<その1>【10/3(金)~】新作歌舞伎「GOEMON」で片岡愛之助が大阪松竹座に登場!

関西ウォーカー

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テレビや映画でも活躍中の片岡愛之助が、大阪松竹座の劇場全体を使って大暴れ! 大泥棒の石川五右衛門が、実はスペイン宣教師の血を引く赤毛のハーフで、父から教わったフラメンコを踊ることができる…という奇抜な設定の新作歌舞伎だ。「GOEMON」は2011年、徳島の大塚国際美術館で誕生。ローマ・バチカンにあるシスティーナ礼拝堂が実物大に立体化されたシスティーナ・ホールで、壁画の描かれた空間をバックに初演された。昨年2月、大阪松竹座で舞台装置を一新し、劇場版として再演。今回は、今井翼が出演し、さらにパワーアップした「GOEMON」を見せる。

歌舞伎のみならず、すべての仕事に対する真摯な姿勢、取材時の丁寧な受け答え。そして、端正なルックスに気さくな人柄と、好感度は満点。地方公演の移動の合間を縫って、休演日の松竹座でインタビューに応じてくれた。

Q:「GOEMON」をやろうと思われたきっかけは?

システィーナ歌舞伎がなかったら、ハーフの五右衛門なんていう設定は思いつきませんでしたね。壁画と歌舞伎、和と洋をどうしたら歩み寄せられるかと考えて、ハーフで赤毛で作ったら…みたいなところから、どんどん出来上がっていった話なので、ほんとに感謝していますね。あのシスティーナ歌舞伎があってこそ、思いついたことなので。衣装も、普段の歌舞伎の五右衛門の衣装では、ホールの絵をバックにしたら負けてしまうので、歌舞伎では着ないような派手な色の衣装と、大きな赤毛の鬘(かつら)になったんです。

Q:新作として最初に考えたことは?

まず、起承転結のある通し狂言にしようと思いました。歌舞伎を初めてご覧になられた方の感想は、通常の見取り狂言(演目の名場面だけを抜き出して上演すること)だと、物語の続きはどうなるんだろうと思ったら、次の幕で全然違う芝居が開いたと。あれ?あの続きじゃないの?すごく気になるって。芝居が“転”で終わって、“結”がないから。ボクらは当たり前と思って、そこに疑問を抱かないけど、ご覧になるお客様は起承転結を求めるわけですよ。ボクらが思ってる常識というか、当たり前のものさしと、ご覧になられたことのない方のものさしは違うんだと。そう思った時に、まず通し狂言で新作をかけようと思いました。

Q:昨年、大阪松竹座さんで再演されましたね。

そもそも壁画と美術館をバックにした演出で作ってますので、これを劇場にかける時は、全然違うものにしないと成立しないので、まったく違うものにして、かけさせていただいたんですけど、初日があくまではほんとにドキドキでした。こちらは良かれと思って作ってますけど、お客様がこれを観て、果たしてどう思われるのかというのは、あけてみないとわからないですから。でも、おかげさまで満席で。

Q:舞台装置も斬新で、ロックコンサートみたいだし。

まず、劇場に入ってきたときに定式幕(歌舞伎の舞台で使われる三色の引幕)がないんですよ。入ると「GOEMON」と描かれた電飾の看板みたいなのがバンってあるだけ。幕がないから、歌舞伎を観に来た感じはまったくしないと思うもう、既に舞台が開いてるわけです。

古典の通し狂言と全く新しいものという、対極を作ることを頭に置いて作った作品なので、その始まりのスタイルから、ですよね。だから字もローマ字で、という作り方。楼門とかも、ロックコンサートみたいな感じでせり上がってきますし。照明も、グリグリ回って。そういうところが新作、コラボ歌舞伎の良さかな、と思ったりもします。

Q:大技の連続、見せ場が満載ですね。

“けれん味”にあふれています。それにフラメンコが加わってますから、最強ですね(笑)。立ち廻りとかもそう。花道から大梯子(はしご)を掛けて2階席まで登りませんからね、普通(笑)。2階のお客様はびっくりする。目の前に出てきますから、ボク。大立ち廻りを通路でやる。普通はしない四方の見得をやる。そういうことがおもしろいですよね。いままでこんなに大阪松竹座の客席を使うってことなかったですから。1階席の通路を歩くというのは常套手段としてありますが、劇場のどこにいらっしゃるお客様にも楽しんでいただけるものを作ろうと思うと、いろんなところに出現した方がいいんじゃないかと。

歌舞伎って、傾(かぶ)く。最先端のことを取り入れてやることが歌舞伎なんですよ。このような作品は歌舞伎じゃないと言われる方は、古典歌舞伎のことしか思われていないと思う。古典歌舞伎だけが歌舞伎じゃなくて、すべてを含めて歌舞伎なんです。

だから、お客様に喜んでいただくためなら、どんどん入れて行こうって。お客様に、あぁ今日は楽しかったな、また来たいなって思っていただける芝居を作ることが一番大切だと思っていますから。

Q:普通ではやらない、オリジナルの演出がすごい。

でも、ハシゴを組んだり、ふすま倒し、持ち上げた畳の上でトンボ切ったり(宙返り)っていうのは、すでに歌舞伎の演目にあります。葛籠(つづら)を背負って宙乗りをする“つづら抜け”とか、大古典なんですよ。昔からあった手法で、普通の歌舞伎の演目で、石川五右衛門でやります。だから、あれを観て「すごい!」「新しい!」って言うけど、形を変えただけで、ほぼほぼ古典。みなさんが観てなかっただけなんですよ。でも、昔の人がやってた当たり前のことなんですけど、古典も結局、知らない人が見ると新作に見えるわけです。

ただ、こういうことが新鮮に見えるってことは、ボクらは逆にうれしいですね。遺していけるかなって思いますから。何回も上演できるような作品にしたいですね。今は新作ですが、100年経ったら古典になります。

※【その2】に続く

【取材・文=ドルフィン・コミュニケーション】

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