沖縄「慰霊の日」に“命”について考える舞台「ニイナとオジィの戦世」を上演
東京ウォーカー(全国版)
6月23日(土)の慰霊の日に「沖縄本土復帰40周年記念事業」の一環として、那覇市のパレット市民劇場で、オーディオ舞台「ニイナとオジィの戦世(いくさゆ)」が上演される。公演本番を直前に控え、舞台稽古が行われた。
「ニイナとオジィの戦世」は、鉄血勤皇隊に招集された少年兵の悲劇をモチーフに作られており、戦争シーンについては元学徒兵の証言や取材に基づいて構成されている。
現代社会で生きることが嫌になり自殺を図った主人公・ニイナは、あの世の入り口・三途の川で不思議な“声”と出会い、1945年の沖縄へ導かれる。太平洋戦争の真っただ中、アメリカ軍が上陸し、戦場と化したふるさと沖縄で、彼女は学徒兵として必死に戦う16歳のオジィ(沖縄方言で“おじいちゃん”の意味)を見る。そこで彼女は自分の命に“つながり”があったことを感じ、そして、ニイナはオジィの生死を分かつ意外な真実を知る。
今回は、劇中の挿入歌を生歌で披露。歌の出演は、池田卓、下地勇、Niinaほか日本を代表する歌手・UAも出演。ほか、パフォーマーとしてバレエダンサーの緑間玲貴と前田奈美甫、琉球舞踊家の安次嶺正美と平敷勇也が出演する。
リラックスした雰囲気の中で動きや流れを確認した後、通し稽古が始まった。目を引いたのはクラシックバレエ、琉球舞踊、ヒップホップの融合。ジャンルを異にする3者が美しい音楽とともに舞台に彩りと深みを与えていた。稽古とは思えないほど、せりふや動きの一つ一つに強い思いが込められており、この作品に懸ける意気込みがひしひしと伝わって来る。
主役を務める3人と脚本家の鍵山直子さんに話を聞いた。
玉那覇愛(ニイナ役)
「2010年から3回目のニイナ役になります。1、2回目はまだ勉強も十分ではなく突っ走るだけでしたが、その中で学び、成長してきた姿をニイナという役を通して見せられたらと思います」
泉川慧太(亀吉[オジィ]役)
「当時の人々の気持ちをリアルに感じ、分かってほしい。役をもらった時は主役だったので単純にうれしかったが、亀吉の気持ちの経緯を理解するのが難しかった。いろいろ学んできたので、それを分かってもらえるように頑張ります」
大山瑠紗(美子役)
「戦争を体験していない若い世代に、教科書上のものではない戦争を、もっとリアルに感じてほしい」
鍵山直子(脚本家)
「沖縄戦で亡くなった方の死を無駄にしないためにも、命がつながり、今生きている奇跡、幸せを感じてほしい。この作品で現代と過去を結びつけて描いたのは、過去から学び、現代にフィードバックすることは大切だと思うから。戦争を学び、つながる命に感謝して生きることが平和につながる。この舞台にかかわる人々は皆、稽古のたびに戦争をリアルに感じ、苦しみながら作り上げてきました。この舞台を観て、今生きていることに感謝し、命の使い方と、その意味を考えてもらえたらと思います」
資金繰りに苦労しながらも3回目を迎え、那覇市が主催することとなった今回の公演。鍵山さんは「続けてきたから評価され、那覇市に主催してもらえるようになりました」と語る。
命とは何か、生きるとは何かを見つめ直す「ニイナとオジィの戦世」。終戦から67年が経過した現代、通り過ぎるだけの平和学習ではなく、平和について考える新しい方法としてこの舞台を観るのもいいかもしれない。【東京ウォーカー】
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