しゅららぼん万城目学「良い意味での娯楽作品で健康的です」PART2

東京ウォーカー(全国版)

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<インタビューPART1から続く>

――小説を書かれている時にビジュアルは浮かんでいたりしますか?万城目さんは映画好きで、作品内に映画作品のオマージュ的な要素もありますね

「淡九郎がいる部屋は、イメージでは『ゴッドファーザー』(72)の最初のシーン、娘コニーの結婚式があって、コルレオーネは書斎で友人たちの訴えを聞いている、あのイメージです。コルレオーネ家の居間をイメージして書いたんですよ。それが映画になった時、和洋折衷の洋館の一室になったのがものすごく良い。僕がイメージしたのはあくまで西洋だけど、どう解釈しても良いわけですよ。それが重要文化財の和洋折衷の洋館になったのが、非常に日本的な解釈で、これはすごく良いなあと思いました」

――本作はCGを多用していますが、いかにもCGといったところがあまりないですね。技術の進歩はすごいなと思います

「湖が割れるところ、僕は昔のモーゼの映画『十戒』(57)しか見たことがないから、あれぐらいしか知らないけど、今のCGを使ってやったら、こんなに一気に割れるんだな、みたいな(笑)。毎回、映像化できないと思わせるようなものを書きたいと思っているんですが。書いている時は『これは無理だろう』と思っていても、できちゃうんですよね(苦笑)」

――映像化される時のこだわり、ここだけは譲れないという部分はありますか?

「また万城目が変な話を書いたなとか、こんな変な話を書く奴なんやなあ、と認識されたら、僕は良いんです。俳優の方がどんな演技をしようと、皆さんが気持ちよくやってくださったら。また変な話考えたなあというような、ちょっとしたアホな話考えよったな、みたいな印象を観客の方に残してくれたら僕は大満足です。強烈な匂いが刻まれたらそれで良いですよ。観客の方も、作り手の方も、はじめて映画化された『鴨川ホルモー』の時はまだ2作しか世に出していない怪しい奴のちょっと売れている話だったと思うんですが、デビューからもう8年経って、みんなが万城目作品がどういうものか、慣れてきたというか、練度が増しているような。何作も書いて、それを世に訴えているので、徐々にフォーマットされてきているかな。30歳手前の人が高校生をやっても大丈夫みたいな感じで、こういう作風もあるのかなと認識されつつあるのかなと。その認識をさらに強くしてくれるような映画だったら大満足です。そして最後、エンドロール後のシーンです。あほくさあ、みたいな。何それ、みたいなのが良いんですよ。醍醐味というか、あれが許されるのが良いです。だから、ももクロの歌が流れ始めても席を立たずにいてください」

――最後のあのシーンは本当に良いですね。表紙の装丁のイラストにぴったり合わせていて

「どこで撮るというのを担当している人が、表紙と似たような感じの場所が彦根城にあったから、そこでワンカット撮っておこうという話をしていて。何か使えるかも分からないからね、と言っていたら、あんな大事なところで使われていました。でも、あそこは脚本と違っていたんですよ。出来上がりの方が良いかな」

――最後にこの映画の魅力をアピールしてください

「健康的な映画です。ばかばかしいテイストなんですが、良い意味での娯楽作品で、健康的というのが一番しっくりくる表現ですね。陰影もあり、緩急もあるけど、健康的なんですよ。僕は1980年代の映画が好きなんですが、『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』(84)や『グーニーズ』(85)とか、その辺の香りがする作品です」

映画『偉大なる、しゅららぼん』は3月8日(土)より全国公開。原作本「偉大なる、しゅららぼん」(集英社文庫)は発売中。【Walkerplus】

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