【その1】恒例の「ほろ酔いコンサート」がことしも! 新譜もリリースした加藤登紀子にロングインタビュー

関西ウォーカー

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恒例の「ほろ酔いコンサート」がことしで40回目を迎える加藤登紀子。また、ニューアルバム「登紀子 旅情歌 -風歌 KAZEUTA」もリリースとバイタリティあふれる彼女にロングインタビューを敢行!

_前回の「ほろ酔いコンサート」では、先に出版された書籍「命を結ぶ」に繋がることとなった、なかにし礼さんらとのトークショーがありましたが、今回は?

去年は3.11の年でしたし、それを受けてみんなどういう思いでいらっしゃるのかということが知りたくて、ほろ酔いコンサートの中でのトークゲストとしてお招きして、それをきっかけに「命を結ぶ」という本が出来ました。今年はほろ酔いコンサートも40周年。今回はゲストはなしで「ひとりでやる」と決めました。

_恒例の中でも変化というのはありますか?

そうですね、いつものスタイルはあるでしょうね。そう大きく変化をつけなくても、「ほろ酔いコンサート」では「ああ、またみんなに会えたね」という気持ちのほうが強いんですけれど、その中でもやっぱり「新鮮な面が見えたね」とか「新しい歌がまた生まれたね」ということはあります。昨年は本当に大変な年だったので、みなさん今年はまた次のステップを作っていかないといけない、作りたいという気持ちで燃えた一年だったと思うんです。それでもいまひとつ、まだ突き抜ける未来像が見えない、というか。そんな雰囲気で年の瀬を迎えているとすると、そこからまたひとつ破って、次の一歩が皆さんに見えるような、そんなコンサートにしたいなと思っています。

_欠かさずこのコンサートを継続していくにあたっての、なにかご自分なりのモチベーションの維持や上げ方というのはあるんでしょうか?

もう楽しみでしょうがないですよね!自分でどうにかこうにかモチベーションを維持しようとしなくても、もう楽しみで楽しみで。歌をまた歌うことができて。ちょっと前まではね、「同じ歌を歌ってばかりでよく飽きないね」みたいな…。

_と、言われたんですか?

いえ、あたしが自分で思ってたの(笑)。

_(爆笑)!

やっぱり、先ほどの質問にもありました「モチベーションの維持」といいますか、「新しいもの」を求める気持ちが自分の中ではすごく強いんですけれども、周りのほうが昔の歌を聴きたがってくださる。だからそれは、もうずっと自分の中の課題ですよね。馴染みの歌をどういうシーンでどういう想いを込めて歌うのか、ということもそうですし、懐かしい歌やみなさんが求めてくださるヒットソングも入れるんだけど、大切なのは「これから歌っていきたい歌」を、どのように伝えていくかということ。それが「ほろ酔いコンサート」の一番のトライですよね。年月が経てば経つほど「過去」というのは束になって襲いかかってくるわけで(笑)、でもやっぱり去年から考えると、新しい曲のインパクトはすごく強くなったな、と感じますね。なんだか「今」ということがより重要になっているといいますか、「今」何を感じて、「今」何をやるべきなのかということを、みんなが膝を詰めて聴こうとする。そういう空気をすごく感じているので、それはとってもやりがいがありますね。

_あの震災はご自身はもちろん、歌を作るということにも未だに大きな影響があるということなのでしょうか。

何というか、いわゆるひとつの「交差点」と言いますか。これに向かってみんなが気持ちを寄せていると感じます。これによって今まで交わることの無かったみんなが引きつけられて、ボランティアに参加したり歌を歌っていたり、そういうたくさんの出会いもありましたよね。昨年はモンゴル800のキヨサクさんと一緒に「タユタウタ」、今回はシアターブルックの佐藤タイジさんと一緒に「愛と死のミュゼット」という曲も出来ました。それ以外にもたくさんいい歌が出来ているんでしょうけれど、今は、なかなか伝わっていく力っていうのがすごく違ってきていると思います。

_違うというのは?

そう。なんというか、いっぺんに知れ渡ったりするというか。難しい時代になりましたよね。私自身はやってみたい音楽がたくさんありますし、「ほろ酔いコンサート」の40年という節目に相応しい、40年分をなんとかお見せしたい!と思っていて、最初は1年ごとに1曲ずつ選んで、40曲メドレーをやろうかというアイデアも出たんですけどね(笑)。

_いいですね!でも登紀子さんが大変ですよ(笑)!

そうよね!だからそれはやめて、「ほろ酔いコンサート」が始まった71年に焦点をあててみました。当時にまつわるいろいろなエピソードはあるんですが、まず私は71年に結婚してしまったのでね(笑)。

_「してしまった」って(笑)。

そう(笑)。当時1年間音楽活動もしていなかったので、自分の音楽や自分自身がもう、過去のものになっちゃうのかな?と考えていたんですが、音楽活動をやっていないその時期に「愛の暮らし」がヒットソングになったんですよ。つまり、71年に発売して、73年頃に北海道でヒットソングになったんです。

_なぜ北海道で…?

北海道の一軒のレコード屋さんが、店頭で「愛の暮らし」をかけ続けてくれていたみたいで、それがきっかけだったみたいなんですよ。

_街のレコード屋さんがBGMとして流していて、ですか…?

そうなの(笑)。だから北海道からどんどん飛び火していって、この曲はいまだにリクエストを多くいただくヒットソングになったの。自分でも、まさかこんなことになるとは予想もしてなかったわよね(笑)。それでそのCDショップの店主が言うには、埃まみれの私のCDを処分しようとした時になんとなく聴いてみたら「こんなにいい曲だったのか」と思ってくれたようで(笑)。ほんとに、こんなことあるんだなって、忘れられないエピソードですね(笑)。そんな思い出もあるから、私にとって71年というのはすごく忘れられない時代だったのよね。先に言ったように、当時私は結婚してしまったのだけれど、「歌う」という「根」は、71年までにしっかりと張っていたんだなって思いますね。

※【その2】に続く

【取材・文=三好千夏】

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