映画「サクラサク」田中光敏監督インタビュー 「さだまさしさんの原作でも描かれる“日本の原風景”を残したかった」
関西ウォーカー
小説家としても活躍するさだまさしの同名原作を映画化した『サクラサク』が全国の劇場で公開されている。本作の映像化を手掛けたのは、「利休にたずねよ」でモントリオール世界映画祭の最優秀芸術貢献賞を受賞した田中光敏監督。03年にはさだの自伝的小説『精霊流し』の映画化も手掛けている田中監督が、『サクラサク』の見どころを語ってくれた。
―昨年末公開の『利休にたずねよ』から1年を待たずに新作が公開されますね
田中監督(以下、T)「『利休にたずねよ』の撮影が終了したすぐあとに、今回の『サクラサク』の撮影がスタートしました。ただ、この作品は企画されてから4年が経っているんです。原作はさだまさしさんの短編小説なんですが、実は、企画の段階ではすでに別の会社が映像化権を持っていたんですよ。でもさださんが映像化権を、その会社から引き上げてくれて、僕が監督できるようにしてくださったんです」
―本作は藤竜也さん演じる祖父が、老人性認知症を患ったことをきっかけに、彼の記憶をたどる旅に出た家族が再び絆で結ばれていく姿が描かれています。映画の中で特に印象に残るのは、認知症を患った藤さんの演技です。ダンディなイメージのある藤さんが認知症患者を演じるのは意外でした。
T「今回、藤さんには、“俊太郎”という名前のおじいさんを演じてもらいました。ダンディでチャーミングなおじいちゃんに少しずつ認知症の症状が現れ始めるという設定なんですが、意外な人に演じて欲しかったので、藤さんにオファーしました。俊太郎という役を演じるにあたって、藤さんは、実際に認知症の方がいらっしゃる施設を見学されて、役づくりをされました。かなり役に入り込んでいたようで、撮影現場でも、藤さんが俊太郎を演じているというよりも、俊太郎が藤さんに降りてくるというような感じでした」
―俊太郎の息子である俊介を緒形直人さん、その妻を南果歩さんが演じられていますが、壊れかけていた家族の絆が、再生されていく姿は感動的でした
T「今回の映画は3週間で、ほぼシナリオどおりの順番で撮影していきました。撮影が進むにつれて家族の関係性が出来上がっていく。まるで映画が出来るように劇中の家族が出来ていくようでした」
―本作はロードムービーとしても見応えのある映画でした。特に、家族が俊太郎とともに訪れる、福井や美浜の映像から日本の風景の美しさを再確認しました。
T「原作小説の中にも“日本の原風景”が大切な要素として描かれています。私自身も、日本の美しい風景を映像に残したいという気持ちがありました。その土地に暮らす人々の営みと、そこでしか見られない風景を記録することは、これからの日本社会にとって、とても大切なことだと思います」
【取材・文=関西ウォーカー編集部 鈴木大志】
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