酒女倶楽部の日本酒レポート 13本目~「金鼓 濁酒」(奈良県・大倉本家)~
関西ウォーカー
この連載の7本目でどぶろくをご紹介しましたが、今回もどぶろくです。というか、これはもう「食べる日本酒」。大倉本家http://www.kinko-ookura.com/ が醸す「濁酒」は、そんなお酒です。「食べるってどういうこと?」。はい。それはね、このどぶろくをおちょこに注いでみればわかるんですよ。ふつうの日本酒は液体がさらさら出てきますが、濁酒は瓶からおかゆがとろとろっと出てくる感じ。お米の形もしっかり残っています。こういうのを見ると、ああ、日本酒って、ほんとにお米から出来てるんだ、と実感します。
さて、この日本酒、おもしろいのはおかゆっぽいところだけではありません。開けるときからスゴいのがこの1本なのです。ひと言でいいましょう。このお酒は「爆発するぞ危険!」な日本酒なのです。濁酒は「水酛仕込み」という非常に古典的な作り方のお酒で、この製法で醸している蔵はほとんどないそうです。どぶろくの中でも味わい・香りがシャープ&洗練されていて、酸味と甘味が絶妙。これを飲まずに生きていけるかい!というほど私も好きです。ただ…。開栓のときは「命がけ」でのぞまねばなりません!なぜなら、このお酒は瓶詰めしたあとも元気よく発酵し続けているので、炭酸ガスがたっぷり詰まっていて、一気に栓を開けると中味がビューンと吹き出すんです。その爆発ぶりときたら、そりゃあもうシャンパンの比ではありません。
あれはちょうど1年前。わたしはこのお酒を開けようと、お風呂で開栓に挑んでいました。「風呂?」はい風呂です。万が一を考え、お酒が吹きこぼれてもいい場所で開けようと思ったわけです。栓をゆるめては閉め、ゆるめては閉めしながら、数十分かけて開栓していくのがコツ。わたしも最初は我慢強くやっていたのですが、15分くらい経ったころ「あ〜もう面倒くさい。開けちゃえ〜」と一気に栓をひねったところ…。一瞬でした。お風呂の天井、お米まみれ。バスタブ、お酒まみれ。そしてかぐわしい香りがバスルーム中ぷ〜ん。瓶を見ると、半分以上がなくなっている…(泣)。あのときの切なさと情けなさは、いまでも忘れません(涙)。
しかし、ここまで危険を冒して飲む価値はありますよ。「でも怖くて栓が開けられない」という方。大丈夫です!秘密兵器があります!このお酒を扱っている奈良の酒屋さんが、一瞬で開栓するグッズを売っていらっしゃいます(http://www.kitora.com/ookura-dakusyu.htm ページの下のほうにあります)。実はわたしも一つ持っています。このグッズでお酒を開けると、すごく盛り上がりますよ。仲間でわいわいやりながら、飲んでくださいませね。
甘さ度★★★★☆ 辛さ度★★☆☆☆ 女性度★★★★☆ 男性度★★☆☆☆
◆合う料理:食べる日本酒なので、ぜひそのままで。酒粕鍋とも合います。
◆このお酒を芸能人に例えると…危険であればあるほど魅力的で心を奪われちゃう、ということで「杉本彩」さん!
※甘さ辛さ度、女性男性度、合う料理は、すべて高野の独断と偏見です。
【文・写真=酒女倶楽部・高野朋美】
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