しゅららぼん万城目学「良い意味での娯楽作品で健康的です」PART1

東京ウォーカー(全国版)

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現実の世界で巻き起こる奇想天外な出来事が多くの人の琴線に触れ、今や万城目ワールドとも呼ばれる独特の世界観を有する小説家の万城目学さん。今回、『鴨川ホルモー』(09)、『プリンセス トヨトミ』(11)に続き、『偉大なる、しゅららぼん』が3月8日(土)より劇場公開される。映画好き、ゲーム好きとしても知られる万城目さんにインタビューし、小説と映画に対する思いを語ってもらった。

――『鴨川ホルモー』『プリンセス・トヨトミ』に続いて3度目の映画化ですが、率直な感想と映画化に際してどのように関わったのですか?

「かなり満足しています。すごく面白かったです。今回は3作の中でお任せ度が一番高かったですね」

――キャスティング、原作では高校生ですが、試写で見て、まあしっくりきているんじゃないかと思いました。原作者としていかがでしたか?

「本物の15歳が出ると全然違ったものになるのだろうけども。『クローズZERO』(07)とか『ROOKIES 卒業』(09)とかを見て、慣れさせられているので、『大丈夫です』と言わたら、大丈夫なんかなと思ってしまいますね。7年前だと『大丈夫じゃない』と言っていると思うんですよ。たぶん日本人が、30歳手前の人が高校生を演じることに対して、完全に感覚をずらされているんだと思いますね」

――脇を固めているキャスティングがとても良かったと思うのですが

「どれもぴったりでしたね。特に印象深かったのは、佐野史郎さん(日出淡九郎役)が原作を読んでくれていて。『校長の前に立つ時に、オールバックの髪をなでつけ、裾を直して、本に書いてあるとおりに演じて前に立ったんです』と仰って。『全然わかりません。自分が何を書いたか全く覚えてないです』って、そんなことは佐野さんには言えなかったですが(笑)。言われてみて、『ああ、そんなこと書いたかな』と」

――確かに佐野さんははまり役でしたね。他に印象に残った方はいますか?

「村上弘明さん(速水義治校長役)ですね。これは発見だなあと。村上さんには悪役のイメージがなくて、また映画で見ること自体があまりないような。でも、アップでも完璧に耐えうるし、ドラマの人が映画に出てくると、ちょっと力不足かなという気がするんですが、そんなことは全然なくて。これぞまさに発見だなと。これからどんどん悪役として映画に出てくれたら良いなあと思っています」

――深田恭子さん演じる清子はどうでしたか?原作では太っていて、人相悪くてというイメージですが

「淡十郎もそうですが、太っているという部分は書いている本人はあまり気にならないんですよ。それは小説の中だけの話で、『ハングオーバー!』シリーズなどで、太っていてちょっと汚らしい人がちゃんと主役を張っている。そんなハリウッドとか良いなあと思うので、日本でもそういう人が増えたらなあと思います。あの歳まで太った身体でちゃんとやっていけるということですよね。日本だと、どうしても男前ですらっとした人じゃないと、劇団とかでやっていない限り、35歳、40歳までやっていけないということだと思うので、もっと多様性があった方が映画としても膨らむんじゃないかなと思いますね」

――では万城目さんが一番すごいと思ったキャスティングは?

「やはり村上さんですよね。あまりピンと来ていなかったんですよね。どうしても必殺仕事人とか刑事もののイメージがあるから。あとは薬のCMとか、健康的で正義の側の人だったので、その人が悪役をするというのが楽しみでしたね。それから笹野高史さん(源治郎役)なんて、書いている時からそこにいたような気がしますね。僕がロケ現場に行った時、ちょうど雨のシーンを撮影するところだったんですね。結構寒かったんですよ。3台で放水して雨をザーザー降らせるんですよ。1回でカメラを何台もセットして撮影するのかと思ったら、カメラ1台で3、4回ぐらいかな。濡れてはセッティング、その間に乾かして待つという。あれは本当の老人、70歳とかの人だと無理ですよね。60歳台じゃないと無理な撮影だと思いましたね(※笹野さんは現在65歳)」

――映画化に当たって注文とか、こうしてほしいといったオーダーは出されたのですか?

「初めてプロデューサーに会った時、原作を読んで、自分が書く前に回ったところをほぼ全部回られていて。ちゃんとイメージを持って、滋賀県で全部ロケしたいと言ってくれました。そこまで言ってくれるなら、まあ僕の方から言うことないかなあと。あとは脚本を見てどう思うかぐらいでしたね。これは他の映像化の時も同じですが、一観客として見た時に辻褄が合っているとか。自分が一番全体の構成を理解していると思うので。このシーンがないとかは別に良いんですが、2時間の映画としてちゃんと面白くなるのかどうかとかを気にしましたね」

<インタビューPART2に続く>

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