【その1】5/3(祝)~5(祝)は時間延長が決定! 圧倒的なスケールで見せる「篠山紀信展 写真力」が5/18(日)まで開催中。会場で篠山紀信氏に直撃した!
関西ウォーカー
4/5(土)から大阪・梅田のグランフロント大阪でスタートした「篠山紀信展 写真力 THE PEOPLE by KISHIN」。有名人のポートレートを中心に、写真家・篠山紀信氏が50年にわたり撮り続けた作品のうち、とびきり“写真力”のある作品を巨大な展示空間にあわせてダイナミックに見せた大規模個展だ。開催前日、会場に来ている篠山氏をキャッチした。
_今回の展覧会は『GOD』『STAR』『SPECTACLE』『BODY』『ACCIDENTS』の構成で展示されていますが、特に印象的だったのが『BODY』の展示でご説明されていた「当時は高度成長期に伴って、表現のエネルギーも加速していた」というお話だったんです。今はそれほどまでに熱のある表現っていうものは少ないですよね。
篠山「そうなんだよ、今はやってくれないんだよね。『ヌード』の面白さっていうのはね、時代が『ヌードになる』という表現と密接に絡み合っているというところなんだよ。例えば性器を写すのもさ、オランダとかドイツだったらアートのレベルでなら問題ないんだよね。でも国によっては未だにべールを被って顔すら見せてはいけない国もあるわけじゃない。だから、やっぱり国とか地域によって違ってくるものなんだよね。あとは時代によって微妙に変わってきたりする。ヘアがよくなったり…これは樋口可南子さんを撮ったくらいの時から『なし崩し』な感じでOKになった感じなんだけど、でも、法律で『いい』とは言われていないんだよね。だから誰か権力者が『いいよ、篠山やっちゃえ』ってなれば、いつでも出来るようになるようなもので。だからね、すごく難しいの。東京の街中でヌードを撮るのだってさ、こんなの僕は60年代からやってるんだよ。都市に突然ヌードを置くことによって、『東京』という街に対して別の視点が生まれてくるのが面白いからずっとやってきたんだけど、最初のほうは誰にも何も言われなかったんだよ。でもこの写真(20XX TOKYO)によって突然言われるようになってしまった。これって何なのかなあ。すっごく不思議でしたよ。『なにを今さら』って(笑)」
_突然注視されるようになったのは何故なんでしょうね?
篠山「何だろうね?でも、全体的に『ヌード』とか性的なものに対する規制は厳しくなってきていることは事実ですよ」
_一度芸術として認められたものが、一転して今度は犯罪として見られるようになるというのは…
篠山「わからないよね。でも、これってもしかして、国が滅びていく前兆なんじゃないの(笑)?だってさ、弱くなっていってるんだよ。自由で新しい表現がどんどん出てきている時に、そんなの押さえつける方がバカじゃん。だけど『ちょっとあいつ気に入らないな』って誰か力のある奴がひとこと言うとさ、みんなで寄ってたかってそれを潰しにかかるって、それって何なの?って思うよね。間違っても『時代が成熟していってる』なんて僕は思わないよ」
_時代は後退しているんでしょうか?後退というか、弱気になっていっているというか。
篠山「僕にとっては後退しているよね。それは表現者にとっても同じだと思うよ。例えばヌードに限らずさ、今日の新聞の全面に、僕が撮影した筧美和子っていう女の子の写真集の広告が出てるんだけど、この本は本当に最高なんですよ。この子ね、まだ20歳になったばっかりでこれから芸能界にどんどん出ていこうって時期なんですけど、裸っぽいものっていうのは基本的に事務所が嫌がるんですよ。何故かっていうとコマーシャルが来なくなるから。××からの圧力があるんだよ!××が悪いんだよ本当のこと言うと(笑)」
_書けません(笑)!
篠山「笑。だってほら見てよ。これなんかさ、もうほとんど裸になっちゃってるじゃん。そしたら『こんなことされては、もううちのコマーシャルでは使えません』ってなるんだよね。そんなことを言い出すんだから」
_ボディソープのCMとかも…来ないですかね…?
篠山「…え?君ね(笑)、そんな感じでバンバンお仕事が来るような時代だったら本当においしいですよ(笑)。あとは事務所の人から『これから売り出していくつもりだから、そういうのはやめてください』って言われたりね。かろうじて『撮る時は、まあいいです』ということになってもさ、今度は編集部からのチェックがとにかく厳しいんだよ。乳首はだめ、ヘアはだめってさ。そういうことを編集部が許しちゃう。そういう風潮が、もうつまんないよね。タレント自身にも吹聴してさ『篠山なんかに騙されちゃだめだよ』ってさ(笑)。そしたら本人も『そんなことできません!』ってなってさ。規制する方向にどんどん流していっちゃうんだから。でもこの子(筧美和子)はさ、そんなことよりもっと自由に表現したいっていう決心があるから、こういうことが出来るんだよね。こういう子ばっかりだったらもっと面白くなるよ」
_写真家と共同で創造する立場である被写体自身の意志というか、表現に対する積極性が弱いんですね。
篠山「そうだよ。樋口(可南子)さんなんてさ、いまは犬と話してるもんね」
_ハハハ(笑)!それはちょっと心配ですね…。
※【その2】に続く
【取材・文=三好千夏】
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