【連載:職人探訪(1)】矢部親子が作る、凛と輝く“江戸被切子”

東京ウォーカー

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江戸時代から途絶えることなく続く伝統工芸、江戸切子。日本が世界に誇る美しいガラス工芸を、いまも変わらず手作業で作り続けているこの道30年以上のベテラン職人、矢部たもつさんの工房(江戸川区平井)を訪ねた。

荒川そばの小さな工房で、黙々と作業をする矢部さんの横には、ブランデーグラスや皿、花瓶などさまざまな形をしたガラスの器が所狭しと並べてある。紅や緑、黄色、青など、どれもカラフルだ。

「この工房のなかに置かれていると、みんなガラクタみたいに見えるでしょ?(笑)」と矢部さん。これらのガラスを石で削り、デザインを施していくのが職人の仕事だ。回転する木車に磨き粉をつけ切子した面を研磨すると透明な面が現れる。極細なラインも太いラインも、同じ研磨石で彫り上げる。高速回転する研磨石で、ガラスというただでさえ繊細な素材を下書きもなしに緻密に削っていく技術には、熟練が不可欠だ。

「器って、使うときに必ず中になにかを入れますよね。お酒であったり、お茶であったり。実際に使われている状態を想像して、色合いやデザインを決めていく。ただ“デザイン力”という意味では、父でもある師匠にはかないませんね」と矢部さん。

師匠の茂さんは江戸切子の技術が極めて高く独自の手法による自身の作品のために「江戸被切子(エドキセキリコ)」の名称を商標登録。江戸川区の無形文化財にも指定され、現在89歳と高齢ながら、いまなお現役として活躍している。矢部さんいわく「師匠は天才。通常、江戸切子は器に刻印されたサインなどを見て作者を判断しますが、師匠のものは見ただけでわかる。それほどデザインが斬新なんです」。

9/3(水)から2週間、横浜高島屋にて親子で作り上げた作品の展示・販売会が開催される。ひと口ビールグラス「花一輪(径52mm、10.5mm)」が4000円から購入可能。凛と輝く江戸被切子とその技術の高さに触れ、日本の伝統工芸のすばらしさを感じよう。【東京ウォーカー/オオトウ アヤ】

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