劇団KAKUTA、最新作「痕跡」を最後の青山円形にて上演中!

2014年8月14日 11:35更新

東京ウォーカー(全国版)

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94年、青山円形劇場プロデュース公演にて初舞台を踏んだKAKUTA主宰の桑原裕子。最後の青山円形劇場にて、劇団最新作を上演している。今作を書いたきっかけを聞いてみた。

「KAKUTAはこれまで、市井の人々を題材に様々な視点から“生きづらい人々”を描いてきましたが、それらの作品を“人間賛歌”と称していただくことが多かったんです。人生いろいろなことがあって、それでも生きていくことへのたくましさを前向きにとらえる作品が多かったように思うのですが、一方で、例えばそこにある愛情深さや生きる希望のようなものが、すべて裏目に出てしまったり、皮肉な方向へいくこともある、ということはどこかでわかっていました。だから今回は、誰かの深い思いがまた別の誰かの深い思いとぶつかり合ったときに、それらが必ずしも幸せな方向へ進むとは限らないということ、誰かの幸福が誰かの悲劇を生む場合もあること、幸や不幸をどの目線でとらえれば良いか迷ってしまうような、そんな作品を描きたいと思いました」。

物語は、十年前の嵐の夜に起こったある子供のひき逃げ事件を中心に展開する。事件の被害者、加害者、目撃者、そして思いがけずその事件と深く結びつくことになった一人の失踪者…。彼らをそれぞれの視点で多面的な群像劇として人間模様を描いている。

「ひとりひとりが、残した傷や足跡と向き合い、背負っていく物語です。見どころとしては、そうした同時進行で進む物語を完全円形の舞台で展開していくというところです。観る角度によって感情移入する人物が変わってくるかもしれませんし、円形ならではの演出を楽しんでいただけると思います」。

キャストには強力な客演陣の名前も見られる。カムカムミニキーナ主宰の松村武、ブラジルの看板俳優・辰巳智秋、福岡の人気劇団・万能グローブ ガラパゴスダイナモスから多田香織、企画演劇集団ボクラ団義の大神拓哉、そしてベテラン女優の斉藤とも子。「松村さんは尊敬する劇作家・演出家でもあり、圧倒的な存在感を持つ俳優さんで、ずっと憧れてきた先輩です。今回お迎えするのはとても緊張しましたが、せっかくお迎えするので、ご自身の劇団・カムカムミニキーナではやらないようなことをしていただきたいと思いました。失踪し名前を変えて生きている、複雑な役に挑戦していただいています。斉藤さんは、以前外部の公演で私が作演出をやらせていただいた時にご一緒して今作で二回目なのですが、体の内側に懇々と流れる深い愛情と芯の強さが、清純さをまといながらもとめどなく染み出してくるような女優さんで、こうしたエネルギーを持つ方の物語を描いてみたい、と思い、念願叶ってご出演いただきました。辰巳さんはKAKUTAにご出演いただくのも三回目になります。私が最も信頼する俳優の一人で、今作でも笑いと優しさと力強さを併せ持った愛すべき男を演じてもらっています。また、若手人気劇団から大神さん、多田さんを迎えました。多田さんは福岡の劇団で活動されていて、今作のために東京に滞在してもらっています。東京の人にこんなすてきな俳優がいるよ!と知っていただきたいです」とキャスティングへの思い入れも強い様子。

ゆかりある劇場への思いも熱い。「私にとって青山円形劇場は、小劇場という世界に18歳でデビューしたときの初舞台の場所なんです。今から10年前にKAKUTAとしてこの劇場へ凱旋したときは、ただただこの特殊ですばらしく面白い劇場でやれることがうれしくて楽しくて仕方がないという感じでした。今作でKAKUTAの円形劇場公演は三回目なのですが、まさか最後になるかもしれないなんて本当に残念でなりません。でも、やらせていただくからには恩返しできるような舞台をと思い、全力で円形劇場を遊びきるつもりです」。

東京公演は8月17日(日)まで、20日(日)からは北九州公演がスタートする。【東京ウォーカー】

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