「役者として自分はまだまだこれから」。映画「奇跡のリンゴ」の阿部サダヲに作品&役者について聞いた!
関西ウォーカー
青森県に暮らす農家・木村秋則さんの実話をもとに、体の弱い妻のために、無農薬リンゴ作りに挑む男の姿を描いた感動作「奇跡のリンゴ」。何度失敗しても諦めない主人公を演じる阿部サダヲが作品への思いから、自身の役者人生についてまで深く語ってくれた。
─今回、阿部さんが演じたのは実在する人物ですが、物語は決して彼の“偉人伝”ではなく、ごく普通に仕事をしている人にもあてはまるところがあります。演じる上で心がけていたことはありますか?
「無農薬のリンゴ作りに成功した後の木村さんを知っている方は多いと思いますが、この作品で描くのは成功を収める前の彼なので、ご本人の真似はしないようにしましょうという話を中村(義洋)監督としていました。木村さんの半生だけではなく、家族、夫婦の物語に比重を置いた方がいいなと思いましたし、実際に木村さんとお会いした時に彼のパワフルさに圧倒されて、とても真似できないなとも感じました(笑)。なので、木村さんが今に至るまでを大切にして、笑顔をなくしてしまった時期を想像しながら演じました。それに家族の物語として見せたかったんです」
─やはり木村さんの第一印象はパワフルな部分であったりと、明るいキャラクターだと思いますが、映画では木村さんの挫折であったりと暗い部分も描かれています。それを阿部さんの中で吸収して演じることに難しさは感じなかったですか?
「劇中で主人公は近所の人に何年も“かまどけし”(=青森県の方言で“浪費家”のこと)と陰口を言われ続けるんですが、その状況を想像するのはさすがに難しかったです。ただ、作品には地元・青森の役者さんにも出ていただいていて、その陰口の言い方がすごくリアルで、本当に言われているような気持ちになってくるんです。なので、自然に演じることができたかなと思います」
─周囲から反対されようとも、無農薬リンゴ作りに挑む木村さんとそれを支える妻や子供たちの姿にグッときます。劇中で主人公の子供たちが“リンゴ農家だけど、お父さんの作ったリンゴを食べたことがない”と作文を読むシーンは、父親の成功を願う家族の姿を現していますよね。実際に阿部さんもお子さんがいらっしゃいますが、同じ父親として主人公の姿はどう映りましたか?
「そのシーンは僕も台本を読んだ時にグッときました。木村さんも無農薬リンゴ作りを成功させるまではいろいろと無謀なこともやっていて、子供は時に父親のことが嫌いになることもあったと思うんです。だけど、子供たちも貧乏に耐え、それでも木村さんに付いていったということは、それほど魅力があったことと、奥さんの支えも大きかったんだと思います」
─今回、木村さんを演じてみて影響された部分はありますか?
「木村さんのパワフルさはすごいなと感じますね。僕ら役者は普段の会話ではなく、セリフがあってこそ成り立ちますけど、木村さんには雑談をしていてもグッとひきつけられるものがあるんです。役者として、そういうふうに人を魅了できるようになりたいと改めて思いました」
─リンゴ作りにおける主人公の挫折は、阿部さんご自身のこれまでと重なる部分はありましたか?
「僕が最初に“役者になろう!”って思った時の勢いは、無農薬リンゴを作りたいと思った木村さんに似ているかもしれません。何も知らないから、飛び込めたというか。家族に初めて役者になりたいと話をした時は、姉に反対されたんですよ。それまでは誰かの意見を聞いて、道を選ぶようにしていたんですが、自分だけで道を決めたのは役者になる時が初めてでした。まさかその時は、多くのすばらしい役者がいる中で主演させてもらえるなんて思ってもなかったですけどね。だけど、いまも成功したわけではないですし、役者としてまだまだこれからだと思っています」
【取材・文=リワークス】
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