「国宝 みうらじゅん いやげ物展」内覧会でみうらじゅん氏を直撃! 「いやげ物を見て“How does it feel どんな気がする?”って自問してほしい」
関西ウォーカー
現在、梅田ロフト(大阪市北区)で「国宝 みうらじゅん いやげ物展」が開催中。会期スタート前日、関係者向けに実施された内覧会に編集部スタッフが潜入。会場に来ていたみうらじゅん氏を直撃した。
―今回展示されているコレクションは、普段どこにあるんですか?
みうらじゅん(以下MJ):僕の事務所と倉庫に置いてあります。今回の展覧会では、コレクション全体の1/3くらいの量を持ってきています。嫌になるでしょ?(苦笑)基本的にいらないものですからね。
―展示品の中で思い入れのあるものは…
MJ:(喰い気味に)ないです!(笑) そもそもみやげ物屋に置いてあった品物なんだけど、思わず“いったい誰が買うの?”と思ってしまう品物を的確にあらわした言葉がなかったんで、“いやげ物”と名前をつけて集めているんです。たとえば「カスハガ」は、絵ハガキを集めているのではなくて、その中でも特に “カス”なものを集めています。
―このような物を意識してコレクションするようになったのはいつ頃からですか。
MJ:小学校4年生のときに、北野天満宮の天神さんの日に、古道具屋で密教法具の三鈷杵(さんこしょう)を買ったんですよね。それを持って弘法大師に変身したときに、まわりの友達にとても引かれたのをよく覚えています。僕は他人から引かれるものに惹かれるんですよね。
―いろんな種類のいやげ物が展示されていますが初心者にオススメの鑑賞法を教えてください
MJ:こういうものを見て“どんな気がする?”っていう自問をしてほしいですね。ボブ・ディランの「ライク・ア・ローリング・ストーン」なんですよ。「How does it feel どんな気がする?」って自分に問いかけるのが大切なわけで、そこでどんな気もしない人はスルーですよね。
―いやげ物にも流行り廃りがあったりしますか?
MJ:ここに展示しているものは、いま日本各地のみやげ物屋に行っても、もう売っていないものがほとんどです。いまヤバいのはみやげ物屋業界全体。もうシャッターが下りていますから。お店に置いている品物も先々代が仕入れた物の売れ残りなんですよ。お孫さんがお店をやっていたりして「コレ、いくら?」って僕が聴いても、お店の人は「わからない」って言うんですよね(笑)。だからコチラの交渉次第なんです。こちらが「それにしても汚いですね~」って切り出して、値段を少しでも下げ、最終的に300円くらいで落としたときには気持ちいいんですよね(笑)。結局は絶滅するみやげ物屋を、展示会場に移動してきているだけなんですよ。いやげ物を収集することも“ディスカバー・ジャパン”の一環ですから、例えるとしたら、僕は法隆寺夢殿の救世観音像を開扉したフェノロサの役なんですよね。民俗学です(笑)。
―今回、“飛び出し坊や”が販売されていて驚きました。
MJ:作っていらっしゃるところの社長さんと数年前に知り合いまして。飛び出し坊やを始めて見たのは、僕が高校生の頃に友達の車でびわ湖畔をドライブしているときでした。発生したのがちょうどその頃だったんですね。その看板屋の社長さんが個人的に作ったものが、長い歴史の中で湖北から湖南へぐるりと伝わる過程で、伝来ミスが起きちゃったんでしょう、帽子をかぶっていたり、その帽子にツバができたり、リーゼントになってたり、めちゃくちゃになっていく様がとても面白いと思って、見つける度に写真を撮っていたんです。今回はコラボですから売っているものはオフィシャルです。社長さんのサインが付いてるものもありますね。
―これからもいやげ物は購入し続けますか?
MJ:これは趣味を超えて癖になっていますからやっぱり買うんですよね。趣味はやめられるけど癖は直らない。だから増える一方ですよね。増えるということは部屋が狭くなるから、仕事場も広くしないといけない。悪いサイクルですよね。そのカルマ(業)からいつ抜け出せるのかということですよね。自分でも心配です(笑)。
―大阪で展示をすることについて思い入れはありますか?
MJ:大阪の人はこの展示を見てきっと「何をしょうもないモン集めてんねん!」と一言で片付けるかもしれませんが、もう一度考え直してみてほしいんです。“どんな気がする(How does it feel)?”って改めて自分に問うて見て欲しい。すべてのことは、一言で片付けられるものではないってことを(笑)。展示会場の入口にある「つっこみ如来」というのは、人間の煩悩に対して「ええかげんにしなさい」と突っ込みを入れられているという徳の高い如来像なんです。あと1200年くらいすれば、仏像界を変える如来像になるので…まぁ発泡スチロールなので残らないとは思いますけど(笑)、皆さんには“1200年後にもお待ちしております”と言いたいですね。
【取材・文・撮影=関西ウォーカー編集部・鈴木大志、座親万梨枝】
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