【その1】加藤登紀子がピアフとデートリヒを歌い、演じる! 全訳詞も手がける“モノオペラ”が5/24(土)、京都・春秋座で

関西ウォーカー

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加藤登紀子さんが5月、京都・春秋座にて初となるモノオペラに挑戦すると聞き、会見へ。今回のステージでは自身が敬愛してやまないシャンソン歌手、エディット・ピアフの生きた時代を生涯にわたって彼女を支えてきた女優、マレーネ・デートリヒが“語り手”となり、加藤さんがその両者の数々の名曲を歌い上げるという。京都のロシアレストラン「キエフ」で行われた会見後、さらに迫った!

_今回はモノオペラという形式で、マレーネ・デートリヒとエディット・ピアフの二人の女性を歌と共に演じるという、これまでとは異色の試みですね。特に注目したのが、すべての曲を加藤さんご自身が訳詞を手掛けられたという部分なんです。

加藤「私自身、一番最初は『アマチュアシャンソンコンクール』でデビューしたのだけれど、これまではいわゆる“シャンソン歌手”としてではなく、加藤登紀子として『私自身の歌』を歌う立場でやってきました。シャンソンは詞の世界が本当に素晴らしくて、その素晴らしい詞をフランス語ではなく日本語に置き換えて歌うというのは今回のひとつの意義であり、それと同時に『これはよほどうまく仕上げないといけない』という責任感のような意識がありましたね。『アマチュアシャンソンコンクール』を受けた時は、誰かが訳していたものを歌いたくなかったのでフランス語で歌いました。訳をつけて歌うということは『出来るだけ原詞に則した物語を伝えなければならない』という想いがありますから、その想いを持って2006年に『シャントゥーズ登紀子』と『シャントゥーズII〜野ばらの夢〜』を始めて手掛けたんです。その時から変わらず持ち続けている意識が『自分で訳を作って歌う』ということだったんです」

_ピアフの歌詞は、当時の自身の環境から生まれたすごく衝撃的な言葉が多く、そういった意味では歌詞で表現するということへの自由さも感じられますよね。

加藤「そうですよね。日本語の一般的な歌でも、昭和歌謡の時期に比べると今ははるかに色々な事が言えるようになってきましたよね。日本語そのものが何十年かの間に変化してきていますし、私自身も自分の歌のなかでどんどん自由に表現できるようになってきているなと感じていますね。自由ということで言えば、ピアフとして歌っているとすごく解放される感じがするの(笑)。日本の歌手・加藤登紀子ではなく、ピアフ自身を生きられるという解放感があるんです(笑)」

_デートリヒとピアフの二人の女性を“歌い分ける”ということへの、いわゆる「役作り」のようなことはされているのでしょうか?

加藤「今回はやはり歌がメインなので、いわゆる“役作り”ということはあまり強く意識していないんですよ。ただ一瞬にして観客のみなさんに『このシーンはデートリヒとして存在している』とか『ここの場面はピアフの心情を歌っているのね』というところはわかっていただかないとならないから、どんな風にその切り変わりを伝えられるかというところが今回の舞台の醍醐味ですね。転換も含めて、どういう感じにその“瞬間”を作れるのかっていうところが非常に重要だと思います」

_デートリヒとピアフは家族以上の繋がりで結ばれた関係だったとありますが、このふたりの女性の共通点はどこなんでしょうか?

加藤「ピアフは自分が『美しい女ではない』といいコンプレックスに悩んでいた女なんです。小柄で黒髪で、どこか異邦人的な感じですよね。デートリヒもアメリカに渡る以前まではそれほど美人ではなかったんです。ですから、環境に応じて自分の美しさを自分自身で創りあげた人だったんでしょうね。一方は誰が見ても美しい人、もう一方はある種のコンプレックスが強かった人という点では非常に対照的なふたりですよね。敢えて共通点をあげるとすれば、それはやはり『男を愛する能力』じゃないでしょうか。愛するということはどういうことなの?ということに立ち向かう強さを持っている二人だった。ピアフもデートリヒも生涯で何人もの男性と恋をしているの。デートリヒはずっと旦那さんがいたのだけれど、ジャンギャバンにヘミングウェイにルマルク…とにかく名だたる名手と恋をしてきたんです。それはすべて『価値のある恋』であり、夫もその恋を認めていた。戦争時代には、ジャンギャバンの居所を夫に探してほしいと頼んだり、デートリヒからの手紙をジャンギャバンの元まで夫が届けたり、とにかく夫自身も彼女の人生に協力的だった。ジェセフ・フォン・スタンバーグという監督と深い仲になってアメリカに渡る時も、夫は『絶対に行くべきだ』と彼女を送り出しました。デートリヒもそんな夫を心から尊敬していて、夫が亡くなった時には彼女が『私の人生は終わった』と言ったとありましたね。私の解釈で読み解くと、とてつもなく強い愛情で結ばれていた二人だったんだと思います。芸術家としてのデートリヒが才能ある恋人たちと出会っていくことを含めて『素晴らしい芸術を生むために何が必要か』という思いで全面的に協力してくれていたのだと思います。彼女が求めるものすべて肯定していた人物でした。デートリヒとピアフが似ているのは、ピアフ自身もたくさんの恋をしてきた女性でしたけれど、すべて素晴らしい歌を作るために恋をしていたようなところがありました。とにかく素晴らしい才能と出会ってきた二人だったんでしょうね」

※その2に続く

【取材・文=三好千夏】

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