【2013年を振り返る】ゲーム業界の動向を週刊ファミ通編集長に直撃！＜後編＞

＜前編より続く＞

――続いて、ゲーム業界の動向についてご意見を聞かせてください。2013年を振り返って、印象的な出来事はありましたか？

「まだ日本では発売されていませんが、2013年は年間を通して、プレイステーション4(以下PS4)やXbox Oneといった新世代機のアナウンスが行われたのが印象的でしたね。2月にニューヨークで行われたイベントでPS4が発表されたことを皮切りに、マイクロソフトもXbox Oneを発表。6月にはE3(ロサンゼルスで開催されるゲームの見本市)で、9月には東京ゲームショウで、最新情報の公開や体験プレイが楽しめたりして、ゲームの世界に新しい時代が到来することを幅広い層にアピールできた1年だったと思います。どちらのハードも、この盛り上がりの中での発売となるので、初動売上にも期待が持てそうですね」

――他に気になった出来事はありましたか？

「Wii Uが、想定よりも伸び悩んだ印象があります。とはいえ、Wii Uには『大乱闘スマッシュブラザーズ for Wii U』や『マリオカート8』など、人気シリーズの最新作がまだまだ控えていますし、任天堂のタイトルが充実することで、販売台数はもっと伸びます。それともう1点、Wii UにはMiiverseという、ユーザー同士のコミュニケーションに使えるサービスがあるのですが、覗いてみると常に大勢のユーザーがいて、盛り上がっているんですよ。この機能をうまく活用した、ユーザーを巻き込んだ展開にも期待できると思います」

――そういった流れの中、2014年のゲーム業界はどのように変化していくでしょうか？

「2月22日(土)にPS4が発売されますが、まずはこれが大きな山場となるでしょうね。PS4はハードとしても性能が向上しているし、遊べるタイトルにもリッチなものが揃っているのですが、それ以上に注目したいのがコントローラーに付いているシェアボタンです。これにはゲーム画面のスクリーンショットやプレイ動画を撮影、保存できる機能で、シェアボタンを押すだけで、各種SNSや動画サイトにアップできるようになっているんです。また、手軽に実況プレイを配信することもできます。これらの機能により、誰でも簡単に発信者になれるので、ゲームの遊び方もこれまでとは大きく変わってくるでしょうね」

――現行機とは購入層にも違いが出てきそうですね

「先程も少し触れましたが、やはりゲーム機というものは、面白いソフトが出揃ってからでないとなかなか売上が伸びないものなんですよ。けれどもPS4の場合は、シェア機能そのものに魅力があるので、ここを上手くアピールしていけば、『この機能を試してみたい』『シェア機能で盛り上がりたい』といった意欲をかき立てることができると思うんです。スマートフォンも今でこそ“持っていることが当たり前”といった風潮になっていますが、出始めた頃は一部のガジェット好きにアプローチして、そこからよりライトな層へと広まっていきました。PS4なら、そんなスマートフォンと同様の展開も期待できそうです」

――本格的なゲームはやらないけど、スマホゲームやニコニコ動画には興味がある、といった人たちの関心も引けそうですね

「2014年にはXbox Oneも発売されますが、新ハードはいずれもスマートフォンやタブレット端末との連携が予定されているので、その動きも気になりますね。一概には言えませんが、今までだと特定のプラットフォームでしか遊べなかったゲームが、据え置き機、携帯ゲーム機、スマートフォンの垣根を越えて、どのハードでも自由に遊べるようになっていくと思います。具体例をあげるなら、“家ではテレビの大画面でゲームを楽しみ、外出先ではスマートフォンでその続きからプレイできる”ということです。次世代機が出揃う2014年は、そういった新しい動きが顕著に見え始める、ゲーム業界にとってのターニングポイントになるでしょうね」

――いわゆるクラウドサービスがゲーム業界でも本格的に活用されるようになると？

「メーカー毎に違いはあると思いますが、いずれは購入したソフトのデータをクラウド上に保存し、いつでも好きなハードで遊べるようになると思います。ここ数年でスマホゲームが流行り、携帯ゲーム機にも勢いがありますが、やはりこういった大々的な変化の中心となるのは据え置き機なので、PS4やXbox Oneといった新しい世代のマシンがどんな未来を見せてくれるのか、ゲームファンとしても気になるところですね」

PS4、Xbox Oneの登場で、さらに盛り上がりそうな2014年のゲーム業界。今後の動向が気になる人は、週刊ファミ通(毎週木曜発売)で最新情報をチェックしつつ、次世代機の発売を楽しみに待っておこう。【取材・文/田井成樹】