことなんですが、現場では『なんでこんなおじいちゃんに怒られないといけないんだ!』と思いながらやっていました。僕は平成生まれでこの時代のことを何も知らないけど、芝居がどうというより、森田さんの役と出会って、若松監督と出会ったということのほうが大きい。こうやって映画が完成した今、森田さんの精神を背負って生きていく、そういうものを大切にしていきたい。僕は沖縄への思いがとても強いので、この映画に携われて、そして自分の新たなスタートとしてこの場所に立てたことを本当に幸せに感じています」と晴れ晴れとした表情で語った。
監督は、三島を演じた井浦について、「新の三島を演じてほしいと言ったら、三島さんが乗り移ったかのようだった。ほとんどのシーンが1回でOK。本当にそっくりで、不思議な映画が出来上がったなぁと思った」としみじみ。自決のシーンについて井浦は「頭で考えることをやめて、現場で生まれてくる心だけを大切にしていました。自決のシーンは、監督が撮影の最終日にしてくれたのですが、とても穏やかな気持ちでした。三島さんもこんな気持ちだったのかな、と。撮影の時は正直意識も無くなっていて、監督の『よーいスタート、オッケー』の声だけしか聞こえませんでした」と、当時を振り返った。
最後に観客へのメッセージを求められると、まず満島が「若い世代の方に新たな気持ちで観てもらえたら嬉しいです。僕が先頭に立って、この沖縄を、この日本をもっと素敵な場所にしたい。ウチナーンチュ頑張ってるよ! っていろんな人に言ってください。携帯を触る2時間を、この劇場で過ごして、何か感じてもらえたら」とコメント。井浦は、「この時代を知らない、触れたことのない人たちに、三島由紀夫という概念を外して観てもらえたらまた違った映画になると思う。良かったでも悪かったでも、何かしら残ったら5人以上にこの映画を広めてください」としっかりとした口調で続けた。
大西は「舞台あいさつでは、いつも3番目くらいでしゃべることが無くなるんですけど」と観客を笑わせた後、「何かすさまじいものがちゃんと映っている映画だという自負があります。映画は観てもらって初めて作った意味があるので、観てくださった方のクチコミが一番だと思う」と一転して真剣な表情。最後に監督は「人生の中の貴重な時間を使ってくれたわけですから、観て損しなかったと思ったら、『2時間ほど若松にくれてやれ! 桜坂劇場にくれてやれ!』なんて、人に言ってくれたら嬉しい。映画という武器を使って僕は表現していく。また来年お会いできたらと思います。ありがとうございました!」と若松節で締めくくり、大きな拍手が鳴りやまない会場を4人そろって後にした。【東京ウォーカー】
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