【2013年を振り返る】漫画業界の動向をオトナファミ編集長に直撃!<前編>
東京ウォーカー(全国版)
2013年も残りわずかとなった。Walkerplusでは様々なジャンルから2013年ならではのトレンドを検証、さらに2014年の展望を予測してみた。今回のジャンルは漫画。様々な話題作の連載が始まり、活気付いた印象を受ける2013年の漫画業界。そんな中、インドアエンタメ総合誌のオトナファミ2014年2月号(発売中・690円)で「コレ読んで漫画ランキングBEST50」が発表された。2014年にブレイクしそうな作品は何か?2013年のトレンドはどのようなものだったのか?それらについて、同誌の小澤繁夫編集長に話をうかがった。
――早速ですが、2013年に最もヒットした作品と、その作品がブレイクした理由を教えてください
「2013年はやはり『進撃の巨人』の売れ行きがすごかったですね。ここ数年、漫画業界では売上、人気共に『ONE PIECE』が不動の地位を築いていますが、読者の間では、これと同じように楽しめる漫画がずっと求められていたんです。そこに見事にはまったのが本作なんですね。実はオトナファミでも、1巻が発売したタイミングでNEXTブレイク漫画として取り上げていまして。その後、業界内での注目度もどんどん高まっていき、アニメ化によってブレイクに拍車がかかった、といった感じですね」
――「進撃の巨人」は原作コミックスとアニメの関係性に他の漫画にはない特徴があるそうですね
「人気漫画のメディアミックスは、今では当たり前のように行われている展開ですが、その中心でコンテンツを牽引するのは、原作コミックスというのがほとんどのパターンでした。ところが『進撃の巨人』は、漫画ファンの間で行き渡ったかなというタイミングでアニメ化が発表され、2013年4月からの放送から、さらに部数が大幅に上昇したという、原作人気、アニメ人気のバトンが見事に繋がって一般化した理想的なパターンの作品なんです」
――主題歌が話題になり、そこから原作に興味を持つ人が増えた、という流れも面白いですね
「それと、もう1点注目したいのが、本作が連載中の別冊少年マガジンが、マガジンブランドの中では個性的なポジションにある雑誌だということです。自由な土壌から芽を出して、作品そのものの魅力が大ブレイクに導いたという点は、『ベルセルク』や『テルマエ・ロマエ』などと通じるところがありますね」
――アニメ版もそれに近いことが言えそうですね
「製作体制、スタッフ含めてクオリティは十分期待されていたのですが、いわゆるキー局ではない放送局でスタートすることになったので、放送が始まるまでは、『まずはアニメ好きの間で話題になるかな』という雰囲気だったんです。ところが、いざ放送が始まると、ものすごい勢いで人気に火がついて、普段はアニメを見ない人たちも『進撃の巨人』だけはチェックするという、面白い展開になりましたね」
――それには何か理由があるのでしょうか?
「一昔前までは、面白そうな作品を知るには、メジャー雑誌や放送局から発信される情報に頼るしかありませんでした。けれども最近では、面白いコンテンツを見付ければ誰でも手軽にその情報をインターネットで発信することが当たり前になり、さらにコンテンツそのものをネット配信できる環境も整ってきました。つまり“面白い”というキーワード1つあれば、ユーザー同士でどんどん拡げていけるという文化が、一般に定着したということだと思います。企業的な目線で見ればメジャーな環境での立ち上げではなかった『進撃の巨人』が、これほどまでに大ヒットした理由の一端は、間違いなくインターネットの一般化に伴う活用スキルの向上にあるでしょうね」
――2013年は「進撃の巨人」のインパクトが強い一年でしたが、業界内ではこれ以外にも様々なトレンドが見られたそうですね
「自社作品で恐縮ですが、何も考えずに楽しく読める作品として『坂本ですが?』も話題になりました。この作品のファン層には女性が多く、中でもOLさんや日中忙しくされている方からの支持率が非常に高いんですよ。というのも、こういった作品の読者層は、会社から帰ってきて、ちょっと読んで笑って寝るという、息抜きのためのツールとして漫画を楽しんでいて、常に新しい作品を探しているんです。幾つか例を挙げるなら、『テルマエ・ロマエ』の他、『聖おにいさん』や『鬼灯の冷徹』なども、この系統に分類されますね」
――そういった作品の読者層も、情報集めにはネットを活用しているのでしょうか?
「OLさんの中には、意外とそういう方が多いですね。それで『テルマエ・ロマエ』などが一段落して、次に来そうな漫画は何だ?となった時、その空白部分に綺麗にはまったのが『坂本ですが?』だったというわけです。こういった“自分への平日ご褒美系”とでも言いますか、寝る前にサクッと読むことで楽しい気分になり、次の日を気持ちよく迎えられる漫画の系譜は、1つのトレンドとしてこれからも続いていくでしょうね。ただ、2014年も『坂本ですが?』の人気が続くのか?それとも新たな作品が出てくるのか?注目している市場の1つです」
後半に続く。【取材・文/田井成樹】
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