劇作家・福原充則の最新作がお台場のテント劇場で絶賛上演中!
東京ウォーカー(全国版)
1961年に刊行された小説「南の島に雪が降る」(著者・加東大介)は、映画化、ドラマ化もされている作品。知る人ぞ知る小説かもしれない。この作品を原作に、劇作家の福原充則が自身の劇団・ベッド&メイキングスにて舞台化。しかもお台場のテント劇場での上演だ。今回の舞台について福原に語ってもらった。
「太平洋戦争の末期に、戦地のニューギニアで、兵隊達がジャングルの中に歌舞伎座を建て、士気高揚のために芝居を打ち続けたという事実を、その当人(加東大介)が書いたお話というか、ドキュメントといいましょうか。暗くなりすぎない調子で書かれた文章が、逆に当時のつらさを浮き彫りにするようなお話です」。この作品を福原流にアレンジしている。
「原作から変えた部分はかなりあります。変えたというか、付け足したといいますか。『こういう出来事があった』という文章に対して、その前後をふくらませないと、一本の芝居にまとまらないので。逆に、『出来事』に関しては膨大なエピソードが書かれているので、大部分は盛り込めませんでした」。といいつつも、加藤(加東)が召集を受けて戦地に向かい、そこで演芸分隊を立ち上げる初期からその苦労、姉や妻の話、帰還までのエピソードがかなり盛りだくさん。舞台でこの作品を初めて知る人にはちょうどいい構成に仕上がっている。
セリフまわしやお約束の福原演出もしっかり入っているが、本人は「劇中劇の所作指導という形で、劇団朱雀の葵陽之介座長に来ていただいたんですが、まぁその“漢”(おとこ)っぷりに惚れ惚れしました。舞台で輝くべきはやはり役者だな、と思いました。脚本や演出じゃなくて」と謙遜する。
今回、この作品をテント劇場に、しかもこの梅雨の季節を選んだのは理由がある。実話の人々は戦争真っ只中、ニューギニアのジャングルの中に歌舞伎座を建て、連合軍に定期的に爆撃される中で芝居を続けた。梅雨だ、台風だなどと言ってられない、わざと梅雨時を選んでテントを建てた、という。傘は持参すべき? 「雨は特に気になさらずに。それよりも雨降った次の日の、ボウフラが蚊になった飛び回る状態の方が怖いので、虫除けスプレー持参でお願いします」と観客へのアドバイスも忘れない。出演も劇団員の富岡晃一郎を始め、大人計画の猫背椿、コンドルズや宇宙(レ)コードで活躍中の小林顕作、クロムモリブデンの久保田貫太郎、劇団朱雀の早乙女友貴ら個性派&演技派役者がそろう。
今後も野外テント劇場は上演していくのだろうか? 「今後もやると思います。なんとなく流れで芝居を始めた自分ですが、続けていこうと決めたのはテント芝居に出会ってからなので。自前のテントを買う資金を提供してくださる方、募集中です。唐(十郎)さんにおける、赤塚不二夫先生のような方いませんか!」。
野外劇「南の島に雪が降る」はお台場潮風公園内「太陽の広場」特設会場にて、6月22日(日)まで。【東京ウォーカー】
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