永山絢斗と田畑智子のW主演で上映中の映画「ふがいない僕は空を見た」。新鋭・タナダユキ監督が作品に込めた思いとは?

関西ウォーカー

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窪 美澄原作の小説「ふがいない僕は空を見た」が映画化。永山絢斗と田畑智子のW主演で男子高校生・卓巳とコスプレにハマる人妻・里美の恋愛を通じ、人間のふがいなさや“生”と“性”のあり方が描かれる。そんな本作のメガホンを取った新鋭・タナダユキ監督が作品に込めた思いを語ってくれた。

─今回の作品で監督を務めるにあたり、原作に惹かれたのはどんなところでしょうか?

「人はつねに心に傷を抱えたまま生きていかなくちゃいけないんだということが描かれていた点ですね。それに登場人物の行動が矛盾していたり、ダメなところもあったりするんですが、人間の行動って時に説明ができないこともある。ウソのないお話ですし、生身の人間が演じてくれたら、美しいだろうなとも思いました」

─本作は“生”と“性”という人間の本質がテーマで、演じられる俳優の方も難しさはあったと思いますが、今回、永山絢斗さんと田畑智子さんをキャスティングされたポイントは?

「卓巳は10代ですが、泣き叫んだり走り回ったりするわけでもないし、感情が極端に揺れ動くタイプでもない。だけど、自分に起こった問題を解決する術を持たず、周りからすれば小さなことで葛藤をしているんですよね。だから難しい役だなとは思ったんですが、永山くんに関しては直感で、たたずまいが卓巳っぽいなと思ってお願いをしたんです。里美役に関しては、彼女と年齢の近い私が抱えている答えのよくわからないものを託しているところがあるのですが、それを一緒に背負ってくれる役者さんは誰だろうと思って、高い演技力のある田畑さんにお願いをしました。脚本を読んで快諾していただき、最初にお会いした時に田畑さんに“なにか不安なことはありますか?”とおうかがいしたら、彼女から“なにもありません”と頼もしい答えが返ってきたので、私自身もすごくラクな気持ちになれましたし、助けられましたね。里美という役をどうにかしなきゃという気持ちではなく、田畑さんと“共犯”みたいな気持ちで役を深めていけたらいいなと思いました」

─役者への演出はどのようなことを心がけていましたか?

「役者さんにはあえて私から演出について言わなかったですね。あまりに言ってしまうと、それを意識しすぎて不自然なお芝居になってしまうので、細かいことは言わず“もう1回お願いします”と伝えるだけです。役者さんにとってはどこがいいか悪いかを指摘されないことで、混乱してしまうこともあるんですが、それが返ってよかったりするんですよね。細かく言い過ぎて、その通りに動いてしまうつまらなさもありますし、私の想像を超えるようなお芝居を期待しているんです。役者さんそれぞれが感じたことを現場で出し合って、食い違ったら話し合うということもありました」

─里美は不妊症を抱え、夫や姑との関係に悩んでいたりと心に闇を抱えています。役と同年代でもある監督が女性として特に共感されたのはどんな部分ですか?

「子供を産む・産まないは別として“子供を作る”ことは女性が必ず直面するものだと思うんです。セックスにしても子供を作るための行為なのか、快楽を得るための行為なのかなど、どれが正しいのかと迷っている20〜30代の女性も多いはず。そんな不明確な思いを、私も里美に託しているところがありました。30代のいまの自分だからこそ、映画として描くことができたテーマだと思います」

【取材・文=リワークス】

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