名門!ブルーノートより、東京から世界に発信する新プロジェクトが登場
東京ウォーカー(全国版)
2014年に創立75周年を迎えるジャズの名門レーベル、ブルーノートが日本発の新プロジェクトHEX(ヘックス)をスタートし、第一弾として11月20日(水)にアルバム「HEX」がリリースされる。指揮をとるのは、90年代初頭より日本のクラブシーンを牽引するDJの松浦俊夫。ジャズを踊る音楽として世界へ発信してきた松浦が、同プロジェクトや作品に対する思いを語ってくれた。
「昨年の終わりくらいに、2014年にブルーノートが75周年を迎えるにあたって、日本でスペシャルプロジェクトを立ち上げたいので手伝ってもらえないかというお話をいただきました。これまでジャズに携わり、多大な影響を受けたレーベルでもあるので、是非ともと思って。さらに、自分が所属していたU.F.O.(United Future Organization)を離れて12年ほど経ちますが、その間、曲は作っていながらも自分のソロアルバムを作っていなかったので、プロデュースだけではなく自分の思いも入れていきたいと話しました」。
プロジェクトのスタートにあたり、ブルーノートの楽曲を聴き直したと松浦。「ブルーノートにはもちろん素晴らしいアーカイブがありますが、今、それを並べれば新しくなるかというとそうではない。伝えていく使命はありますが、それはコンピレイション・アルバムでもできることで、プロジェクトはそれを目指すものではないなと。また、90年代にブルーノートやプレスティッジといったジャズレーベルが再評価されて、そういった音楽で踊るカルチャーが盛り上がりましたが、そのシーンをもう一度繰り返しても、作り手としては違うんじゃないかなという気がしていました」。
「一番大事なことは、今の時代の空気感の中で、ブルーノート75年の“さあ次に”っていったときに、自分も含めてもう一歩でも半歩でも前に進むことでした。だから制作は、あえて突き放すじゃないですが、遠慮なしに行った感じがありますね(笑)。アルバムのアートワークもいわゆるブルーノート的なものではないですし。逆に、そこを取り払って、新生ブルーノートってなんだ?って。実際にオフィシャル・プロジェクトの全責任を自分が負ってやっているわけですが、これ以外ありません的な感じにはなりましたね」。攻めのレコーディングを行い、あくまでも現在進行形のジャズにこだわったのだと言う。
「クラブミュージックという要素すら、横に置いておいた部分がありますね。踊り続けるのが難しい構成だったりしますから。でもそれが、これからの時代なのかなと思っているんですよね。ダンスものという視点では、それはダンス専門の方に作りかえてもらう方がいいのかなと。ジャズなのに自由であり、ジャズなのに聴いていて気持ちのいいものを求めて作っていたというか。尖っているのに、尖り方も含めて気持ちいいというか。相反するようなことなんですけど、現実と非現実の境目にあるニュアンスが、気持ちよさのポイントなのかなと思って」。踊るジャズを発信し続けてきた松浦がたどり着いた新たなイメージはメンバーにも共有された。実際のレコーディングは、短いスケジュールの中行われたそうだが、ジャズミュージシャンならではの現場主義により、能力と技術も含め、理想の形で仕上がったとか。
アルバムのタイトルにもなっているプロジェクト名、HEXという言葉は六角形という意味。記号的なモチーフを選んだ。「コンセプトを言葉にするより、目に見えた方がいいなと思いました。HEXが六角形というのは分かるので、この六角形がイメージとして出て、それで認識してもらえば、海外でも普通にできると思うんですよ。六角形がモチーフとなったプロジェクトなんだなというのが伝わる。そこでミュージシャンは誰か?というのも、あまり気にしなくていいというような。ゴリラズの例もありますが、表に出ていった音、どんな音が出せるかというのが全てだと思っているので。イメージはシンボルでいいなっていう」。メンバー4人と松浦本人、のこりのひとコマは、アートワークやリスナーでもプロジェクトに参加できるように、空席部分を含む六角形だとも。
東京発というイメージは意識したのだろうか?「東京でやってるから、自然とそうなるという感じでしょうか。出している音が全てであるというか。海外からすると日本っぽいって言われるかもしれないし、あえて日本人によるホレス・シルヴァーの『トーキョー・ブルース』のカバーにも挑戦したかったですし。東京らしさというと、クラブジャズってなかったものが生まれた街であり、ジャズであってジャズじゃないという部分もあるでしょうしね」。
そのなかで、見えている課題とは?「自分自身にも言えたことですが、クラブシーンのジャズが生まれて、かれこれ20年くらい経つんですが、最近ぬるいなって思うんです。だから、自分も含め気合いを入れ直して、ジャンルにこだわらずですが、もっと東京発のクリエイティブが世界へ出ていくべきじゃないかな。それは、言葉だけにならないようになればいいですし、もっともっと当たり前にね。そうやって活動していると、ある瞬間に評価が突然変わったりもするものなんですよ。それは以前、(U.F.O.が海外で評価され)体現していることでもあるので。それを繰り返すわけではないですが、その時の気持ちと変わらずに、とにかく音が一番。どんな時でも、世界中の人が聴く可能性のある音楽であるということを思って作っていけば、自然と世界レベルの音になると思っています」。
『オーサカ・ブルース』でゲスト参加しているEGO-WRAPPIN'の中納良恵のボーカルについて、海外の反応も語ってくれた。「ジャイルス・ピーターソンやロブ・ギャラガー(元ガリアーノ)も『彼女は誰だ?』って気にしていましたね。彼らの好きなスタイルと、EGO-WRAPPIN'の背景にある音楽も、つながり合う要素が強い。海外のアーティスト同士だと、世界中でフェスとか行われているなかで、繋がりあって『じゃあ今度一緒にやるか』って、作品ができあがることって少なくない。ロブと中納さんも、面白い化学反応が生まれたらいいなって思いますね」。【東京ウォーカー】
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