『スケッチ・オブ・ミャーク』の大西監督、作品に込めた宮古島の神歌への思いを語る
東京ウォーカー(全国版)
9月5日に那覇市の桜坂劇場で『スケッチ・オブ・ミャーク』の全国公開記念試写会と記者発表が行われ、舞台あいさつに大西功一監督が登壇した。
『スケッチ・オブ・ミャーク』は、沖縄県宮古諸島で、日々の暮らしや神への信仰などから生まれた「アーグ」と呼ばれる伝承唄と「神歌」、そしてそれらを唄い、語り継ごうとする人々を追ったドキュメンタリー。島に住む人々に密着し、消えつつある神歌の風習とその素晴らしさを伝える、大西監督渾身の作品だ。記録映画としてはもちろん、老婆たちの笑顔と素朴な歌声、宮古島に住む人々のあたたかな人柄に迫ったエピソードの数々が、すがすがしい感動を呼ぶ。
大西監督は、なぜ宮古島の古い風習を題材にしたドキュメンタリーを撮ったのか?との質問について、「僕の10年来の知人である音楽家の久保田麻琴さんが、宮古島で古い歌について調べていたところ、御嶽(ウタキ、沖縄地方に古くから残る祭祀場)では、集団でまだ祭祀というものが続いていて、そこでは何百年にもわたる歌が残っているという。戦前まで続いていた島での古い生活、昔ながらの生活を憶えているおばあたちの記憶などから歌が生まれてきたが、それが消えかけている。そういうものを消滅させてはいけないのではないか、これが(記録を残す)最後の機会なのではないかと感じた。勝手な責任感ですけど、そうやって島で撮ることを決めて撮った映画です」と話した。
上映後には、沖縄県文化観光スポーツ部の平田大一部長も舞台に上がり、大西監督と対談。大西監督が「沖縄での公開は僕にとっては少し怖いことですが、この映画は普遍的な人間の話ですし、沖縄の話だと思ってます。この映画を観ながら自分の島のこと、自分のことをきっと感じてもらえると思います」と話すと、平田氏は「大西さんのように丁寧に島の人たちの中に入っていって、光と影を撮るのは信頼関係がないとできないと思います。優しく包みこむように語りかけてくれる作品で、多くの人に観てもらいたいです」と、作品を紹介した。
また、大西監督は「その土地が持っている空気を、作品に出せるかということにこだわりました。島の空気や神様など、映ってはいないけど映っているような、そんな映画にしようと、そこに時間と心を使いました」と同作品に込めた思いを語った。
最後に、観客へのメッセージを求められると、平田氏は「この作品のテーマは、世界中の人たちにとっても共通だと思います。それぞれの立場でできることを精一杯やるということを、改めて考えさせられる映画。大勢の人にこの作品に触れて頂きたいです」と話し、大西監督は「この作品を観て、同じような感想を持ってほしいという考えはまったくないです。宮古だけの問題、沖縄だけの問題として提起したわけではなく、世界に向けてこの映画を、宮古というものを問いかけていこうと思いますので、応援よろしくお願いします」と熱く語り、作品への情熱をのぞかせていた。
『スケッチ・オブ・ミャーク』は9月15日(土)より東京都写真美術館ホールほか、全国順次ロードショー。
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