【その2】加藤登紀子のほろ酔いコンサートが12月関西で。来年のデビュー50周年を目前に“混沌”としたコンサートに!?

関西ウォーカー

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※【その1】の続き

_登紀子さんの歌には、悲しみだったり痛みだったり、哀愁がちゃんと息づいていて。それらも、登紀子さんの音楽を構成するうえで非常に重要な存在になっているんだと感じているんですが。

加藤「以前に和田アキ子さんに『今あなたにうたいたい』という曲を送ったのだけど、その時和田さんに『おトキの歌はね~、最期に歌うのが似合うねんなあ』って言われたの(笑)。『あたしまだ死なへんし、今はこの曲はまだ歌えないかも知れへんわ』って(笑)。私は夫が亡くなった時に自分のなかでひとつハッキリしたことがあってね。それは『歌の世界にあることが絵空事じゃなくなった』ってことだったの。ラブソングでも『終わりがいつかあるよね』ということの本当の意味が『あの人と別れたらもう会えなくなる』というレベルではなく、“命の最期”といつでも向き合っているんだという気持ちになってきたの。そうすると、自分の作ってきた歌がすごく“見えてきた”のよね。」

_“見えてきた”というのは?

加藤「自分の歌に対して、再度出会ったという感覚。だからしばらくオリジナルの曲が歌えなくなっちゃってね。何て言うのか…歌の世界に自分の感情がリンクし過ぎてしまって。だから夫が他界した直後は、しばらくオリジナル曲は避けましたね。歌詞の言葉が、すごく自分のなかにダイレクトに入ってきたの。仰ってくれたように、私の歌には死生観が濃いものが本当に多いのよね(笑)。作っちゃったあとに自分でも『わ~、またこんなの作っちゃったわ!』って自分でも思うくらい(笑)。でもね、そこに向かっていくことで、またさらに強い力で立ち向かっていけるということだと思うの。そこを経験して、味わって、それすらも自分の糧にしていくっていう。だから気持ちとしてはすごく前向きなの。『生と死』について思う時にね、いつも考えるのは『私はいつも、ステージの幕が降りて行く練習をしているから大丈夫』って(笑)。」

_笑。前回のアルバム『命結-ぬちゆい』では、3・11という出来事が大きく関わって生まれたものでしたが、現時点で、あの出来事に対するお気持ちというものに変化はありますか?

加藤「私はいろいろと直接的に関わってきている事もあるので、世の中の方たちがいまあの出来事について思ったり考えたりしていらっしゃる感じと私の向き合い方というのは少し異なると思うんですが、何て言うか、難しくなってきましたよね。だから、ここからなんだと思うの。あの出来事を経て、時代を生き抜いていくっていうのは。キャプテンハーロックの曲も、もちろん映画の世界観の中での歌ではあるんですけど、私自身があの曲に込めたものは『結局ここだわね』という、一番シンプルな私自身の思いですよね。あれに全部集約できたって思うから、歌っているとすごくすっきりする歌ですね。」

_実際に登紀子さんのライブを見てつくづく感じたことなのですが、登紀子さんの歌は『語り』ですよね。メロディに乗ってはいるんだけど、大切な言葉を一語一句、読み聴かせてもらっているような感覚になるんです。

加藤「そうね、やっぱり『語り部』なんだと思う、私は。“物語る歌”っていうのかな。その物語の中にノンフィクションも入ってくるんですけど、『伝えたい』という思いが強いものほど、音楽になるの。その伝えたい気持ちの強さが、自分自身の音楽にもはっきりと“見えて”くるんだと思います。

【取材・文=三好千夏】

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