仲代達矢が自著「未完。」のトークショーで“日本映画黄金期”を語る
東京ウォーカー(全国版)
2014年3月20日に、数々の名画への出演を果たしてきた映画俳優、仲代達矢の著書「未完。」が発売された。それを記念して、去る5月29日、代官山 蔦屋書店1号館のイベント会場で、トークイベントを開催。「こういうイベントは初めて」という仲代本人ももちろん登場!代官山 蔦屋書店のシネマ・コンシェルジュを務める吉川明利さんと一緒に映画談議に花を咲かせた。
戦後の映画黄金期を代表する俳優である仲代達矢は今年12月で82歳になる。「役者歴62年」「読んだシナリオの数は1000本以上」という驚異的な数字を、今なお更新し続けている。62年間に渡る俳優人生の喜怒哀楽のすべてを綴り、あらゆる世代へ向けた珠玉のメッセージを込めた一冊に仲代が込めた思いとは何だろうか。
このタイミングで、自分の人生を本にまとめた理由を聞かれ、「次世代の若い俳優達に対して『(日本映画の黄金期には)こんな俳優がいたんだぞ』という記録を残してもいいのかなと思って」と答える一方、「本音を言えば、本にしても、このトークショーにしても、自分自身のことを語るのは照れ臭いもんですね(笑)」とはにかんだ。
帯に書かれている「死ぬのは怖くないですね。ええ、全く」という言葉の意味については、「人はどうせ生まれて死ぬのだから。映画黄金期という、俳優にとって恵まれた時代に生まれ育ち、たくさんの素晴らしい作品や監督、共演者、お客様に出会えたから、死ぬのは怖くないですよ」と静かに言葉を並べた。また、今は故人となった宇津井健や佐藤慶などとの思い出話をする仲代は、同年代の俳優たちがこの世を去っていくことに一抹の寂しさを覚えているようであった。
「未完。」というタイトルには、「まだまだ現役の役者として上を目指したい」という思いも入っているという。その力強い言葉には、80歳を超えてもなお若者に負けない強烈なエネルギーが込められている。原動力は何なのだろうか。「(芝居を)もっとうまくやりたいという思いを、62年間ずっと持ち続けていることですね。あとは、健康であること」。
冒頭にも記述したが、仲代にとって、観客とこんなに至近距離で行うトークショーは今回が初めての経験。イベント後、「こうやって、お客様と触れ合うのも時々はいいものですね」と笑顔で語ってくれた。サイン本を受け取り、がっちりと握手を交わした観客の男性も「僕は役者の卵なんです。父と、親子二代で仲代さんの猛烈なファン!トークショーでは引退についての話もあったが、まだまだ頑張ってほしいですね!」と興奮冷めやらぬ様子であった。
仲代達矢の俳優人生が60年を超えたことを記念して始まった「仲代達矢映画祭」も、第2回目を6月に控えている。1971年に公開された小林正樹監督の作品「いのち ぼうにふろう」など、パッケージ化されていない、仲代の代表作も上映。「いのち ぼうにふろう」は、1年間に200本以上の映画を観続けているというシネマ・コンシェルジュの吉川さんが、「仲代映画の金字塔」だと絶賛する作品である。
三島由紀夫、黒澤明、中村錦之助(萬屋錦之介)、三船敏郎…日本映画が隆盛を極めた時代を生き抜いた、熱き男達の人間ドラマをも描く仲代達矢の著書「未完。」。本来、誰もが持っているはずの“リアルな熱さ”を強く感じられる作品だ。【東京ウォーカー】
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