武井壮「今年のテーマは365勝0敗」。その強さはどこから来るの？

「今年のテーマは365勝0敗です」。地上最強の“百獣の王”を目指すという武井壮が、臆面もなくそう言った。武井によるとそれは、365日全て「今日は最高で楽しかった」と思いながら過ごせるかどうかという勝負なのだそうだ。よく、スーパーポジティブだと形容される武井だが、肉体だけではなく、メンタルにおいても最強でいられる秘訣とは何なのか？武井にインタビューしたら、真っ直ぐな闘志とそれを裏付ける知性がうかがえた。

武井は、ずば抜けた身体能力と強烈なキャラクターで、タレントとしても順風満帆な活躍を見せている。その勢いを示すように、5月2日より、ついにTOKYO MXで、彼の地上波・冠レギュラー番組がスタートした。題して「武井壮しらべ ～誰もやらなきゃオレがやる!!～」(毎週金曜23：30～24：00)。これは、興味があるけど、自分でやるのはちょっと……、という内容を、武井が実際にやってみて検証するという破天荒な情報バラエティだ。たとえば「カジノで大金を賭けて本当に勝てるのか!?」と言った無理難題に、武井は果敢に挑んでいく。

「どんなことでもすげえ楽しいと思える俺が最強だと思っている」と武井は言う。「それは、お仕事をしていても、飯を食っているだけでも楽しいとか、そういうことかもしれない。だからつまらないとか、しんどかったとか、不機嫌でイライラして1日が終わるという日が1日もないようにしたいんです。今年はそこを目指してスタートしました」。

一体、どうやったらそんな生き方ができるのか？でも、陸上を始め、たった2年で陸上競技・十種競技の日本チャンピオンとなった武井が語ると、まんざら絵空事には思えない。体だけではなく、メンタルな部分までどう鍛えているのかが気になるところだ。番組ではかなり無茶ぶりなお題が出されることは目に見えているが、武井は何も恐れない。「無茶なことでも、俺のなかにぽんと入れてみたら『俺に無茶なことなんてものはない』というスイッチが入るんです。俺がやればできるだろうと。ある意味、自分勝手な思い込みなんですが」。

武井は、元々メンタル面が強いわけではないとも言う。「武井壮が、自分のなかにもうひとりいる感じです。テレビに出て『俺は百獣の王を目指します』と最初に言った時から“百獣の王・武井壮”がもうひとり生まれ、いろんな難問を解決してくれる感じです。あいつに任せておけば大丈夫だという気持ちが俺のなかにある。たぶん、みなさんのなかにもそういうスイッチがあるんじゃないかと思います」。

寝る間や遊ぶ時間を惜しみ、常にトレーニングに励む武井。そんなストイックな生活をなぜ続けられるのか、常人には理解しがたい。くじけそうになることはないのか？と尋ねると「そういう思いは、毎日襲ってきます。みなさん、俺がスーパーポジティブで何の苦しみもなくトレーニングをしているとお思いでしょうが、俺はトレーニングとかは好きじゃないです。しんどいし、きついし」と本音を漏らす。ただ、それでも諦めない理由とは？

「それをやると、今日の俺より明日の俺の方がちょっと強くなれることを知っているので。だからやる。トレーニングは全然好きじゃないけど、成長するのは大好きだから。やったら手に入ることを知っているので。やるという魅力に取り憑かれてしまっているんです。その魅力が、武井壮を支配してやまない。ただそれだけです」。

彼は、さらに「たとえ1分でも、1時間でも何かをやるってことの重さ、価値をもっと強く感じてほしい」と訴えかける。「1日やったら、1日目のスペシャリストになる。何もみんながイチローやダルビッシュ、本田圭佑になるってことではなくて。俺は“自分なりに”という言葉があまり好きじゃないけど、自分を使って、その道を生きてみることはすごく大事だと思っています。たとえ1秒でもやったら、そこからもうスペシャリストへのスタートですから。だって、みんな最初はド素人で、無経験なわけですから。そこからやった分だけ積み重なっていく。その一歩を進めない人はやっぱり損をしていると思います」。

そのことを身をもって体現してきた武井だからこそ、説得力がある。「人生は、やるか、もしくはやらないか。でも、俺はやらないって言葉はあまり好きじゃない。やるか、まだやってないか、そのふたつだから。それに俺は、できなかったという言葉は存在しないとも思っています。今日やったら、ここまでできた、というのが正解だと思う。俺の人生は、ずっとそうでしたから。明日の自分は今の自分より強い。その希望がモチベーションを途切れさせないいちばんの要因です」。

さらに、シミュレーションではすでに365日無敗だとも宣言する。「それを実戦に移して、たとえ敗けたとしても、いつか俺はその自分を追い越す。勝負はそこからだから。結果、俺は勝つよと。だからそこからは無敗なわけで。決してチャレンジをやめない。負けそうだからやらないと思うこと自体が負け。決してチャレンジをやめない武井壮はいつか勝つ。それが俺のモットーです」。

武井壮、40歳。「毎日が楽しいです」とすんなり言える姿がまぶしくて仕方がなかった。【取材・文/山崎伸子】