11月から新バージョンがスタート! 400回のロングランを達成した新感覚舞台『ギア-GEAR-』の魅力とは!?
関西ウォーカー
12年4月からロングランを続け、9月13日に400回公演を達成した『ギア-GEAR-』。ノンバーバル(ノンバーバル・パフォーマンス※言語を使用しない舞台)とプロジェクションマッピングを駆使したパフォーマンスで大人から子供、外国人にいたるまで、リピーターも続出するほど話題の舞台だ。400回公演を迎え、11月からはさらにバージョンアップして展開されると聞き、公演後のキャストとプロデューサーに直撃した!
_『ギア-GEAR-』は京都を拠点とした異色の舞台ですが、どのようなコンセプトで生まれたのですか?
小原啓渡/プロデューサー(以下、小原):まず、ノンバーバルの舞台をやろうと思った理由のひとつが、京都は国内外問わず観光客が多いエリアということで、京都を訪れる観光客のみなさんに見ていただきたいと思ったんです。観劇には地元のリピーターの方も多くいらっしゃるんですが、旅行として来られた方々にも”京都の新スポット”として楽しんでもらえたらなと。
_演者の方々も、いわゆる”特殊技能”を持った方々ばかりですよね。
小原:関西には、いわゆる「オリンピック競技以外のチャンピオン」がたくさんいて。例えばジャグリングとかブレイクダンスとか…他にもいろいろ。配役は最初の段階で女性1人、男性4人の5名と決めていたので、実際に自分でその”チャンピオン”のところへ話をしに行ったり、オーディションだったりで選抜したメンバーで構成しています。
_演者といっても、俳優ではなくあくまでもパフォーマーとしての配役だったんですね。
小原:そうですね。でも専門的なパフォーマンスでひとつの舞台作品を作るというのは難しいので、そのチャンピオンたちが持っている技術を見せるだけではなく、芝居的な要素としてストーリー性を加えて、ただ技術を見て「スゴいな!」というだけではなく、そのストーリーに観客のみなさんがのめり込むような世界観を作りたかったんです。
_舞台を構成されるうえで、独自のこだわりというのはどういった部分でしょうか?
小原:舞台を作り上げていくうえで大切にしていくのが、例えば僕は一応プロデューサーという立場ではありますが、舞台は演者、スタッフ、そしてお客さんの3本柱で作り上げていくということなんです。細かい展開や演出などに至るまで、スタッフ、キャストみんなで試行錯誤を繰り返しているので、大なり小なり日々変化していくのですが、「お客さんの視点に立って空間を作っていく」というのが基本的な理念としてあります。毎公演アンケートを取っていて、そのアンケートをもとに舞台終了後にみんなで毎回”ダメ出し”をしているんですよ。
兵頭祐香/ドール役(以下、兵頭):公演の最初のほうでは、まず小原さん自身が舞台に立たれて「この公演はみなさんの意見で出来上がっています!ですので、アンケートにご協力ください!」「いいコトよりも、悪いコトについて書いていただけると嬉しい」ってお客さんにお願いしていて(笑)。『エ〜!!』て感じでしたし、実際に辛辣な意見をたくさん頂戴したんですけど、でも、そうすることで本当にお客さんはよく見て下さっているんだなということがわかるんですよね。自分たちでも気付かなかった本当に細かい視点で舞台を真剣に見ていてくださっているっていうのが、毎回本当に実感できていて。
_笑。そうやって小さな変化を柔軟に取り入れていく以上、完全に同じ公演は2度見れないということですね。
小原:本当にそうなんですよ。リピーターの方も多いんですが、その方々に「見るたびに変化している」て言っていただけるんです。キャストの組み合わせの変化もあるんですが、そうやって日々、新しいアイデアや挑戦を取り入れていっているので、作る側の自分たちですら同じ公演は経験できないんですよね。
兵頭:ロングラン400回と言っても、いっこうに舞台に慣れることがないです(笑)。毎回トライ&エラーの繰り返しなんですよ。常に完全な”定型の完成形”を見せないといけない、という観点から考えると、私たちが試みていることはある意味タブーなのかも知れないんですが、そうすることで常に新しい変化や発見があって、それが最高の舞台を作る重要な要素になっているので。お客さんの力って本当にすごくて、いわゆるエネルギーのぶつけ合いのような。毎日お客さんの顔ぶれが変わるんですが、舞台に立って得られる感覚っていつも新しいから。
小原:そこが小劇場の良さでもあって、大ホールで見るスケールとは別の一体感というか。熱を感じる距離感がより近いので。お客さんと出演者を隔てるものがほとんど無いに等しい舞台の作り方をしているのも、空間をひとつにする大きな要素ですね。
兵頭:子供さんって特に素直で、本当に物語の世界の一員になった気持ちになるみたいで、号泣する子もいれば(笑)、「光ってるで!」とか「そっちに行ったで!」とか、協力してくれる子もいるんです(笑)。
_変化が多い舞台のなかでも、演者として空間に馴染んで行く感じというのはどういうふうに掴まれるんですか?
兵頭:それはやっぱり回を重ねるごとに実感としてわかってきますね。舞台を踏めば踏むほど、キャストとの息だったり距離感だったり、空間にいる自分自身の感覚だったり。
小原:作品の構成としては、ドールを中心にその他の登場人物たちが絡み合っていくという流れなんですが、“GEAR(歯車) ”の意味するところが、そういう異質・異色の才能だったりキャラクター同士が絡み合っていくことで、大きな動きへと繋がっていくということなんです。
_11月には、また新しいバージョンで再公演が始まりますね。
小原:11月1日から、新バージョンのVer.3.50がスタートするのですが、今回は、ギア出演中のマイム俳優・いいむろなおきさんを演出部にお迎えしまして、舞台の最終型バージョンといいますか、より細かい演出を詰めていって、また新しい世界観をみなさんにお見せできたらなと考えています。ぜひご覧になっていただけたらと思います!
【取材・文=三好千夏】
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