【その1】中村勘九郎・七之助の歌舞伎舞踊公演が10周年! 9月公演への思いについて中村七之助を直撃した!
関西ウォーカー
中村勘九郎と中村七之助が、兄弟で歌舞伎舞踊の公演をスタートさせて10年。歌舞伎舞踊の魅力を届け、また、自分たち中村屋一門の勉強の場として、全国各地に出掛け、意欲的に公演を続けてきた。今回、10周年記念となる公演を上演、そのキャンペーンのため4月に来阪した七之助を取材。その思いや演目について話を聞いたロングインタビュー。
Q:舞踊公演の始まりは?
最初は父親とやっていた親子会のなごりで、兄弟2人と獅童さんとでやってみようと3人で始めたんですが、次の年から兄弟2人になり、舞踊公演になって10年です。若かったですねぇ。今考えると…当時21歳と23歳の2人で、よくこれだけの興行を開けさせてもらえたなと。それは周りの人たちの力だなぁっていうのは、すごく思います。30歳になって振り返った時に、あぁ、ありがたいことをさせていただいてたんだなぁって、しみじみ思いますね。最初は皆様の力で土台を作ってくれた。さぁ、あなたたちは安心して、この舞台に集中してくださいという環境を皆様が作ってくれたからこそ、ボクたちは今できているんじゃないかなぁと思います。
Q:舞踊作品について
歌舞伎の魅力とは全然違いますね。今回はいわゆる日本舞踊です。派手さはないかもしれませんが、じっくり舞踊を見てほしいと思って、あまり本興行ではかからない演目を選びました。
Q:最初の「都風流(みやこふうりゅう)」は?
化粧をせず、紋付袴で踊る“素踊り”なんです、これ。だから、ちょっと違った感じでおもしろいと思いますよ。明治ごろの街並みや風俗のイメージがわいてくる感じに、ふわっとした雰囲気で踊らせてもらいます。なんか素敵な風が吹いたなぁ、みたいに味わってほしい。自分の中で想像して、こういうことなんじゃないかなっていう楽しみ方もあると思いますね。
Q:トークタイムもありますね?
「芸談」のコーナーです。これは自前のスーツとネクタイで。お揃いじゃないですよ、漫才師みたいになっちゃうから(笑)。前は顔のこしらえ(化粧)してたんで、15分で落として、ネクタイして。今回は前が“素踊り”で素顔だから、そのまま着替えればいいけど。でもね、スーツとか着ることによって、歌舞伎に対する敷居がガクンと低くなるんで、それがうれしいんですよ。身近に感じてもらえる。「なんだ、こんな普通のお兄ちゃんたちがやってるんだ」とか。あとボクたちが「芸談」で、歌舞伎はそんなに堅苦しくないので、横の人たちの迷惑にならない程度に、しゃべってもらってかまわないですし、自分の席なんだから楽しんでくださいって、笑いたいときは笑ってくださいって言うと、ほんとに反応が良くなります。あとは役者への掛け声「大向う」に挑戦してみましょうとか。出てきたときに「中村屋」とか「紀伊國屋」って言ってあげてっていうと、言ってれる人たちとかいますよ。そうすると、舞台と客席とが一体となるっていうか、もうそこがライブになる。そうじゃなくちゃいけないなって思いますもんね。
Q:司会の方がいる?
司会の方が質問して、答えて、お客様からの質問コーナーを合わせて25分?…ほんとはね、1時間ぐらい取りたいんですよ。近況のことや、演目の見どころとか選んだ理由とか話してたら、もう30分があっという間に過ぎちゃう。地方に行くと土地の人や食べ物、建物なんかの話をすることで、より近くなる。例えば逆に「今日泊まるんですけど、おいしいものありますか?手を挙げて教えてください」とか質問すると、どこどこの何がうまいとか。「七之助さんラーメンが好きだから、ラーメンはここがおいしいです。食べに行ってください」って言われたら、ちゃんと食べに行きますからね。
Q:次に中村屋一門のお弟子さんが出演する「月の巻」。
お姫様とか、侍女とか腰元とか出てくる、にぎやかな演目ですね。ウチにお弟子さんが二人、新しく入ったんですよ、仲助(なかすけ)と仲弥(なかや)。ウチの父親には、残念ながら会ったことないんですけどね。まだ入門して1年で、フレッシュです。兄弟子の仲之助(なかのすけ)やいてう、仲四郎(なかしろう)も、この錦秋公演のお弟子さんたちの踊りで勉強して、ほんとに成長したんですよ。それがこの錦秋公演の一つの意義ですから。仲助と仲弥は、今回初めて経験するので、ちゃんとそれをかみしめて舞台に立ってほしいですね。お客様も、応援してくれたらうれしいなってすごく思います。見てねって感じです(笑)。
Q:では、仲助さんと仲弥さんに注目?
そう、お客様の第1号になるので。もしかして死ぬほどいい役者になったら、1回目観たよって自慢できるかもしれない。そういうふうになってほしいですからね。ウチの父親がよく言っていたんです。「いいお弟子さんにならないでいいから、いい役者になってください」って。これは中村屋のモットーです。ほんとにお客さんに育てられるっていうの、ありますから。NHKホールで踊るなんてなかなかないことですから、それをかみしめて踊ってほしいなと思いますね。
※【その2】に続く
【取材・文=ドルフィン・コミュニケーション】
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