まるでジブリの世界のよう!川崎の工場夜景のディープな魅力

2012年11月28日 18:33更新

東京ウォーカー(全国版)

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数年前の“工場萌え”がきっかけで、写真集やツアーが発売、メディアで取り上げられるなど、ブームとなった工場夜景。ダイナミックな工場と、その明かりの美しさに魅了され、そのディープな世界にはまる人が続出している。記者は、関東でも屈指の工業地帯・川崎市の工場夜景バスツアーに潜入。その魅力を調べてみた。

日が暮れかけた夕方に、バスは川崎駅を出発。川崎市観光協会 夜景ナビゲーターの若井伸枝さんの説明を聞きながら、工業地帯へと進んでいく。途中から道行く車もトラックが多くなり、工場の多さを実感させられる。

まず訪れたのは根本造船所。通常は入れない造船所の中へ入り、車のタイヤよりも大きいプロペラや巨大な船の間を通って奥へと進む。まるで子供の頃に冒険ごっこをしているような不思議な気持ちを感じつつ、造船所の裏に出ると、現れたのは運河に浮かぶ、巨大な城のような工場夜景だった。

 城のような工場は、サランラップなどを製造している旭化成ケミカルズの川崎製造所。若井さんによると、同所では合成ゴムやアクリル樹脂を作っているそうだ。

工場夜景という言葉から、少し男っぽい、武骨なイメージを想像していた記者だが、初めて見る工場夜景の美しさに驚かされた。白く、丸く光るライトに映し出される鉄骨は、武骨というよりも繊細という印象。闇に浮かび上がる工場は、まるでジブリ映画を思わせる異世界の美しさ。運河に夜景が映り、ゆらゆらと揺れている様も怪しく美しい。

さらに、バスは市営埠頭前へ。「こちらは日本触媒・JX日鉱日石エネルギーですね」と若井さんが案内してくれたのは、煙突からオレンジ色の炎を放つ工場。今度は間近から、工場夜景を見ることができる。白やオレンジ、赤い明かりなど、光の色が異なるのもここで気付く。「天候によって色や光り方が違うので、本当に365日、違う景色を楽しむことができるんです。雨の日も美しいんですよ。ガイドの私も飽きませんね」と、若井さんは笑顔で話してくれた。

このバスツアーの面白いところは、走っている間も常に工場夜景が見られる点。さっき見た旭化成ケミカルズの工場を、全く異なる角度から見られるのも魅力の一つだ。走行中は、バスの車内灯を消し、暗闇の状態で若井さんの説明を聞きながら進む。工場名や、その工場で作られている物質を分かりやすく教えてくれるので、工場に詳しくなくても安心だ。

続いて、バスは東扇島にある川崎マリエンへ。ここでは、地上51mの高さにある展望室から、360度の夜景を見ることができる。美しい工場夜景はもちろん、天候によっては東京スカイツリーや東京タワー、東京ゲートブリッジの姿も。キラキラと光る都心の夜景群を一望することができるのだ。

そして、ツアーはクライマックスへ。「ここでは皆さんが思わず『あっ』と声をあげるスポットです」と言う若井さんの言葉通り、首都高速川崎線に乗ると、そこは光る工場夜景の嵐!息を飲むような美しい工場夜景が数分間続き、夢のような美しさ。まるで光る野原の上を走っているような気分になるほど幻想的な風景だ。通常の夜景とは違い、イルミネーションのための光ではないので、キラキラ輝くというより、ぼんやり光っている様子がさらに幻想的に見えるのかもしれない。

「工場夜景を見た方は、懐かしいと仰る方や近未来的だと仰る方まで様々です。見たことのない風景なので、人それぞれの感想を持つようですね。インスピレーションがわく、と言った方もいましたね」と若井さん。ツアー客は7割が女性で、10代から70代まで年齢層も幅広い。県外から見に来る人も多く、今年10月には、修学旅行生が観光に来たという話題のプランだ。

工場夜景が人気になったそもそものきっかけは、2008年に実施した、川崎市のモニターツアー。そこで市民の電話応募が殺到したことで、2010年から屋形船、バスでのツアーが発売された。メディアに出たのは、2011年2月に開催された「第1回全国工場夜景サミット IN 川崎」。川崎・室蘭・四日市・北九州を含めた4大エリアで開催したこの会が、NHKや全国誌に取り上げられて話題になった。なかでも、都心に近い川崎市は、工場夜景の人気スポットとして熱い注目を集めている。

今回体験したツアーは、川崎市と市の観光協会が企画する「川崎工場夜景バスツアー」。毎月第1・3金曜日に実施されている。料金はツアー限定のディナー「工場夜景カレー」が付いて4300円(小学生3900円)だ。

まるでジブリの世界のような美しい工場夜景。ツアーの人気が拡大するにつれて、そのディープな世界に夢中になる人が増えそうだ。【東京ウォーカー】

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