【その1】『ピンクとグレー』で小説家デビューを果たしたNEWS・加藤シゲアキ。第2弾となる小説『閃光スクランブル』(発売中)について直撃した!

関西ウォーカー

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12年1月、『ピンクとグレー』で小説家デビューを果たした加藤シゲアキ。自らもジャニーズ事務所のアイドルグループ・NEWSのメンバーとして活躍中の彼が描く、華やかな芸能界を舞台にした小説の第2弾『閃光スクランブル』がことし3月に発売。関西ウォーカーでは、昨年に続きインタビューを敢行し、作家・加藤シゲアキに迫った!

_これは個人的な判断基準なんですが、面白い小説か否かを見る時に、まず全体的なストーリーよりも“いかにいけてるフレーズがあるか”という部分に注目してしまうんです。この『閃光スクランブル』にはそのフレーズ…というか、ぐっとくる“パンチライン”がたくさんありました。

加藤「パンチラインね! パンチラインか…、いい言葉ですね(笑)。ちなみにそのツボにはまった“パンチライン”ってどこだったんですか?」

_たくさんあったんですが、まず冒頭あたりの『最低な行程には最低な環境がいい』というフレーズがきましたね(笑)。

加藤「そこか!(笑)。でも確かに僕自身も好きなんですよね、そういう表現。『最低』って言葉って、使うと結構ダサいんですけど、わざわざそれを面白く書きたいっていうか。わりと考えずに、書きながらスっと出て来たフレーズだったと思います。」

_このフレーズひとつで、この小説の色が見えました。

加藤「そうなんですか? それはすごい斬新な読み方ですね(笑)。」

_えっ、こういう台詞を書いてしまうんだ、という衝撃もあって、いきなり引き込まれました。物語の冒頭から“暗部”が展開されるので。

加藤「いや、わかります。僕も好きなんですよ、そういう雰囲気。僕自身もよく人から“薄暗いよね”って言われますもん。『ピンクとグレー』の時もすごい言われた(笑)。」

_笑。これはもうさんざん言われてきたことでしょうけど、ジャニーズの…「NEWSの加藤シゲアキが書いた」ということがまず念頭にあってページを開いたものですから…何ていうか…

加藤「大丈夫か!?って(笑)。」

_すみません、そうなんです(笑)。加藤さんの作品は、フレーズや効果音の使い方がほんとに独特で。ストーリーももちろんですが、そこにもの凄いご自身の“アク”みたいなものを見ましたね。

加藤「いや、もうそんなこと言ってもらえるなんて、ほんとに今回大阪まで来てよかった!(笑)。初めて言われましたよ(笑)。」

_物語を創作する時は俯瞰から見れているものなんですか? 各登場人物の心理や行動は、どういう立ち位置から展開されているんだろう?って気になりますね。男だったり女だったり、ルーツも状況も違う人物が、それぞれすごく重厚な心理を抱えているわけですけど。書き手はもちろん一人しかいないので、どれかに引っ張られたり、ひいき目になったりとか。自傷行為などの描写の際に、本来の自分自身のなかにある常識や倫理がストッパーになったり制御されたりしないですか?

加藤「それがすごいありましたね。俯瞰で見ようと思っていても、本来の自分の常識や倫理みたいなのがやっぱり出てきてしまうので、どうしても登場人物がありふれた…優しい人になってしまったりするんですよね。前作『ピンクとグレー』の時がまさにそうで、登場人物がみんな優しくなってしまったっていうのがあって。なので今回は特に、登場人物とはなるべく距離をとろうとしてました。主人公以外は。やっぱり主人公にはどうしても入り込んでしまうんですけど。」

_ストーリー展開はどのように進められましたか?

加藤「まず大まかな構造から作って、そこからキャラクターを作って…それで書き進めながら『じゃあこれは、どういう背景にしていこうかな?』という感じでその都度組み立てていくという感じですね。」

_この作品を書くにあたって、なにかきっかけと言いますか、ご自分に著しく影響を与えたものはありましたか?

加藤「著しく影響を受けた、ということではないんですけど『ピンクとグレー』が出た時に、いろいろなところから“私小説風だ”とか“前半はちょっと話のリズムに乗れなかった”ということをよく言われたんです。それで今回は、完全にエンタテインメント性を意識したものを書こうと決めていました。ただ僕、さっきも言ったように明るい話が得意じゃないので(笑)。“エンタテインメント”のなかに、どうやって自分のなかにある“薄暗さ”みたいなものを入れていこうかと考えていました。前作はアンハッピーなのがハッピーエンドというか、いわゆる“いい話”で完結しないところが特徴だったかと思うんですけど、今作に関しては、ぼんやりとでも希望を残していこうかなって思って。」

_確かに。だからこそ読み手が勝手にそれからの彼らを追ってしまいたくなるというか。あのスクランブル交差点のシチュエーションも異様だけど現実味があって。ご自身が実際に見た光景とか経験などの反映もあったりしますか?

加藤「スクランブル交差点で彼らがトラウマを克服していくっていうのは、もう最初のほうから決めてあったシチュエーションだったんですよ。小説のなかにある描写で自分が実際に経験したことで言うと、自分じゃない誰かが僕になり代わってSNSをやっていたりとか。ある日突然友達から“お前のアカウントに友達申請しといたから”とか言われて『え!? 俺やってないんだけど…』っていう(笑)。」

_…そんなことがあるんですね。

加藤「いや、でも僕はそういうツールを使ってないし、やましい事もしていないので、そこまで気にしなかったんですけどね。でも実際こうやって、自分じゃない誰かが自分になりすまして物事を動かしているっていうのは、これをストーリーにしたら面白いっていうか、いい引っ張りになるんじゃないかな?とは思いました。」

_精神がタフすぎる(笑)。今作はエンタテインメント性を意識したとおっしゃっていましたが、ご自身が思う『エンタテインメント』の定義とはどんなものですか?

加藤「エンタテインメントの定義ってくくると少し語弊があるかもしれませんが、ストーリーが進んでいくなかでハラハラしたりドキドキしたり、読み手に何かを予想させたり疑わせてみたりっていうことかもしれないです。登場人物の背景だったり、行動の先になにがあるのか?と期待させるところで読み手の意識を掴めるような。解りやすくてテンポがいい、というだけのものはちょっと違うと思うので、出来るだけシンプルでシャープな文章と、それに加えて僕がやりたい描写や比喩を足していくっていう意識でしたね。」

※【その2】に続く

【取材・文/三好千夏】

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