【11/2(土)~:公開中】映画「ばしゃ馬さんとビッグマウス」で主演・麻生久美子×監督・吉田恵輔にインタビュー

関西ウォーカー

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34歳で夢も女も“こじらせ中”のシナリオライター志望の馬淵と、同じく脚本家を夢見るお調子者の青年・天童が共に夢へ向かって奮闘する姿をコミカルに描く青春ムービー「ばしゃ馬さんとビッグマウス」。本作で馬淵を演じる麻生久美子とメガホンを取る吉田恵輔監督が作品のこと、そして自身の仕事について語ってくれた。

─シナリオライターの夢を諦めるにも諦めきれないヒロイン・馬淵は、実は吉田監督がモデルだそうですね。実際に目の前に吉田監督がいる状態で、お芝居をされることはプレッシャーだったのでは?

麻生「脚本をいただいた時は馬淵のモデルが監督だとは知らなくて、知ってからは怖くて怖くて(苦笑)…。だって、私のお芝居を見てOKを出すのは吉田監督で、馬淵が監督自身だとなると、お芝居に対してOKをいただいても“本当に今ので大丈夫なのかな”といつも思っていましたし、撮影の合間に監督がしてくれるおもしろい苦労話も笑って聞いてはいるけど、私が演じる馬淵の苦労なんて監督に比べたら全然大変じゃないんじゃないかとか、いろいろとプレッシャーが大きくなってしまったんですよ。馬淵の元恋人を演じる岡田(義徳)さんとのシーンが最後の撮影で、29テイクを重ねたんですが、監督のプレッシャーの掛け方がすごくて…(笑)。優しく“あのシーンは本当に大事だからよろしくね”とか言ってくださるんですけど、それが日々プレッシャーでつらかったですね。現場では笑顔でいるけれど、プレッシャーに押しつぶされそうになっていました。撮影中の監督は“プレッシャーなんてかけてないよ”とおっしゃっていましたけど、撮影が終わってから“プレッシャーかけていたよ、当たり前じゃん!と、やっと認めてくれました(笑)」

─監督から麻生さんへキャラクターの説明はされたのですか?

吉田「特にはなかったですね。僕が役者さんやスタッフさんに押し付けてしまうと、みんなが僕の言うことを再現しようとしてしまって自由度がなくなってしまうので、わりと“フリーにやって”と話して、もし僕が思っていたのと違ったら少し話をして修正するだけです。演出してないふうで、いろいろと役者さんには“こうだよ”と情報を提供していければなとは思っていました」

─馬淵が恋人を前に夢への切ない思いを語った後に、一線を越えてしまうシーンが印象的です。映画「モテキ」(’11)など男性への未練を引きずってしまう役どころが最近多い麻生さんですが、同じ女性としていかがですか?(笑)

麻生「わりと過去の自分がそんな感じだったので、昔の自分を見ているようでイヤなんですよ(笑)。だから、馬淵の気持ちはわかりすぎますね」

─今回、天童役の安田章大さんとは初共演でした。役者としての印象やお芝居をしてみての感想、または驚いたところなどありますか?

麻生「安田さんはすごく度胸のある人ですね。ご本人にその自覚があるかはわからないですけど、私からすると“すごいな”と驚くようなことを現場ではよくされていました。たとえば、撮影初日から自分のアイデアを監督に話して、実際にやってみたりとかしていて、私にはできないことなので“すごいな!この人”って思いましたね。お芝居もナチュラルですし…。でも、本当に一番驚いたのは長ゼリフを間違えずに言ってしまうところ。役者だったらできて当たり前、普通のことと思われてしまうかもしれないですけど、意外とそんなことでもないんですよ。でも、安田さんの場合は完璧で驚かされました」

─印象に残っているシーンはありますか?

麻生「やはり29テイクを重ねた岡田さんとのシーンですね。だけど、この時に監督はすごいなぁと思ったんです。役者にとってすごくうれしい演出をしてくれるんですよ。私の場合、カメラが回り始めた瞬間にお芝居のテンションが上がりきっていないと“このテイクはナシだな”って自分で思いつつセリフを言ってはいくんですけど、監督はもうわかっているから、ある程度までセリフを言わせてくれてカットをかけるんですね。それも“そうすることで次がよくなりそうだから”って、カットのかけどころとかが、私の状態をよい方向へ持っていってくれるような演出の仕方で、すごくグッときてしまったんですよね。いっぱいテイクは重ねるんですが、監督の愛を感じました」

吉田「それは愛です!(笑)」

─劇中で馬淵は観客のニーズやエンタテイメント性を考えたりと、脚本家にもいろんな方がいらっしゃると思いますが、監督ご自身は脚本を書く上で心がけられていることはありますか?

吉田「昔は自分の好きなものを撮っていたけれどそれに技術が追いついてこなくて、メチャクチャな映画になってしまったんですよね。それで“この映画祭ではこんな作品がうける”とかいろいろ研究していくと、マネごとみたいになっていってしまって、一番やばいパターンに陥ってしまったんです(苦笑)。でも、仲のいいプロデューサーがある日“吉田君はいつも僕にくれる年賀状のような映画を作りなよ”って言ってくれて。昔はすごくブラックな年賀状を作ったりしていたんですよね(笑)。それで“もうオレはこれで諦める!”みたいな気持ちで映画を作ったら、それがグランプリをいただいたりして、今は完全に自分の作りたいものを作っています」

─本作は夢を追い続けることや、諦めることの難しさが描かれています。みなさんは現在、第一線でお仕事をされていますが、将来について不安を感じたりすることはありますか?

麻生「私は恐怖心がありますね。だから、全部とは言えないですけど馬淵の気持ちもわかるので、共感しながら演じていました。やはり女優というのは人に求められてこそじゃないとできない仕事なので、それがいつなくなってしまうのかなとかって考えると怖いです。私も馬淵ほどではないけれど、若いころはストイックに頑張っていた方なので、それに支えられているから今があるんですよね。なので、夢に向かって頑張れる時間は本当に大切だと思います」

─監督はご自身の“去り際”について考えたことはありますか?

吉田「昔、地元の友達に“オレは映画監督になる!”って言ったら、“おまえならきっとなれるよ!”とか言ってくれたんですが、実際は全然ダメでカッコ悪かったんですよね。でも、映画の世界から去るにしても、僕は逃げるように去るのはイヤで美しく去るために全力を尽くして映画を作ったら、それが今に至っていて。“これで終わり”っていう気持ちでいつも映画を作っていますね」

【取材・文=リワークス】

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