シルク・ドゥ・ソレイユ特別インタビュー！　“オーヴォ”の魅力とは？

シルク・ドゥ・ソレイユといえば、世界中で大人気のエンターテインメント集団。今回日本に上陸した“オーヴォ”は、ダイナミックで華麗なアクロバットはもちろん、虫たちの恋愛や日常などを展開する、シルク初のファンタジー作品だ。キュートでお茶目なアンツ（アリ）、空中を優雅に舞うバタフライ（チョウ）、みごとな跳躍を見せるクリケット（コオロギ）など、数々のキャラクターたちが個性を放つ。その中から、クリケット役のヤイア・イシブデンにインタビュー。さらに、ショーを陰で支える、ミュージシャンのキャロリン・ルメイにも“オーヴォ”の魅力を聞いた。

――「ウォール」の前で、トランポリンを使って、驚異的な跳躍や回転をするクリケット。あなたはもともとトランポリンをやっていたのですか？

「僕は、体操のフランスのナショナルチームの代表だったんだ。ゆか運動の練習の一つとしてトランポリンをやっていたから、慣れていたよ。“オーヴォ”では、トランポリンから跳ね上がって壁を駆け上がっていく練習を、毎日している。落ちる角度や場所を間違えると、とんでもない方向に行ったり、壁を上がれなかったりするから、ショーはとても緊張するよ！」

――えっ、緊張しているんですか？　すごく軽々と、しかも楽しそうに跳んでいらっしゃるなと……。

「それは光栄だ（笑）。軽々と楽しそうに見えるのが狙いだからね。練習を重ねて、やっとここまで完成したんだ。でも、楽しい！　だって子どものころには想像できなったからね、こんな人間離れしたことができるなんて（笑）」

――確かに！　また、あなたはバタフライも演じると聞きました。コミカルでダイナミックな動きをするクリケットと、まったく違う優雅な役柄ですよね?　うまく切り替えられるのですか？

「クリケットにもいろいろなキャラクターがあって、僕が演じるのは、お客さんとよくからむ遊び人（笑）。バタフライはスムーズでエレガントな動きがメイン。全然違うけれども、NO　PROBLEM！　メイクも衣装も変えれば、ちゃんとスイッチできるさ」

――そういえば、日本人初のクラウン（道化師）フォーリナー役の谷口博教（ひろのり）さんも、クリケットを演じるんですよね？

「そう、ヒロはすごい才能の持ち主だよ。フォーリナーになって観客をどっと笑わせていたかと思えば、クリケットになってピョンピョン飛び回ってるんだから。休日に一緒にゴルフをやるし、彼とは仲がいいんだ」

――ゴルフ！？

「オフの日は、ショーの事は何にも考えないようにしているんだ。だからガーッと集中できるスポーツがいいね。ボウリングもやるよ」

――「ウォール」のような壁があったら、どうします？　思いだして、ついつい登っちゃったりしません？（笑）

「さすがにしないよ（苦笑）。僕たちは、一生懸命練習して、ショーも100%の完成度でやっている。だから、最高のショーを観客の方々に提供しているという自信があるんだ。それに、同じ舞台は二度とない。“オーヴォ”は、毎日進化し続けているんだ。だから何度も見てほしいね！」

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――キャロリン、あなたが、シルクに入ったきっかけは何ですか？

「大学生のとき、故郷のモントリオールで「サルティンバンコ」を見て、最高に感激したの。『ここで音楽をやりたい！』って。シルクでは、なかなかオーボエを使うショーがないので、舞台に立つまでに時間がかかったけど。念願がかなって、とてもHAPPY！　シルクに入るということは、とてもすごいことなの。うちの母は『娘がシルクでプレイしているのよ』って、周りに自慢しているらしいわ（笑）。いつも舞台のサイドにいるので“オーヴォ”を正面から見たことがなかったのだけど、一度客席から見たら、本当に素晴らしかった！　シルクにいることを誇りに思うわ」

――今回の“オーヴォ”での見どころならぬ、聞きどころはどこでしょう？

「以前、クリケット（コオロギ）の鳴き声の泣き声としての演奏しているオーボエの音だけが大きく感じたことがあったのでバンドリーダーに『ちょっと、（オーボエの）音下げてくれない？』と言ったら『いや、下がっているよ』とリーダーに言われて・・・。実は、本物のクリケット（コオロギ）がマイクの上に乗っかっていてそれが実際に「るるー」と鳴いてたの！！それくらい、オーボエのサウンドをクリケットの鳴き声に近づけているということ。“オーヴォ”は自然界のいろいろな音を忠実に再現しているの。そういう点でも、ミュージシャンに注目してくれるとうれしいわね」

――小さなお子さんがステージ前で踊っていましたね。

「”オーヴォ”はHAPPYで明るいショーだから。お客さんのノリがいいと、こちらもどんどん調子が出て、ノリノリになるわね。皆さんにエナジーをプレゼントできたらうれしいわ。日本を訪れるのは初めてなので、ワクワクする☆　最高のパフォーマンスを期待してね！！」

ヤイア・イシブデン　フランス出身。体操選手を経て、シルク・ドゥ・ソレイユに入団。　　　　　　　　　　　　　　　　　キャロリン・ルメイ　カナダ出身。5年前にシルク・ドゥ・ソレイユに入団。オーボエ、イングリッシュホルン等担当。

【取材・文/東野りか】