たった2人で売上7500万円!iPod向け「大辞林」ヒットのワケ
東京ウォーカー
昨年の7月の販売開始以来、世界中で8億本以上を売り上げる「iPhone/iPod touch」向けアプリを配信する「App Store」。その中で現在4/3時点、「App Store」内の売り上げランキング8位と異彩を放っているのが「大辞林」(三省堂)だ。
有料でも100円〜1000円のゲーム系アプリが中心の「App Store」内において、2500円という高額にも関わらず売り上げが好調な理由はどこにあるのか? 「大辞林」のアプリを開発したソフト開発会社「物書堂」に話を伺った。
「『大辞林』は昨年の12月に発売され、現在まで3万本以上ダウンロードされています。3月には『iPhone』のCMで紹介されたこともあり、1か月で1万本以上売れました」とは物書堂代表の廣瀬則仁さん。昨年2月に会社を設立以来、和英辞典などをAppleのOS用に開発してきた。
「7月に『App store』がオープンして、アプリで『英和辞典』などを開発していたんです。“日本語の辞書も出してみよう”と思い三省堂さんにお声がけしたところ話が進み、2〜3か月かけて完成させました」(廣瀬さん)
だが、「大辞林」以外にも「広辞苑」(岩波書店)、「大辞泉」(小学館)などの中型日本語辞書も「App Store」に参入している。なぜ、「大辞林」はその中で一番のヒットとなったのだろうか?
「開発でもっとも心がけたのは、“使いやすい国語辞典”をつくることでした。フォントでは、ほかの辞書が“ゴシック体”なのに対し、よりきれいな“明朝体”(文字フォントとして通常は採用されていない)を特別に採用しています。文字を“横書き”ではなく“縦書き”で表記するなど、細部まで丁寧に作ったことも売り上げ好調の要因だと思います」(廣瀬さん)。
特別に“明朝体”のフォントと縦書き表記で作った日本語辞典。「iPhone/iPod touch」の特性であるタッチパネル機能を最大限に活かした機能を一度使えば、高額でも支持を得ている理由がわかる。もっとも、書籍の「大辞林」は定価が8190円というから、2500円でもかなり安価で採算ギリギリのラインだ。
売り上げは現在約7500万円。Appleや三省堂へのロイヤリティを引いても、手元には約2500万円以上が残る計算だ。製作コストは人件費だけで、なんと社員は2人だというからビックリ。個人のギターアプリの開発で3500万円以上を売り上げた人がいるように、少人数で大金を手に入れるチャンスが「App Store」には転がっているのだ。
ゲームアプリのみではなく「大辞林」のようなアプリが売り上げ好調をキープする現状は、「iPhone/iPod touch」向けのアプリケーションの新しい可能性も感じさせる。特に良質のコンテンツを提供しながらも不況にあえぐ、出版社の大きなビジネスチャンスにも成り得るだろう。
「iPhone/iPod touch」という新しいプラットフォームの出現は、コンテンツビジネス全体に影響を与える可能性を持つ。今後、どのように展開していくのか目が離せない!【東京ウォーカー/中道圭吾】
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