前代未聞の大規模街頭劇「ノック」を通して鬼才・寺山修司の足跡を追う

東京ウォーカー(全国版)

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今年、没後30年を迎えた寺山修司。現在、東京・ワタリウム美術館で彼の足跡を追った「寺山修司展『ノック』」が開催中だ。演劇、文学、映画、写真、競馬評論などさまざまな分野で活躍した彼だが、今回の企画展は、彼が東京・阿佐ヶ谷の近辺で上演した市街劇「ノック」に注目したものとなっている。

「ノック」は寺山と彼の主催する劇団「天井棧敷」が、1975年4月19日午後3時から翌日午後9時までの30時間、東京・阿佐ヶ谷付近で上演した市街劇。「地図引換人」というプロローグ的演目で観客は上演場所の記された地図を受け取り、街頭で繰り広げられる“劇”を体験、さらには演者としても加わる趣向となっていた。そして上演といってもステージは街中のさまざまな場所。街を歩く住民もその光景に遭遇することになる。住宅街や商店街で、同時多発的に「空中散歩者」「天文学者の孤独」「壁の消失」などと題された、19本の唐突で不可思議な演目が実施された。奇妙な扮装の演者に驚いた一般住人が110番したために、警察が駆けつけることもあったという。展示会ではこの市街劇「ノック」の真意を、映像や多数の未発表資料などによって詳細に検証している。

他、天井棧敷の立ち上げに参加、寺山と深い交流のあった萩原朔美の企画・構成による寺山作品のリーディング企画(特別ゲスト・蘭妖子、若松武史ほか)も開催。また園子温、森山大道、飴屋法水、山田太一らが参加するイベントも行われる。

様々な活動で知られる寺山だが、彼の活動には「書を捨てよ、街へ出よう」「町は開かれた書物」などと語ったように、閉じられた観念の世界を開かれた空間に解き放つ、さらには日常空間に“異物”を提示するという姿勢があった。その意味でかつてない規模で展開した市街劇「ノック」は彼の活動においても重要な位置を占めているといえるのではないだろうか。そして38年前に行われたイベントでありながら、その内容は現在でも充分にインパクトのあるものだ。興味を抱いた人は、ぜひこの展示会を覗いて見てほしい。【東京ウォーカー】

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