【その1】“女優・前田敦子”の魅力とは? 映画「もらとりあむタマ子」の山下監督にインタビュー
関西ウォーカー
父親と2人暮らしの23歳で、仕事もせず食っちゃ寝の口だけ番長・タマ子の日常を描いた映画「もらとりあむタマ子」。もともとは、前田敦子をヒロインに迎え、CS放送のM-ON!TVのステーションIDとしてオンエアされていた「タマ子」シリーズが、映画化され話題を集めている。今回、「苦役列車」(’12)に続き、彼女とタッグを組む山下敦弘監督が語る“女優・前田敦子”の魅力とは?
─本作のもととなるのは、CSチャンネルでオンエアされる30秒ほどのステーションIDでした。映画化されることが決まった時はどんなふうに思われましたか?
「前田敦子さんをタマ子役に迎えて、四季を通して10分くらいのドラマをステーションIDで流すというのが最初の企画でした。純粋にステーションIDとして放映するために秋と冬のエピソードから作った後に、プロデューサーから映画にしようというお話をいただいたんですが、僕や脚本の向井(康介)はそんなお話は当初なかったので驚きました。タマ子と父親の関係や、彼女が暮らす家でもある甲府スポーツの雰囲気が好きで、映画というより1年を通したエピソードをいくつか作るつもりだったので、出来上がったものをまとめてみて、映画にできるんなら映画にすればいいんじゃないかなって思いながら、春編から取り組みました。夏編だけ映画全体の30~40分近くあって、ほかの季節よりちょっと長いんですが、それは短編ではなく、映画として終わらせたいという気持ちからです」
─ステーションIDの10分の世界観から、90分の映画の世界へと肉付けしていく作業は大変ではなかったですか?
「そうですね。でも、タマ子というキャラクターを作り上げてからは、そんなに大変ではなかったんです。タマ子と父親のキャラクターを作る前と、作って間もないころはいろいろ悩んでいましたけど、最初に撮影した秋編の後から迷いはなくて、映画の物語も父と娘の話でいけるなと思いました」
─口だけは一人前だけど、ぐうたらなタマ子。同性から見ても憎めない魅力がありますね。
「タマ子はぐうたらだし、甘えられる存在の父親と一緒に生活をしていて、女子としては他人に見られたくない姿だと思うんです(笑)。だけど、僕は女性のそういう油断している姿を見てみたいんですよ。そうなると、一番甘えられる存在の父親の前だったりするし、タマ子もさすがに彼氏の前で父親の前と同じようにだらだらとは食べないと思うんです。普段、女性が見せたくないような姿を僕は見てみたかったんです。タマ子というキャラクターを作ったのも、それが理由ですね。だらしないことに目的があるんじゃなくて、だらしないからこそ見せる、心を許している表情を見せたかったんです。ニヤついたりふてくされたりだとか、今回は女性のいろんな表情が撮れたのでおもしろかったですし、僕自身が見てみたいものが撮れましたね」
─タマ子とお父さんの関係もとてもおもしろいですよね。最初はお父さんに干渉されることを嫌がっていたタマ子が、最後にはお父さんと女性の交際にちょっとしぶるという。
「タマ子の“父親をとられると寂しい”という気持ちもあるんですが、大部分は自分の居場所がなくなってしまうかもっていう焦りだと思うんです(笑)。そういうタマ子の心理状態は子供っぽいなぁと。それをあっちゃんが演じることで、23歳で大学を卒業した女の子に中学生くらいに幼く見えちゃうというか…。ある程度、大人になった人がタマ子を見るとかわいらしく見えるんですよね。あっちゃんは22歳なんですけど、時折赤ちゃんみたいに不思議な表情をしたりとか(笑)、言動もすごく中学生っぽく見えたりすることもあって、この作品も彼女のそういったキャラクターに引っ張られたところがあります」
※【その2】に続く
【取材・文=リワークス】
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