絶賛上映中！ スタジオジブリの最新作「思い出のマーニー」で杏奈を演じた高月彩良にインタビュー

心を閉ざした少女・杏奈と、ミステリアスな魅力を持つ少女・マーニーの交流を描いたスタジオジブリの最新作「思い出のマーニー」。ヒロインの1人、杏奈を演じた高月彩良に、本作への思いを語ってもらった。

－今回、オーディションに参加されて杏奈役に大抜擢されましたが、役が決まった時、どのような感想を抱きましたか？

「最初は全然信じられなくて「嘘だ！」って思いました（笑）。自分にとってジブリ作品はすごく遠い存在で、いつも夢をもらっている側の人間だったので、自分がこうして携われるというのが信じられなかったです。だんだん実感が沸いてきた時は「なんて幸せ者なんだ」と思いました。人生の中で1番うれしい出来事になりましたね」

―今回演じられた杏奈は、どのようなキャラクターだったのでしょうか？

「心にトラウマを抱えていて、人に気持ちを伝えるのが苦手で、すごく不器用に生きている女の子だと思います。ちょっとしたことにも傷つきやすく、すぐに落ち込んだりしてしまうような、本当に繊細な子です。だけど、本人が気付いていないだけで、すごくたくさんの人に愛されている子なので、私はすごくうらやましいと思いました」

―ご自身と杏奈の間に共通点があるとすれば何でしょうか？

「人に気持ちを伝えるのが苦手な所です。私も今、言えばいいのにっていう時に言えなかったりすることがよくあるんです。「ありがとう」って言えばよかったのに言えなかったり。そこが自分の嫌いなところだったので、そういった意味で杏奈に似ているというか、共感しました。なぜ彼女がそこで言葉に出せないのかっていうのも、すごく分かるんです」

―物語を通して、杏奈自身の心の成長が感じられました。表現する際に心がけたことはなんでしょうか？

「最初と最後では杏奈の気持ちや表情が全く違うんです。もちろん声もそうで、最初はすごく抑えながら話すんです。心の中でずっと叫んでいるような感じで。後半になるにつれて素の自分というか、ありのままの自分を出していきました。杏奈の成長のすべてを声だけで表現しなければなりませんでしたが、監督が作ってきた絵を台無しにしたくないという気持ちで、本当に真剣に取り組みました」

―普段はドラマや舞台、ステージで活躍されている高月さんですが、声優は初挑戦です。声だけで演じることの苦労はありましたか？

「怒った顔をすれば怒ったように見えるとか、お芝居だったら表情で伝えられる部分が大きいんですが、声だけとなると全然ちがっていて。アフレコで自分がすごく怒った声を出しても、後で聞き直すと全然怒っているように聞こえなくて、そういうところですごく難しさを感じました。本当に心から演じないとダメなんだなって実感しましたね」

―収録時、米林監督からアドバイスはありましたか？

「リハーサルの時に監督から杏奈の生い立ちを書いた用紙を頂いたんです。そこには杏奈が心にトラウマを持っていることや、いつも“普通の顔”をしてやりすごしていることなどが書かれていました。本当に細かく書かれていたので、演じる上で本当にやりやすかったです。実は、ひとつのセリフですごく苦労したものがあって、「マーニー」っていうたった一言のセリフなんですけど、なかなかうまく決まらなくて、30分もかかったんです。監督自身も正解が分からないと話していて、一緒になって答えを探していきました」

―今回、もう1人のヒロイン・マーニーを有村架純さんが演じられましたが、共演はいかがでしたか？

「ドラマなどでも共演したことがなかったのですが、会った初日からすごく気さくに話しかけてくださって、すぐに打ち解けました。アフレコしている時は本当に隣にマーニーがいるような感じがしてリラックスできましたね。有村さんはすごくストイックな方で、自分が納得いくまで何回もトライするんです。そんな有村さんを見て、私もがんばらなきゃっていう風に、引っ張ってもらえました」

―収録を通して心に残っているエピソードはありますか？

「監督から言われた一言です。アフレコが全部終わったときに、「あなたに杏奈を頼んでよかったです」と言われて。“あぁ、やって良かった”と思いました。これ以上うれしい言葉はないですよね」

―高月さんが思う本作の見どころとは？

「今までのジブリ作品の主人公って、理想的で、かっこよくて、誰もが憧れるような存在のキャラクターが多かったと思うんです。だけど杏奈は誰もが抱えるような悩みを持っていて、等身大で、すごく共感できる女の子なんです。本当にすぐ近くにいるような女の子なので彼女に共感しながら作品を楽しんでいただけると思います」

―最後にこれから映画をご覧になられる方へのメッセージをお願いします！

「「思い出のマーニー」は、子どもから大人まで楽しめるファンタジー作品です。ヒロインの杏奈を見て、人を許すこと、一歩踏み出す勇気の大切さを知ってもらって、「自分も頑張ってみよう！」と思っていただけたらすごくうれしいです！」

【取材・文＝リワークス】