タブーに挑んだ名匠・大島渚監督を偲ぶ映画上映会&企画展が開催
東京ウォーカー(全国版)
13年1月15日、肺炎のため大島渚監督(享年80)が逝去し、国内外に深い悲しみをもたらした。鎌倉市川喜多映画記念館にて2月1日(金)から開催される企画展『監督 大島渚 & 女優 小山明子』は、昨年より予定されていたが奇しくも追悼企画となってしまった。妻である女優の小山明子が協力の元、監督直筆の創作ノートや未映画化作品の貴重な資料などを公開する。さらに、タブーな題材で論争を巻き起こし、国際的にも注目された作品の中から、9つの代表作の上映会も行う。
本展は、夫婦ともに鎌倉ゆかりの松竹大船撮影所で映画界にはいり、湘南で暮らしていた縁から企画された。
大島渚監督は、59年に『愛と希望の街』で映画監督デビューし、阿部定事件(36年)を題材に男女の性的執着と究極の愛を描いた『愛のコリーダ』(76年)で国際的評価を獲得した。日本映画界でタブーとされていた人種差別、いじめ、障がい者蔑視、同性愛などの政治・社会問題を取り上げ続け、映画界の異端児と呼ばれた。テレビのコメンテーターとしても活躍し、歯に衣着せぬ物言いと、俳優を怒鳴りつける厳しい監督指導が印象的であったが、96年に脳出血を起こしてからも監督業を続け、99年の『御法度』が遺作となった。
代表作である『戦場のメリークリスマス』(83年)では、映画音楽を手がけた坂本龍一や当時は俳優として認知されていなかったビートたけし(北野武)をキャストとして抜擢し、話題を呼んだ。日本軍の朝鮮人軍属、捕虜に対する不当な扱いなどを真っ向面から描写し、今改めて見ても衝撃的な作品である。当館では他、『愛と希望の街』、『青春残酷物語』、『愛の亡霊』などの上映を日替わりで行う。
企画展では、今では芸術家としての誉れも高い北野武がお見舞いに贈った直筆イラストや、監督が着用した羽織、貴重な海外版を含む作品ポスターなども見所の一つだ。他にも小山明子が監督との出会いから介護の日々までを語る講演会&サイン会や、『愛のコリーダ』で助監督を務めた経験のある崔洋一が大島監督の映画術を語るスペシャルイベントも催す予定だ。
監督がこの企画展に足を運べなかったことは残念だが、作品に触れ、日本と世界の映画界に遺した功績を偲んでもらいたい。【東京ウォーカー】
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