【その2】安齋ワールドが炸裂! 梅田ロフトで還暦EXPOがスタート
関西ウォーカー
※【その1】の続き
_クリエイターとか、アーティストっていう自意識はないですか?
安齋:うん、全然そんなのないね。『仕事』だって思ってやってるし。ただでもね、唯一思ってることは『人の真似だけはしないようにしよう』ってことだけは、何となくだけどずーっと心掛けてる。やっぱり、どうしても自分が憧れてるものとかに寄っていっちゃうから、それだけは申し訳ないからやめようって思ってる。自分のなかにクリエイティブな部分があるとすれば、そういうところだけかも知れないね。あと考えてることって言ったら『どうやったらラクに仕事が終わるか』ってことばっかり(笑)。
_お仕事がお好きじゃないですか?(笑)。
安齋:『仕事』って名のつくものは好きじゃないかも。でもそれに『楽しい』がくっつけば…あとは『儲かる』とかついたら好き(笑)。
_『楽しくて儲かる仕事』が好きなんですね(笑)。『遅刻』も安齋先生を知る大きいキーワードになっていらっしゃるみたいですけど。
安齋:そうなんだよね。1時間遅れとかがだいたいなんだよねえ。僕自身はね、もともとグラフィックデザイナーとしての締め切り感覚っていうか、とりあえず発売日にさえ間に合えばOKな感じじゃない?でもテレビってさ、現場に行く日がもう締め切りなんだよね。それがわかるまでに12年かかった(笑)。
_むしろ12年目にしてやっと気付いたきっかけは何だったんですか(笑)。
安齋:それはね、丁寧〜にタモリさんに教えてもらったの。もうね、タモリさんほど正しい人はいないよ。ビックリするくらい常識がしっかりされてる人だから(笑)。
_タモリさんってモラリストなんですね?
安齋:そうなんですよ!タモラリストなんですよ…ってホラ〜、あんまりこうやって乗せられていろいろ喋ると、タモリさんに怒られちゃうからさあ(笑)。
_私、みうらさんとの『笑う洋楽展』が大好きなんです。お二人で洋楽にPVについて好き勝手言ってるだけなんですが(笑)。
安齋:あれはほんとにダラダラしてるよね〜(笑)。昔ってね、情報を得る機会が本当に少なかったから、音源はもちろんなんだけど、プロモーションビデオにしたって、友達がどうにか入手した貴重なものをみんなで観るって感じだったんだよ。酒飲んだり飯とか食いながら「つまんねー」とか「ブッサイク〜」とか好き勝手言いながらね、そういう感じで楽しむもんだったの。だけど今ってさ、あまりに何でも軽く、簡単に手に入るじゃない?自己完結で楽しめる環境になってきたから、ああいう遊び方っていうのはあまり理解されにくいのかも知れないね(笑)。
_アナログ時代はいろんな情緒がありましたよね。アナログで言えば、レコード・コレクターズの表紙も手掛けられていらっしゃったんですね。
安齋:そうなんです。あれはね、僕が最初からやりたくてしょうがなかったものだから、1冊や2冊で打ち切られたらヤダなって思ったの。自分がやりたいアーティストに会うまでにクビになったらヤダから、最初から100冊!って直談判したの。
_アーティストご本人にもお会いになられましたか?
安齋:いやいやいや、そんなわけないよ〜。あれはこっちで勝手に作ったブート(ファンジン=ファン倶楽部の会報)みたいなもんだからね。でもね、ジミー・ペイジが来た時に編集長が持って行ったんだって。そしたら本人すっごい喜んでたみたいで『これ貰っていいか』って持って帰ったって。
_えっすごい!私、レコード・コレクターズの表紙を全部ポスターにして欲しいです!全部かっこよくて。集めたくなるくらい。宇宙のジョン・レノンみたいなやつが特に…。
安齋:宇宙のジョン・レノン(笑)??どれ??(笑)。あ、あの合成してあるやつだ!あれはCGの合成でね、背景選んで、それに合うジョンの写真を選んでって作ったやつ。でもあのシリーズをポスターなんかにしちゃったら、ほんとのブートになっちゃうじゃん(笑)。
_そうか(笑)。お仕事はいつも受け身の体制でいらっしゃることが多いですか?
安齋:そうですね〜。自ら積極的に『やりたい!』って思ってたのは、レコード・コレクターズの表紙以外だとバンドぐらいですよ。まあ、それが一番成功していないんですけど(笑)、それ以外のものはね、何て言うか、とにかく動いていると何かと出会ったりするし、新しいことをしていたら、また新しい人と出会ったりっていうことだったと思うんですよ。だから営業的にはずっと自転車操業(笑)。まったく安定しないの(笑)。あとはね、自分のやった仕事を見て依頼が来た仕事ってだいたいハズさないじゃないですか。それでもトンチンカンな事を言ってくる人はたまにいますけど(笑)。でもあんまりハズすことはないから、そうするとどんどんラクに出来てきちゃう。でも、もともとが飽きっぽい性格だから、なんかどんどん新しいものを足していきたくなるんですよね。そうしてくると、新しいことが起こってくる。良い事も悪い事もだけど。
_今後やりたいことは?
安齋:……バンド以外で?
_バンドでもいいですけど(笑)。
安齋:そうですね〜。じゃあソロアルバムでも出そうかな?嘘ですよ(笑)。今回は展覧会のタイトルに『還暦』てつけたじゃないですか。正確には59歳と数ヶ月なんですけど、まわりがもう僕のことをおじいさんだと思ってるみたいで。最近ではなんか「焼き物やりませんか?」とか「一緒に手芸展覧会やりませんか?」とか、変な誘いが来はじめましたね(笑)。なんかそれがね、面白いな〜って。いろんな世界でね、そのジャンルでストイックになって、極めたりだとか、いわゆる『達人』というレベルになる人もすごいなって尊敬するんですけど、きっとどんな世界にも隙間があって、まだ手がつけられてないところが絶対にあると思うんだ。だから、僕は出来ればそういうところで生活したい(笑)。
_笑。何かを極めたり、達人になりたいとは思いませんか?
安齋:そうだな〜。何だかそれはあり得ないかなあ。自分の見せ方みたいなものもよくわからないし(笑)。でもなるとしたら、きっと”空き地の達人”とかじゃないかな(笑)。空き地の達人って何かわかんないんだけどさ(笑)。
_最後に、私がこれまで集めてきたVOW ネタをちょっと見ていただいていいですか?
安齋:え?僕、VOWで挿絵描いてただけで、VOWネタ選考してたわけじゃないんですけど…。でも見ましょうか(笑)。
【取材・文=三好千夏】
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